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over、above、on・・・「上に」の使い分けできますか?

「上に」という時に使う前置詞にon(upon)、over、aboveがあります。学校ではこの順番に習ったと思いますが、それぞれの意味や使い方の違いは意外とあいまいな人が多いようです。今回はそのあたりをすっきりさせましょう!

まず、この3つの中で

 □above/overと、onはまったく別物

ですので、まずaboveとoverの共通点と使い分けから始めて、次にonについてお話しします。そして最後に、above/overの反対語になる「下に」のbelow/underの使い方についても確認しましょう。

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aboveとoverについて

1.aboveとoverの共通点

aboveとoverは「〜より高い所(上)に」(= higher than)という共通の意味があります。そこで、次のような文ではどちらを使うこともできます。

There is a clock above/over the entrance.
 入り口の上に時計がある。

Look, there's a spider on the ceiling just above/over your head.
 見てごらん、あなたの頭の真上の天井にクモがいるよ。

2.aboveとoverを使い分ける場合

次に、aboveとoverを使い分ける場合があります。

(1)あるものが特定の範囲を覆っている時は、overの方が好まれる。(この場合はaboveが使えないわけではありません。)

Black smoke hung over the town.
 黒い煙が町の上にかかっていた。

There is cloud over southern Kanto area.
 関東地方南部は雲でおおわれています。

(2)2つのものが接触している場合はoverを使い、aboveは使わない

Someone had spread a blanket over his body.
 誰かが彼の体に毛布をかけていた。

体を毛布で覆っていますが、両者が接触しているのでaboveになりません。

(注意!)後で出てくるように、接触しているのは原則としてonのイメージですが、「覆っている」場合にはoverが使われます。

(3)反対側への動きにはoverを使う

The horse jumped over the fence.
 馬が柵を飛び越えた。

Did the ball go over the goal line?
 ボールはゴールラインを越えたか?

9月のサッカーワールドカップ最終予選、日本対UAE戦を思い出しますね。この場合はoverをaboveで置き換えることはできませんが、このように横切る動きにはacrossは使えます。もう1つ同じような例を挙げると、

The plane was flying over/across the Channel.
 飛行機はイギリス海峡を越えて飛んでいた。

the Channelと大文字の場合は英仏(ドーバー)海峡(the English Channel)を指すのが一般的です。(フランス語では「カレー海峡」と呼ぶそうですが。)

(4)具体的な数「より大きい」の場合はoverの方が好まれる

There were over forty thousand people in the ballpark.
 球場には4万人以上の観客がつめかけていた。

"Is he still in the teens?" "No, he's well over thirty."
 「彼はまだ十代なの?」「違うよ、とっくに30歳を過ぎている」

(5)「垂直目盛り」で測るイメージがある時はaboveを使う

具体的な数字が出ていても、次のような場合はaboveしか使いません。

The land here is two meters above sea level.
 この土地は海抜2メートルです。

Temperatures in Tokyo will rise above thirty-five degrees.
 東京の気温は35度を超えて上昇するでしょう。

この2つの共通点は、数値が「垂直目盛り」ので測られるイメージがあるということです。この他に「平均以上」はabove averageを使いますが、これは「平均」の水平な線のイメージよりも上、という「垂直」の発想と考えられます。
もっとも、今では円形目盛りの温度計も増えているので、気温はあと何十年かするとoverでもよくなっているかもしれませんね。

(6)真上ではない位置関係ではaboveを使います。

We saw a little house above the lake.
 湖の上の方に小さな家が見えた。

この文は、たとえば湖から少し坂を登ったところや、湖に面した丘の上に家が見えたことになります。これをoverにすると、湖の真上に家が浮かんでいることになるので、現実的にoverが登場することはありません。

on(upon)について

3.on/uponの基本は「接している」

(1)onの基本概念
最初にonを学ぶ時はたいてい「〜の上に」の場面ですが、実はonは「2次元のイメージ」で、上下関係に限らず面が接した状態がonの基本概念です。
(onとuponに意味の違いはありません。口語ではonの方が好まれるという程度です。)

There is a glass on the desk.
 机の上にガラスコップがある。

Look at the no-smoking sign on the wall.
 壁の禁煙表示を見なさい。

Mary painted the picture on the wall.
 壁にかかっている絵はメアリーが描いた。

2つのon the wallが「壁の上」でないことは直感的にわかりますね。「禁煙」という文字は、壁に貼り紙やプレートなどが着いているか、壁に直接書かれているのでしょう。また、次のon the wallは壁にかかっている様子です。

(2)「〜に沿った」「〜に面した」のon
町が川などに「沿った」「面した」というのも、「接している」ことの1つの形態と考えることができます。

Paris is on the Seine.
 パリはセーヌ河畔にある。

The house is a bit noisy, because it's on the main road.
 その家は大通りに面しているのですこしうるさい。

belowとunderについて

4.belowとunderの使い分け

(1)above-belowover-underがそれぞれ反対語
「下に」(= lower than)を表す前置詞belowとunderは、

 aboveの反対がbelow
 overの反対がunder

という関係があります。たとえば、

The treasure was buried ten meters below ground.
 財宝は地下10メートルのところに埋められていた。

これは「垂直に測る」aboveの反対でbelowを使っています。

Come under my umbrella, or you'll get wet.
 私の傘に入って。そうしないと濡れてしまうから。

Kawasaki used to be a town under a thick black cloud of smoke.
 川崎は昔、黒煙の雲に覆われた街だった。

これらは「覆う」overの反対で「覆われる」underです。

(2)「〜より少ない」という数字が年齢と金額の場合はunderが多い

You cannot buy this if you are under 18 years old.
 18歳未満ならこれはお買い上げいただけません。 

The winner got just under 1 million yen.
 勝者は1億円を僅かに下回る金額を勝ち取った。

このような場合には、belowはほとんど使われません。

(3)その他の数字では、ほぼbelow、underのどちらでもよい

The support for Trump has fallen to below/under 30%.
 トランプ氏への支持率は30%を割った。

このように、「上に」のabove、overと「下に」のbelow、underとが反対になりますが、onの反対語は何でしょうか?
答えは「onとoff」です。電化製品のスイッチの「入/切=on/off」ですが、ここでもonの基本は「接触」であることがわかります。

そのあたりの使い方は、また別の機会にしましょう!

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