現在世界で最も有名なコメディアンであり司会者の一人がジミー・キンメル。そんな彼は先日開催された第90回アカデミー賞でホストを務めました。毎回世界が注目するアカデミー賞。そこで司会を務めるというのは大きなプレッシャーがかかります。しかしプレッシャーを見事にはねのけ、彼は素晴らしいスピーチを行ったり、ジョークを披露したりして、世界中から賞賛されました。今回は第90回アカデミー賞でジミー・キンメルが行った素晴らしいスピーチから英語学習をしましょう。
去年の大失敗に言及
"This year when you hear your name called, don't get up right away. Give us a minute, we don't want another thing. What happened last year was unfortunate." 今年は名前を呼ばれてもすぐに立ち上がらないでください。私たちに少し時間をください。もうあんなことはこりごりですよね。去年起きた出来事はまさに不幸そのもの。
【単語解説】
hear
“hear your name called”で覚えましょう。意味は「名前が呼ばれるのを聞いたら」です。このhearの用法はよく使います。
get up – 立ち上がる
right away – すぐに
happen – 起きる
unfortunate – 不幸
第89回アカデミー賞 で起きた悲劇を覚えてること多いのではないでしょうか。それは作品賞発表の時でした。作品賞は「ラ・ラ・ランド」と発表されましたが、実はこれが間違いだったと判明しましたね。本当の受賞者は「ムーンライト」だったのです。しかし運営のミスで「ラ・ラ・ランド」が作品賞だと当初発表されたのです。ジミー・キンメルは去年の出来事に触れて、今年はすぐに立ち上がらないようにしてくださいとジョークを言っているのです。
絶対に忘れないアカデミー賞になる!?
"We will remember this year as the year men screwed up so badly, women started dating fish." 私たちはこの年を男性が大きなミスを犯した年として覚え続けるでしょう。そして女性が魚とデートし始めた年だとして。
【単語解説】
as – ~として
screw up – 失敗する、やらかす
badly
ここでは「ひどく」という意味で使われていますが、badlyには「すごく」という意味もあります。I miss you badlyで「君のことがとても恋しいよ」という意味になるのです。
このセリフの意味は分かりますか?男性が大きなミスを犯した、これは ハリウッドのセクハラ問題を始めとする女性へのセクハラ問題。世界各国で起きている問題ですね。では、女性が魚とデートをするとはどういうことでしょうか?これはアカデミー賞にノミネートされた作品を見ると分かります。日本でもすでに話題となっている「シェイプ・オブ・ウォーター」。この映画の物語を端的に表すならば、女性が魚とデートすること。男性に愛想をつかした女性が魚とデート始めた年として覚え続けられるであろう、というブラックジョークです。
オスカーのような男性がもっと必要だ
Oscar is the most beloved and respected man in Hollywood. And there’s a very good reason why. Just look at him. Keeps his hands where you can see them. Never says a rude word and most importantly, no penis at all. He is literally a statue of limitations. And that’s the kind of men we need more of in this town. オスカーはハリウッドで最も尊敬されて、愛されている男性です。それを証明するいい理由があります。彼を見てください。両手を隠していません。絶対に失礼な言葉は発しませんし、何よりもペニスがないのです。文字通り彼は制限の像。そしてこの町に住む私たちは、彼のような男性をもっと必要としているのです。
【単語解説】
beloved – 愛される
respected – 尊敬される
rude – 失礼な
literally – 文字通り
オスカー像についての言及。一見すると理解できないかもしれませんが、これは世界中で大きな運動を起こしているMe Too、Time’s Up運動に言及しているのです。勇気を出して嫌な経験を告白した女性たち、世界は良い方向へと向かっています。この流れを止めないためにも、世界が注目するセレブたちがいい例になろうと言及しているのです。
お得意のブラックジョーク炸裂
Timothee (Chalamet) is the star of a small but powerful story called Call Me By Your Name, which did not make a lot of money. In fact, of the nine best picture nominees only two of them made more than 100 million dollars. But that’s not the point — we don’t make films like Call Me By Your Name for money, we make them to upset Mike Pence. ティモシーは小さいながらもとても力強い物語「君の名前で僕を呼んで」と言う映画の主演を務めました。映画は大きな興行収入を上げませんでした。実のところ作品賞にノミネートされている9作品の中で、たったの2作だけが100万ドル以上の興行収入を上げたのです。しかしそれは大きな問題ではありません。「君の名前で僕を呼んで」のような映画をお金のために作ったのではないからです。私たちはマイク・ペンスをイラつかせるためにこういった映画を作ったのです。
【単語解説】
star – 主演
in fact – 実際に
nominee – 候補
upset
upsetは様々な意味がある要チェック単語です。「怒らせる」や「がっかりさせる」、「悲しませる」、「イライラさせる」といった意味があります。文脈に応じて使い分ける必要がありますが、ポジティブな単語ではありません。
ジミー・キンメルの真骨頂が発揮されたセリフ。「君の名前で僕を呼んで」は若い2人の男性が惹かれあうという物語。この映画は大きな売り上げを上げませんでしたが、名作として高く評価されています。キンメルは、こういった同性愛者の映画はマイク・ペンスを怒らせるために制作されたというのです。マイク・ペンスはアメリカ合衆国の副大統領。実は彼は反LGBT主義者として知られています。同性愛者を認めないかのような発言が続くマイク・ペンスを批判したセリフです。
まとめ
今回は第90回アカデミー賞で魅せたジミー・キンメルのセリフを紹介しました。ユーモアと知性をたっぷりと感じられるスピーチを行っていました。ぜひ一度全編に目を通してみてください。また彼がホストを務めるトークショーも英語学習に最適です。ジミー・キンメルと一緒に、英語学習をしつつ、アメリカ合衆国のカルチャーを学ぶと良いですね。