目の下に隈(くま)がある人を見ると、たいてい「寝不足?」「昨夜遅かったの?」と思いますが、他にも原因があります。記事を読みながら科学に関する英語のボキャブラリーを増やしましょう。
(英文は、”Why do we get bags under our eyes?”, BBC News, 2016/8/4)
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☆ 目のくまとは何か?
"Dark circles" or "bags under the eyes" are of course not clinical terms and can refer to a wide range of phenomena that result in a similar appearance. 目のくま(英語ではdark circlesやbags under the eyesという)というのはもちろん医学的な用語ではなく、似たような外見の原因となる幅広い現象について使われる。
(単語チェック)
clinical:臨床治療の
terms:用語
refer to:〜について触れる、〜に言及する
phenomena:現象
phenomenonの複数形
目のくまは、学問的には「眼窩(がんか)周囲性色素過剰」(periorbital hyperpigmentation。略してPOH)と呼ばれています。
深刻な病気ではないためか、皮膚科の研究の中では重視されてこなかったため、目のくまについて詳しいことはそれほど知られていませんでしたが、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のチームでは、くまができた人に関するさまざまなデータを蓄積して調べてきました。
☆ 色によって原因が違う?
目の下の肌は特に薄いので、皮下の色が表面から見えやすくなります。そのため血管の色が外からは暗い色に見えるのだろう、ということしか知られていませんでした。
Dermatologists can also use colour to identify the underlying cause of those under the eye. 皮膚科学者は、こうした目のくまの根本的な原因をつきとめるために、色にも注目している。
(単語チェック)
dermatologist:皮膚科医
colour:(米国のスペルならcolor)
(注)BBCニュースは英国メディアなので、スペルはすべて英国式です。
underlying:基本的な、根本的な
下部の、下層の
(例)They found the underlying cause of stress.
彼らはストレスの根本的な原因をつきとめた。
判断の根拠となる色には、次のような2つのパターンがあります。
If they appear with a blue, pink, or purple hue that suggests that the colouration comes from blood vessels. 目のくまの色が青、ピンク、紫に見える場合、それは血管の色が現れていると考えられる。
(単語チェック)
hue:色、色彩(color)
colouration / coloration:着色、彩色
blood vessels:血管
If they appear brown, it suggests that there is extra melanin in the skin, perhaps the rarest cause of dark circles. 茶色く見える場合は、肌に過剰なメラニンが生成されていることを示しているが、これはくまの原因としては多分最も稀なものだろう。
(単語チェック)
extra:余分な、必要以上の
melanin:メラニン(黒色素)
rarest:rare(稀な)の最上級
この2つの文はともにIf they appearで始まっています。「appear + 形容詞」で「〜のように見える」です。同じように外観から判断動詞にlookがありますが、「look + 形容詞」の方が実際もそうだろうという確信度が高いという違いがあります。
ここでは、外見上そういう色に見えるけれど診察したら別の見方もあるかもしれない、という含みでappearを使ったのでしょう。
☆ 構造的な原因
The most common explanation for the appearance of dark circles under our eyes is structural, simply due to the loss of subcutaneous fat we all endure as we age. 最も一般的な説明は、目の下にくまができるのは構造的な原因によるものだというものだ。単に年齢とともに皮下脂肪が少なくなるからと考えられている。
(単語チェック)
structural:構造的な
名詞はstructure(構造)
subcutaneous:皮下の
fat:脂肪
endure:耐える、持ちこたえる
age:歳をとる
ここでは動詞として使われています。
しかし、それならば皮下脂肪が減った後はくまが出続けてもおかしくありませんが、寝不足や疲れた時に出てくる原因は?という疑問が残ります。
But these explanations can't really account for the more transitory sort of under-eye bags, the sort you get when you just haven't gotten enough rest. ところがこうした説明では、目のくまが一時的なものだということの説明がよくできていない。たとえば十分休めなかった時にできやすいのはなぜかということだ。
(単語チェック)
account for:説明する
transitory:一時的な
こうした点に注目したのが次の説明です。何らかの原因によって肌が膨張する(むくむ)ことによってくまができることもあります。
Sometimes just after waking up the skin under our eyes is puffier than normal. 時には、しばらく歩いただけでもその後に目の下の肌がふだんよりむくむことがある。
(単語チェック)
puffier:腫れた、むくんだ
puffyの比較級です。
また、食べ物も影響を与えるようです。
A salt-heavy meal can also lead to puffy eyes. So if you gorge on French fries before falling asleep, you could wake up with bags under your eyes. 塩分の多い食事も、目のまわりがむくむ原因になる。寝る前にフライドポテトをたくさん食べると、目が覚めた時にくまができていることもある。
(単語チェック)
salt-heavy:塩分の多い
lead to:〜につながる
gorge on:〜をガツガツ(腹いっぱい)食べる
French fries:フライドポテト
そして、紫外線や生活習慣によってくまができることもあります。
It's also been suggested that exposure to ultraviolet radiation exacerbates POH, as could stress, alcohol, and smoking. また、紫外線にさらされることによって目のくまが目立ることもあり、ストレス、アルコール、喫煙も原因になり得る。
(単語チェック)
exposure:さらされて[露出して]いること
放射線への「被曝(ばく)」もexposureです。
ultraviolet:紫外線(の)
radiation:放射線
exacerbates:〜を悪化させる
as could stress, alcohol, and smoking:
(注)ここでは、as stress, alcohol, and smoking could の語順が入れ替わっています(倒置形)。また、couldの後にexacerbate POHが省略されています。
これまで医学の分野では、目のくまがたいていすぐに消えてしまうものであることもあって、主に美容に関するテーマという扱いを受けてあまり研究が進んで来ませんでした。
しかし、疲れや寝不足だけがくまができる原因ではなく、日ごろの食事や過ごし方に少し気をつけることで、現れにくくなるようです。ご参考になりましたか?