住宅ローンの早期返済を必ずしも勧めない4つの理由

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マネーの伝統的なセオリーとして、どんな低金利の条件でも、繰り上げ返済できるなら住宅ローンの借入元本は可能な限り早く返済すべき、というのがあります。しかし本当にそれが誰にとってもいい方法なのか?という記事を今回は読んでみましょう、金融英語の単語をたくさん勉強できますよ。
(英文は、”4 reasons why paying off your mortgage isn’t always the best move”, USA Today 2016/10/15より)

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☆ 無借金主義

You've likely heard about the debt-free philosophy espoused by financial gurus such as Dave Ramsey. The idea of gaining financial freedom by paying off all your debts as quickly as possible — even a mortgage with a low, fixed rate — may be appealing, but it's not always a wise strategy, some financial experts say.

デイブ・ラムジーのようなマネーの教組が信奉している「無借金主義」のことを恐らく聞いたことがあるだろう。借金は、それが低い固定金利の住宅ローンであっても、とにかく極力早く完済して身軽になるべきだというものだ。これは魅力的な考えかもしれないが、金融の専門家の中には必ずしも誰にとっても賢い方法ではないという声もある。

(単語チェック)
・debt-free:負債がない
・espouse:信奉する、支持する
・gurus:教組(的な存在)《複数形》
・Dave Ramsey:デイブ・ラムジーは「金融的平和」の著書で有名な、アメリカのカリスマ的ファイナンシャル・プランナー。
・financial freedom:金銭的自由
 特に大金持ちでなくても、好きな時に好きなことができるだけの経済的余力がある状態のこと。
・debts:負債、借金《複数形》
・mortgage:住宅ローン
 発音は「モーゲージ」。読まない「t」のつづりに注意。

長い間には家計にどんなリスクが発生するかはわからないので、借金は持たないのが安全という考え方です。仮に何事も起こらなくても、返済によって節約できた利息相当分の積み重ねが、「老後のゆとり」につながることは事実です。

しかし、超低金利の中で、願ってもないような長期低利の固定ローンが利用できます。生活にまったく困らないほどお金があり余っている人は別として、借金を早期返済しても得にはならない、という人もいます。

彼らは、あわてて返済してもいいことはない理由を次のように説明しています。

1.毎月の資金繰りが苦しくなる
 You’ll lose monthly cash flow

"The best financial planning advice I give to people is to carry a 30-year, fixed-rate loan. No one should be in a hurry to pay it off or to refinance to a 10- or 15-year loan," Edelman says. "You lose liquidity when you take a dollar and give it to your lender to pay off a [mortgage] loan; you'll never see that money again.”

「ファイナンシャルプランニングの観点から最良のアドバイスをするならば、30年の固定住宅ローンを維持することだ。急いで完済したり、10年や15年のローンに借り換えたりする必要なない」と、FPのリック・エデルマン氏は言う。「住宅ローンを完済すると流動性が犠牲になる。その資金は二度と戻ってこないのだ」

(単語チェック)
・fixed-rate:固定金利
・refinance:借り換える
・liquidity:流動性
 手元にあって自由に使えるお金のことを流動性と言います。

住宅ローンを借りている間は、家が担保に取られているので法的には自分のものではありません。そこで、早めにローンを返してしまい、本当に自分の財産にしたいとたいていの人が思います。

ところが、ローンを借りている間は毎月10万円程度の支払いでも、一部でも繰り上げ返済となれば何百万円というお金が出て行き、手元の資金は一気に減ります。その結果、ふだんの買い物でクレジットカードをリボ払いにして20%近い金利を払うのバカらしいではないか、という話です。

2.緊急時に資金不足になる
 You might be in a bind during an emergency

Let's say you lose your job or home values in your area take a nosedive, the way they did during the Great Recession. If you don't have an emergency fund of at least three to six months' worth of living expenses — including your mortgage payments — and your money is tied up in a short-term home loan, you'll be struggling.

