メリル・ストリープとドナルド・トランプ、誰もが両者のことを知っていると思います。ドナルド・トランプ氏は2016年最も話題になった人物で、アメリカ合衆国第45代大統領。その歯に衣を着せぬ発言で、味方だけではなく多くの敵を作ってきました。そんな彼に対して敵意を持っているのはセレブも同じです。
先日行われたゴールデングローブ賞で新たなトランプ氏の敵が現れました。それが大女優メリル・ストリープです。今回は彼女がゴールデングローブ賞で行ったスピーチとそれに対するトランプ氏、そして各著名人の反応から英語学習を行いましょう。
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メリル・ストリープのスピーチ
まずはスピーチをご覧になってみてください。メリル・ストリープのスピーチは非常によく構成されていて、何か心を突き動かすものがありますよね。会場にいたセレブも同様で涙ぐんでいる方も見られます。
しかし1つ疑問に思いませんか?何のことをメリル・ストリープは話しているのでしょうか?感謝を述べた後、メリルは次のように言います。
“You and all of us in this room really belong to the most vilified segment in American society right now. Think about it. Hollywood, Foreigners, and the Press.” 「この部屋にいる全ての人は今のアメリカ社会で最も悪く言われているセグメントに属しています。考えてみてよ。ハリウッド、外国人、そして報道陣」
このセリフの中にヒントが隠されています。彼女はハリウッド外国人映画記者協会をもじって「ハリウッド」、「外国人」、そして「報道陣(記者)」が最も誹謗・中傷に合っていると述べました。何故でしょうか?
続けて彼女はハリウッドとは何なのかと述べています。
“Who are we? and you know, what is Hollywood anyway? It’s just a bunch of people from other places.” 「私たちは何なの?ハリウッドって結局何なの?他の場所からやってきたたくさんの人々がハリウッドなのよ」
メリルはハリウッドとは、様々な場所、つまりアメリカ合衆国内だけではなく、多くの外国からやってきた人々のことだと述べています。キーワードは多様性ですね。その後メリルは会場にいる参加者の多様なバックグラウンドを紹介します。
多様なバックグラウンドを持つ候補者たちを紹介した後、メリルはこう締めくくります。
“So Hollywood is crawling with outsiders and foreigners, and if we kicked all of them out, you’ll have nothing to watch but football and mixed- martial arts which are not the arts.” 「だからハリウッドにはよそ者や外国人がたくさんいるの。もし彼ら全員を追い出したら、フットボールとマーシャルアーツしか見るものがなくなるわよね。そしてそれらは芸術ではないわ」
ハリウッドには様々な肌の色、様々な国籍を持つ人々が集まった場所だということです。ここまで見てきて分かるようにメリルは外国人と共存することの重要性を述べています。そして俳優は唯一外国人を演じることができる職であり、人々にそれはどのようなものかを伝えることができる職だと述べています。
そして問題のシーンが動画3:24から始まります。以下が英文です。
”There was one performance this year that stunned me. It sanks, it hooks in my heart. Not because it was good, there’s nothing good about it. But it was effective and it did its job. It made its intended audience laugh and show their teeth.” 「今年私を漠然とさせたパフォーマンスが1つあったわ。それは私の心にいつも引っかかっているの。それがよかったからではなく、何もいい事なんてないわ。でもそれは効果的で意図した聴衆を笑わせて歯を見せたの」
”It was that moment when the person asking to sit in the most respected seat in our country imitated a disabled reporter—someone he outranked in privilege, power, and the capacity to fight back. It kind of broke my heart when I saw it, and I still can’t get it out of my head because it wasn’t in a movie; it was real life. And this instinct to humiliate, when it’s modeled by someone in the public platform, by someone powerful, filters down into everybody’s life, because it kind of gives permission for other people to do the same thing.” 「この国で最も尊敬される席に座る人間が障害を持ったレポーターの真似をした瞬間でした。特権と力、そして能力を仕返すために見せつけたのです。それを見たとき、ある種胸が張り裂けた思いをしました。未だに忘れることができません。それは映画じゃなかったからです。それは現実で起きたからです。この恥をかかすという本能は、世間のモデルとなる強力な人物が行ったとき、我々の生活になじんでしまうのです。同じことをやっていいというある種の許可を与えているのですから」
