英語長文読解問題。
それは、高校入試でも大学入試でも、英検でも、TOEICでも、英語に係わる試験において必ずでてきます。そして、はじめて読む内容、見たことのない単語、限られた時間という具合に、英語長文読解問題には様々な困難が付きまといます。
2020年からの教育改革で、英語教育や入試のあり方も変わるようですが、読解力やリーディングの力を問われることはこれまで同様、変わらないといえるでしょう。
それでは、どうすれば英語長文問題を克服することができるのでしょうか?
それには、長文の読み方に慣れておくことが必要です。慣れておくことこそ、克服への第一歩であるといえるでしょう。常に英語長文に接していれば、英文のパターンも見えてきますし、もしかしたら読んだことのある文章が入試に出題されることだってまったくないとは言い切れません。
では、どんな英語長文を読めばいいのでしょうか?それは、英字新聞記事でも、コラムでも何だってかまいません。ということで、今回は、アメリカ国務省のHPからひとつのステートメントを取り上げてみました。今回取り上げた文章では、日本語に直すときに三行先の単語が先頭にくるような、関係詞をつかった長いセンテンスもでてきます。細部まで丁寧に訳してみたので、ぜひ参考にしてください。
出典:アメリカ合衆国国務省ホームページ
https://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2018/06/283056.htm
タイトル
Joint Statement on Australia - New Zealand - United States Pacific Security Cooperation Dialogue 「オーストラリア、ニュージーランド、合衆国による太平洋安全保障協力対話の共同声明」
Dialogueは対話と訳してみましたが、協議、意見交換、あるいは会議でもいいと思います。そういう設問はないと思いますが、もしこのDaialogueを訳せという問題の場合、どれでも正解になると思います。
発信者
Joint Statemant Office of the Spokesperson Washington, DC June 7, 2018 共同声明 報道官より ワシントンDC 2018年6月7日 The text of the following statement was released by the Governments of the United States of America, the Government of Australia, and the Government of New Zealand on the occasion of the inaugural Australia - New Zealand - United States Pacific Security Cooperation Dialogue. 「次の声明文章はオーストラリア、ニュージーランド、合衆国の太平洋安全保障協力対話の発足にあたって、アメリカ合衆国、オーストラリア、ニュージーランド各国政府により発表された。」
inauguralというのが見慣れない単語ですね。このセンテンスでは、 Australia – New Zealand – United States Pacific Security Cooperation Dialogueとちょっと長い名前のこの会の発足、あるいは開始(inaugural)の機会(occasion)に、ステートメントがリリースされた、となっているわけです。名詞形はinaugurationです。大統領の就任式という意味がありますね。
本文
Begin Text: 声明文 On June 6 and 7, Deputy Assistant Secretary Matt Matthews with Australian First Assistant Secretary Daniel Sloper and New Zealand Assistant Secretary Andrew Needs led the inaugural Australia - New Zealand - United States Pacific Security Cooperation Dialogue at the Department of State in Washington, DC. 「6月6日、7日、マット・マシューズ副次官補とオーストラリアのダニエル・スロッパー第一副長官そしてニュージーランドのアンドリュー・ニーズ副長官はワシントンDCの国務省においてオーストラリア、ニュージーランド、合衆国、太平洋安全保障協力対話を発足した。」
ledはleadの過去形です。会の開始に導いたということです。
The Pacific Security Cooperation Dialogue is a trilateral forum that brings together civilian and military representatives from the three governments to discuss a wide range of security issues and identify areas to strengthen cooperation with Pacific Island countries on common regional challenges. 「太平洋安全保障協力対話は安全保障問題を幅広く議論しそして共通の地域的課題のある太平洋島嶼国との協力を強化するべき地域を共通認識するために三カ国政府からの民間人そして軍関係者の代表により構成される三カ国間の討論の場である。」
trilateralは三者からなるという意味です。
Pacific Island countriesとは太平洋上にたくさん存在する島国のことです。フィジー、バヌアツ、トンガ、パプアニューギニア、ソロモン諸島など16くらいあるようです。
The Dialogue complements bilateral discussions each participating country has with Pacific Island countries. 「この対話はそれぞれの参加国が太平洋島嶼国と有する二国間の議論を補足する。」
bilateralは二者間のという意味です。
discussions とeach の間に目的格関係代名詞(この場合はthatまたはwhich)が省略されていることに気づかなければいけません。このセンテンスの主語はThe Dialogue、動詞はcomplementsそして目的語はbilateral discussions です。each以下が関係節として目的語bilateral discussions を修飾しているのです。
『それぞれの参加国が太平洋島嶼国との間に有するところの二国間の議論』という訳になるのです。目的格関係代名詞の省略は関係代名詞のポイントの一つです。今回の文章の中では一番勉強になるセンテンスでした。
Delegations included officials from the three governments responsible for foreign affairs, defense, law enforcement, coast guard, homeland security, development and trade. 「代表団は外交、防衛、警察、沿岸警備、国土安全保障、開発および貿易担当の三カ国政府の事務官を含んだ。」
Dialogue participants reaffirmed a common interest in the prosperity, stability and security of the Indo-Pacific region, and their shared Pacific neighborhood. 「対話参加国は、インド洋・太平洋地域およびその周辺国の繁栄、安定、安全保障に共通の利益があると再確認した。」
All three countries emphasized the importance of strengthened cooperation with Pacific Island countries, including in the context of Pacific Islands Forum initiatives to enhance regional peace, stability and prosperity. 「三カ国すべては、地域の平和と安定そして繁栄を促進するための太平洋諸島フォーラム率先事項を含めて、太平洋島嶼国との協力強化の重要性を強調した。」
The Dialogue identified opportunities for enhanced collaboration among trilateral partners, Pacific Island countries and regional organizations on a range of targeted areas, including: strengthening port security in support of open trade and commerce; increasing maritime domain awareness in the Pacific through enhanced information sharing; supporting the Australia Pacific Security College and associated opportunities for building institutional capacity and cooperative links; combatting transnational organized crime; and military-to-military cooperation. 「この対話は、次の事項を、参加三カ国、太平洋島嶼国、そして域内における地域的な組織の間においての協力関係の促進のための機会とみなした。 ・開かれた貿易および商取引の支援における港湾の安全保障の強化 ・情報共有化の促進を通じて太平洋の領海の認識を拡大すること ・オーストラリア太平洋安全保障大学への支援 ・国境を越え組織されている犯罪組織の撲滅 ・軍関係者同士の協力」
includingのあとのコロンは、以下に列記しますという意味です。
いくつかでてくるセミコロンはandを意味します。
The next round of the Pacific Security Cooperation Dialogue is expected to be held in Canberra, Australia in May 2019. 「次回の太平洋安全保障協力対話の開催は2019年5月にオーストラリアのキャンベラにて予定されている。」 END TEXT 以上
終わりに
練習ですから時間をかけてゆっくり読み取ってみてください。
長文読解は色々なタイプの英文に触れることが上達への近道です。地道に数多くの長文を読んでいくことで、読解能力や読解できるまでのスピードが上がってきます。
沢山の長文に触れることが大事ですから、ぜひともあきらめずに頑張ってくださいね!