失業したり、自分の住む家の価値が暴落したりしたら?事実それはサブプライム大不況の時に起こった。もし、住宅ローン返済も含めて最低3ヶ月から6ヶ月の間の支出をまかなうだけの緊急時用の資金の用意がなく、短期の住宅ローンの返済に追われたら、あなたは首が回らなくなる。

(単語チェック)
・nosedive:暴落する
・the Great Recession:「大不況」
 2007年から2009年にかけて、アメリカのサブプライム住宅ローン危機によって起こった世界的金融不況のこと。the+大文字で書けばこの時の不況を指します。
 一方、the Great Depressionは1929年の「世界大恐慌」のことです。
・tied up:(お金が)~に使われていて流用できない

少し説明が必要ですが、アメリカの家計は住宅市場の相場と深い関係があります。住宅を担保にした短期のローンを多くの家庭が利用していて、価格(資産価値)が上がると借り増しができます。ところが住宅相場が暴落すると、金融機関は担保価値が下がった分の元本返済を要求してきます。これは大きな出費になるので大変だ、ということです。

3.退職後など生涯の資産形成ができなくなる
 You might not be able to save enough for retirement or other financial goals

It's true that debt can be intimidating. But if you're not maxing out your matching contributions to a 401(k) or otherwise saving for retirement, you'll be burning a bridge, Saving for retirement early is critical if you want to take advantage of compound interest, the process by which your investment gains earn their own gains over time.

たしかに借金には潜在的な不安がつきまとう。しかしできる限り年金を積み立てたり、それに代わる退職後のための貯蓄をしたりしなければ、あなたの人生は退路を断たれてしまう。退職後の資金を早めに貯蓄しておくことは、「複利」のメリットを受けるために決定的に重要だ。長い年月の間に利息が利息を生むためだ。

(単語チェック)
・intimidating:脅威になるような
・maxing out:(限界まで)使い切る
・matching contribution:マッチング拠出
 アメリカの確定拠出年金制度(=次の「401(k)」)で、従業員が拠出した金額に応じて企業がその一定割合を上乗せして拠出すること。
・401(k):(日本の確定拠出型年金に当たる米国の企業年金制度)
・burning a bridge:退路を断つ、背水の陣をしく
・critical:重要な
 criticalは「危険な」の他にこの「重要な」の意味もよく使います。
・compound interest:複利

老後の備えが必要なことは言うまでもありません。年金の積立金(と言っても確定拠出なので将来受給できる金額は決まっていませんが)、または貯蓄をできるだけ多くするには、手元に余裕資金を残しておくことが必要です。

4.税制上の優遇を受けられない
 You’ll lose tax benefits

Ask any homeowner, and they'll tell you that one of the best financial aspects of homebuying comes at tax time. When you buy or refinance, the IRS generally allows you to deduct interest you've paid on home equity debt of up to $100,000.

持ち家のある人に尋ねてみれば、金銭的な最大のメリットがわかるのは納税期だと誰もが言うだろう。住宅を買うか、(前の借入残高より高いローン金額で)借り換えした場合、国税では一般に借入額10万ドルまでについて利息が控除される。

(単語チェック)
・IRS:(アメリカの)国税庁
 Internal Revenue Serviceの略です。
・deduct:控除する
・home equity:住宅資産

これは日本にもある住宅ローン控除のことですね。日本なら年末の住宅ローン残高の1%が、その年の所得税から引いてもらえます。サラリーマンなら所得税は毎月給料から引かれているので、翌年確定申告するとその分が返ってきます。

制度の内容は違いますが、アメリカでも同じような仕組みがあるわけで、ローンを早期返済すれば、このメリットは当然なくなります。

いかがですか?正直言ってどちらも一理あります。ただ、企業にも黒字倒産というのがあり、1ヶ月後に1千万円入ることになっていて黒字でも、今日の10万円を支払う現金がなければ会社はつぶれます。

それと同じで、手元(それと老後用)にどれだけお金が確保できているかどうかが、選択の分かれ道になるということだと思います。

ではまた!

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