Disrespect invites disrespect, violence incites violence. When the powerful use their position to bully others, we all lose. O.K., go on with it. 「軽蔑は軽蔑をもたらし、暴力は暴力をもたらします。権力者が他者をいじめるために自身の立場を使用したら、私たちは敗者となるのです。」
メリルはある強力な力を持つ人物が行った行動に憤りを感じています。その人物こそ、ドナルド・トランプなのです。スピーチで挙がっている。トランプが障害を持ったレポーターの真似をしたと思われる動画がこちらです。
メリル・ストリープはその後もスピーチを続け、会場にいた全員がスタンディングオベーションで彼女を讃えました。動画前半の外国人との共存の重要性もトランプ氏の排外主義を皮肉ったものですね。内容については何も言えませんが、スピーチの構成の仕方は本当に素晴らしいです。ジェスチャー、トーンや抑揚のつけ方も真似したいですね。
単語解説
・forgive me – (私を)許して、ごめんなさいね
・lost one’s voice
動画でメリルは”I’ve lost my voice”と言っています。「声を失った」とはどういうことでしょうか?動画をご覧になった方はお判りでしょうが、メリル・ストリープの声はかれています。メリル自身は叫びすぎたから、”I’ve lost my voice”と言っています。つまり「声が枯れた、声が出ない」という意味ですね。
・lose one’s mind
これもよく使われる表現です。動画で”I’ve lost my mind”とは「気がおかしくなる、正気を失う」という意味です。
・virify – けなす、ののしる
・sharecropper – 小作人
・場所+is / are +crawling+with~
これは「~が場所にうじゃうじゃしている」という意味です。
・effective – 効果的
・intended – 意図した、狙った
・disabled – 身体障害者
・break my heart – 胸が裂ける
・disrespect – 軽蔑
トランプ氏の反応
このメリル・ストリープのスピーチを聞いた後、トランプ氏はまず、「障害を持ったレポーターを馬鹿にしたようなことは一度もない」と否定した後、次のように述べています。
“one of the most over-rated actresses in Hollywood” 「(メリル・ストリープは)ハリウッドで最も過大評価された女優だ」 “a Hillary flunky who lost big.” 「敗者ヒラリーの手先」
実際にトランプ氏が馬鹿にしたのかどうかは定かではありません。先に貼った動画は大きな話題となりましたが、トランプ氏は馬鹿にしてはいないと述べているので断定はできませんね。
ハリウッドの反応
メリル・ストリープのスピーチを聞いた後に多くの賛辞がSNSを中心として挙がってきています。
人気司会者のEllen DeGeneresは次のように述べています。
“There has never been anyone like Meryl Streep. I love her.” 「メリル・ストリープのような人は絶対にいないわ。彼女が大好きよ」
Julianne Mooreもまたメリルのスピーチの一部を抜粋して、彼女に感謝の言葉を述べています。さらにメリルをお気に入りの共演者として挙げている公私ともに仲が良い名優ロバート・デ・ニーロは手紙を書いて、彼女に賛辞の声を与えたそうです。
多くの賛辞があがっている一方、ネガティブな声も聞こえます。
Sean HannityはTwitterで次のように述べています。
”This is exactly why Hwood is DYING, what a bunch of hypocrites. Sex, violence, and drivel rule hwood. Turning the channel.” 「ハリウッドが死んでいることをまさに表しているな、多くの偽善者たちだよ。セックス、暴力、そして戯言がハリウッドを支配するんだ。チャンネルを変えたよ。」
Meghan McCainもまたTwitterで次のように述べています。
”This Meryl Streep speech is why Trump won. And if people in Hollywood don't start recognizing why and how - you will help him get re-elected” 「このメリル・ストリープのスピーチがトランプの勝利の理由だわ。そしてもしハリウッドの人々がその理由と方法を認識しなかったら、トランプを再当選させる手助けをすることになるわ」
トランプ氏に待ち受けるのは数々の試練みたいですね。トランプ氏に関しては賛否両論の声が多いですが、一体どうなるのでしょうか?これからも目を離すことはできませんね。