日本語で「頭が真っ白」というのは比較的新しい言い方ですが、色を使った言い回しは昔からたくさんありますね。英語も同じです。今回はいくつかの「色(Color)」にまつわる英語表現をご紹介します。
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1.blue blood
貴族、上流階級の人
John is marrying a very rich girl from high society, a real blue blood. ジョンが結婚する人は上流社会の大金持ちで、正真正銘の名門の出だ。
「青い血」というと、何かSF映画にでも出てきそうなムードですが、この表現の起こりはスペインです。
スペインは地理的に北アフリカのイスラム教徒であるムーア人との関わりが深く、また彼らに征服されていた時期がありました。そのため一般の人々の間では、ムーア人との混血が進みました。
そうした中で、王族や由緒正しい貴族など上流階級の人たちは、純血であるため肌の色が濃くなっていないことを誇りに思っていました。そして、白い肌に透き通って青く見える血管がそのしるしだと考えていました。
このため、blue bloodは上流階級の証という意味で、高貴な血筋のことを言うようになりました。
2.bolt from the blue
思いがけない出来事、寝耳に水
It was a bolt from the blue. それは青天のへきれき(=思いもかけない出来事)だった。
boltは「稲妻」です。thunderboltという単語もありますね。
blueは青空のことで、晴れわたった青空にいきなり稲妻が光ったら、誰でもびっくりします。
そこで、まったく予想していなかったできごと、特に悪いできごとについて使うのがbolt from the blueです。
3.out of the blue
思いがけず、突然
Out of the blue, he asked Mary to marry him. 出し抜けに彼はメアリーに求婚した。
これは前のbolt from the blueとまったく同じ発想で、blueは青空のことで、腫れた空に突然雷が鳴ったりにわか雨が降り出したりというイメージです。
そのため、元はout of the clear blue skyという表現だったようですが、縮めたout of the blueという言い方をよくします。
また、使い方は例文のように副詞句になり、この点がbolt from the blueとは違いますので、もう一度比較してみてください。
4.true-blue
本当に忠実な、信頼できる
The true-blue supporters of our team cheer for us even when we lose. このチームの真のサポーターなら、負けた時も応援してくれる。
英国では伝統的に、青をシンボルカラーとする有力な組織や団体がたくさんあります。政党政治が始まったころのホイッグ党(Whig Party)、また宗教では17世紀スコットランドの「盟約派」(Covenanter)と呼ばれる運動、さらにオックスフォード大学やケンブリッジ大学の学校代表チーム(varsity team)の色もブルーです。
こうした、社会に大きな影響力を持つグループの忠実な支持者は、旗や衣服など、何か青いものを手に持ったり身につけたりして集まり、まとまって運動をしました。
(日本ではさしずめ「赤」かもしれません。25年間変わらず応援された皆さん、おめでとうございます!)
5.green with envy
ひどくねたんで、ひどく羨ましがって
When she saw my new roller blades, she was green with envy. 僕の新しいインラインスケートを見た彼女は、ひどく羨ましがった。
緑が、植物の葉が茂るイメージから環境にやさしいといった意味を持つのは最近のことで、それとはまったく違います。
色に固有のイメージとして、すぐ思い浮かぶのはたとえば赤なら「怒り、情熱」、ブルーは「憂うつ、悲しみ」などがありますが、英語の世界で緑には「嫉妬」のイメージがあります。
シェークスピアが「アントニーとクレオパトラ」の中で嫉妬のことを the green sickness と表現した一節があり、ここからgreenが嫉妬の色になったと言われています。
なお、green with fearという表現がありますが、これは「恐怖に青ざめて」という意味で違う使い方です。
6.green thumb
園芸[植物栽培]の才能
My father has a green thumb. You should see his roses. 僕の父の園芸の腕前はたいしたものだ。彼の育てたバラを見てごらん。
これは植物のgreenです。親指が緑色になるくらいにいつも植物をいじっているということから、園芸や栽培が飛び抜けて上手い人、その才能のある人について使います。
例文のようにhave a green thumbという形で使うことが多いですが、これと関連してgreen-thumbedという形容詞(園芸の上手な)もあります。
thumbがでてきたので、all thumbs(不器用な)も一緒に覚えましょう。
I'm all thumbs.(私は不器用です。)
指が全部親指だったらふつうの作業はとてもできませんね。そういう意味です。
7.red-letter day
記念すべき日、おめでたい日
My mother said the day I was born was a red-letter day for her. 母は、私が生まれた日は生涯記念すべき日だと言った。
とても幸せで忘れられない、重要な日のことです。もともとは宗教的な行事のある日を赤い文字で書いたことに始まりますが、現代の私たちも同じですね。カレンダーで、大事な用事やイベントのある日に赤丸をつけたりするのと同じ発想なのでわかりやすいと思います。
ただ、あなたが実際に何色でマークしたとしても、red-letter dayといいますのでお間違いのないように。
8.red tape
(形式的で非効率な)お役所仕事、官僚的な手続き
Why can't our boss just cut the rad tape and let us go ahead? どうして我々の上司は官僚主義ばかりで先に進ませてくれないのか?
昔のイギリスの役所では、法律文書を赤いテープで結んで束ねていました。業務が動き始めるには、このテープを切ってほどかなければなりませんでした。
そこでred tapeは効率的な運営を妨げるもの、またいわゆる「お役所仕事」といわれる官僚的な手続きのことを言い、例文のcut (the) red tapeは「お役所仕事を改める」という意味で使います。
red tape単体でも、次のように使います。
Due to the red tape, registrations usually take time. お役所仕事のせいで、登録はいつも時間がかかる。
9.with flying colors
大成功で、苦もなく
As expected, Betty passed the exam with flying colors. 思ったとおり、ベティは試験に楽々合格した。
しめくくりはcolorですが、実はこのcolorは「色」ではありません(!)
colorには「軍旗・国旗」という意味があることも覚えておきましょう。
この表現は海軍の軍艦が国旗を掲げてそろって凱旋する様子から生まれました。(flyingは旗が「はためいている」という意味です。)その華々しい様子から、「大成功の」「見事な」という意味に広がりました。
最後に、シンディー・ローパーのヒット曲「True Colors」はもちろん「色」です。
I see your true colors
That’s why I love you
旗が好きなわけではありませんので念のため・・・。