子供に声をかけるとき、「それはダメ」と禁止せずに「これをしてね」と行動を指示しましょう、というのはよく言われることですが、子どもに対してだけでなく、すべての人にあてはまることでもあります。
分かりやすい声かけについての考え方は万国共通と言えますが、その表現の仕方は言語によってさまざまです。
日本語では普通「○○しないで」と禁止で表現するものでも、英語では「○○して」と行動を指示することができるものがあります。
今回は、場所を指示する表現をピックアップしてご紹介しましょう。
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■場所を指示する便利な動詞 stay
危険なものに近づかないでほしいとき、「近寄らないで」という日本語から Don’t come near this.と考えてしまいますが、①Don’t come close. がより英語らしい表現です。
また、「家の外に出ないで」というのは、Don’t go out of the house. と考えてしまいますが、②Don’t go outside. の方が英語らしくきこえます。
出かけてほしくない場合は、Don’t go out. になります。
ただ、はじめに述べたように、禁止ではなく、するべき行動を示す方が相手により明確に指示が伝わります。
そのときに便利なのがstayです。
①Don’t come close. → Stay away.
②Don’t go outside. → Stay inside.
となり、こちらの方がよく使われます。
英語のstay は、「ホームステイ」のように「滞在する」の意味でおなじみですが、本来「動かずにある場所にとどまること」を表す動詞です。
病気の子どもに「寝てなさい」というのは、「ベッドの中でおとなしくしていなさい」という意味なのでStay in bed. といいます。
また、ほかの家族が外出するときに、自分はその子どもに付き添って残るのであれば、I’ll ( I will の省略) stay behind. といいます。
「一緒に行かない」というのではなく、「家にとどまる」ということに注目した表現を使うのです。
■状態を指示する便利な動詞 keep
「線の外に出ないで」を日本語から考えるとDon’t go out of this line. となりますが、こういう場合は③Don’t cross this line. の方が英語らしい表現になります。
これを、するべき行動を支持する表現に変えるときに使うのがkeep です。
日本語で「キープする」というと「ボトルキープ」のように「とっておく」という意味です。
英語でもその意味で使われますが、そのほかに「変化せずにある状態にとどまること」も表します。
上の例の場合は、
③Don’t cross this line. → Keep inside.
と言い換えることができ、その方が相手に分かりやすい表現になります。
この逆の「立ち入り禁止」はKeep out. と言います。
■stay と keep のちがい
さて、②のStay inside. と③のKeep inside. は似ていますね。
どのように使い分けたらよいでしょうか。後ろに来ている語に注目して考えます。
②Stay inside. inside は家の外に対する「屋内」のことを指しています
③Keep inside. inside は(線やルールなどで)指定された範囲の「内側」のことを指しています
約束を守ることをkeep promises / keep one’s words というように、keep には「保持する」「守る」という意味も入っています。
そのため、指定された範囲内、指示された場所の中にとどまる意味合いが強い場合には、③Keep inside. を使います。「立ち入り禁止」でkeep を使うのも、指定範囲の外にいてほしいからです。
■まとめ
今回は指示に便利な言葉をご紹介しました。
ある場所にとどまっていてほしいときに使うstay
Stay away.「近寄らないで」
Stay inside. 「家の外に出ないで」
Stay in bed.「寝ていなさい」
きまった範囲内にいてほしいときに使うkeep
Keep inside.「線(指定された範囲)から出ないで」
Keep out.「立ち入り禁止」
今回ご紹介した表現は、海外のホームドラマや映画などでよく使われています。
stayと keep は日本語からの直訳では思いつかない使い方をされる語です。
このような表現をドラマや映画を観ながら集めていくと、英会話のレベルアップにつながりますよ。
*その他の使える表現
I’ll stay behind.「私は(家に)残ります」他の人たちが外出するのに自分は残るとき使う
keep promises / keep one’s words 「約束を守る」