映画『マトリックス』で英語を勉強しよう!

映画で学ぶ
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キアヌ・リーブス主演、アンディとラリー・ウォシャウスキー兄弟が脚本・監督を務めた『マトリックス』。
3部作の第1作が発表されたのは1999年でした。
世紀末の風潮と相まって世界的に大ヒットし『リローデッド』『レボリューションズ』の3部作が完了したのが2003年ですが、映像もストーリーもいまだに廃れておらず根強いファンを持っている作品です。

主人公のコンピュータープログラマー、アンダーソンの別の顔は、ネオというハッカー。
ネオはネットワーク上でモーフィアスという人物を探し、合流して行動を共にするようになります。
現実世界とバーチャルな世界を行き来しながら、機械の支配から人類を解放しようとする壮大なストーリが、(当時の)最先端の映像技術を駆使した斬新なビジュアルで展開していきます。

この作品には日本のSFアニメへのオマージュがちりばめられているのですが、「汗をかかないバーチャルヒーロー」と揶揄する向きもある日本でよりも、アメリカ本国でのほうが評価が高いようです。

登場人物の設定によって、インド系、フランス語なまり、東洋系なまりなど作品中には多様な英語が登場します。
オーソドックスなアメリカ英語を話すキャラクターも、その設定に合わせた言葉遣いで個性を表現しています。

第1作目から、使える英語表現をご紹介しましょう。

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■時間がない

主人公アンダーソン(ネオ)の職場に届いた宅配便の中から出てきた携帯が突然鳴ります。
モーフィアスと名乗った男がネオに助言を始めます。
ネオとモーフィアスの最初の接触のシーンです。

Morpheus : ①I don't know if you're ready to see what I want to show you...but, unfortunately, ②you and I have run out of time. They're coming for you, Neo, and ③I don't know what they're going to do. 
「心の準備ができているかわからないが、これから君に見せたいものをみるのに、だが残念ながらお互いにもう時間がない。やつらがやってくる、ネオ、やつらが何をしようとしているのか、私にはわからない」
Neo : Who's coming for me?
「誰が来ているんだ?」
M : Stand up and see for yourself.
「立ち上がって、自分の目で見るといい」(この時点でネオは自分のデスクで話をしているので、パーテーションの向こうで起こっていることが席から見えていないのです)
N : What the hell do they want for me?
「一体全体、やつらは俺をどうしようって言うんだ?」
M : I don't know. But if you don't want to find out, I suggest you get out of there.
「わからない。でも、それを思い知りたくなかったら、ここから逃げることをお勧めする。」
N : How?
「どうやって?」
M : I can guide you, but ⑤you must do exactly as I say.
「ガイドしてやるが、言うとおり正確に行動するんだ。」

①I don’t know if you are ready to~「あなたが~する準備ができているか私にはわからない」。
このシーンでは心の準備のことを指していますが、一般的な準備にも使えます。
I don’t know if you are ready to go, but I came to pick you up on time.「出かける準備ができているのかわからないけど、時間通りに迎えに来たよ。」
if は「~かどうか」という意味です。

②you and I have run out of timeでは、現在完了形で「これまでに時間を使い切ってしまった」という意味を表しています。
普通に時間がないことを表すのにはWe are running out of time.といいます。
残り時間がどんどんなくなっていく感じが表せます。

run out of~「~が尽きる」は、あるべきものが残っていないときに使うので、時間だけでなくストックがなくなった場合にも使えます。
We are running out of milk.「牛乳を切らしている」もちろんWe have no time / milk.ということもできます。

③どうなるかわからないときの言い方I don’t know what~も応用の利く表現です。
I don’t know what’s gonna happen.「この先どうなるかわからない」はとてもよく使われます。
ほかにも、I don’t know what you want to do.「あなたがどうしたいのか私にはわからない」のように、子どもが駄々をこねているときなど、相手の意向が正確に伝わってこないときに使えます。
What do you want to do ? And what do you want me to do ( what would you like me to do)?「何がしたいの?どうしてほしいの?」と続けてきいてあげましょう。

■命令するとき

④のmust「~しなければならない」はとても強い命令を表す語で、丁寧な会話では使いません。
このシーンでは絶妙なタイミングで行動することが求められているのでこのようなきつい言い方をしていますが、一般的には上下関係が明らかな場合以外では使わないほうがいいでしょう。
You are suggested to ~、I recommend you to ~どちらも「~することを勧めます」なら、丁寧になります。

また、do exactly I say「言ったとおりに行動しなさい」も命令文で、厳密な手順を守ってほしいときなどに使います。
When you are in my class, do exactly as I say.「教室では先生の言うことをききなさい」厳しい先生なら、生徒たちにこのように言うかもしれません。
命令文は、指示する側とされる側がはっきりしているときに使われます。

なお、命令文もPleaseをつけたらていねいになるような気がしますが、ネイティブスピーカーにとっては、命令文は命令文。
Please do exactly as I say.と言っても、上から目線にとらえられます。
Could you (please) follow my instruction (exactly)? 「私の指示に(厳密に)従ってもらえますか」のようにcould やwouldを使った疑問文にするとていねいな表現になります。

■まとめ

よく練られた脚本の作品では、多様な価値観を持つ登場人物が、それぞれに合った言葉遣いをし、セリフの中にその人の哲学や信念が込められています。
同じ物であっても、立場によって表現の仕方が変わっているところなどに気が付くと、セリフの英語の深みにはまっていきます。

映像コンテンツは、自分の好みに合うものなら何度観ても苦になりません。
飽きるまで繰り返して観ているうちに、好きなシーンやキャラクターのセリフを覚えてしまうでしょう。
そうしたら、ぜひ、使ってみてください。
日本で生活していると実際に英語のセリフを言う機会にはなかなか恵まれませんが、心の中でつぶやいてシミュレーションしていると、いざという時にもすんなりセリフが口から出てくるでしょう。

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