火は昔から人間の生活に密着して、燃える、熱い、明るいなど、いろいろな役割を果たしてきました。そのため火(fire)や燃えるものに関する表現も英語にはたくさんあります。
今回はこれらの中で、ネイティブスピーカーも会話でよく使うフレーズを集めました。
- 火に関係あるイディオム9選
- add fuel to the fire 火に油を注ぐ、事態をさらに悪化させる
- burn the candle at both ends 朝から晩まで忙しく動き回る、無理をし過ぎる
- burn the midnight oil 夜遅くまで働く・勉強する
- burn your bridges behind you 退路を断つ、取り返しがつかない
- can’t hold a candle to 人 ~(人)の足元にも及ばない、比べものにならない
- cooking with gas 乗っている、盛り上がっている
- out of the frying pan (and) into the fire 一難去ってまた一難、踏んだり蹴ったり、いっそう悪くなる
- play with fire 火遊びをする、要らない危険を冒す
- Where there’s a smoke, there’s a fire. 火のないところに煙は立たない。
火に関係あるイディオム9選
add fuel to the fire 火に油を注ぐ、事態をさらに悪化させる
I was already angry with you, and when you forget to pick me up, that really added fuel to the fire. その時すでに君には腹を立てていたが、君が僕を迎えにくるのを忘れたのでもっと頭にきた。
これは、日本語にそのままのことわざがありますね。「勢いの盛んなものにさらに勢いを加えるようなことをする」という例えですが、特に、悪い状況をさらに悪くするようなことをしたり言ったりする状況で使います。
なお、同じ意味の表現に、fan the flames(=炎をあおる)があります。
Racist comments made by Trump fanned the flames of anger. トランプ氏の人種差別的発言は怒りをあおった。
burn the candle at both ends 朝から晩まで忙しく動き回る、無理をし過ぎる
He goes to college during the day and works in a gas station at night. He's burning the candle at both ends. 彼は昼間大学に通いながら夜はガソリンスタンドで働いている。朝から晩まで休む間がない。
直訳すれば「ろうそくの両端に火を付ける」という表現ですが、その意味は、昼も夜も(朝から晩まで)忙しい生活をするということです。
両方から火を付ければろうそくは2倍早く消耗するので、無理なことをして体力を使い果たすという意味でよく使います。
burn the midnight oil 夜遅くまで働く・勉強する
I have an exam tomorrow morning, so I plan to burn the midnight oil tonight. 明日の朝試験があるので、今夜は遅くまで勉強することになっている。
いかにも昔からある表現です。今のように電気がない時代は夜になると油を入れたランプで明かりを取っていて、油が切れれば皆寝てしまいました。
そこで、夜遅くに仕事をするために改めて夜中に油を足したのがmidnight oilということです。
burn your bridges behind you 退路を断つ、取り返しがつかない
If you drop out of school now, you'll be burning your bridges behind you. もし今学校を辞めるなら、取り返しがつかない(退路を断つ)ことになる。
ローマ帝国のシーザーは、軍隊が敵陣を攻撃するために橋を渡ったら、その橋を焼いてしまったそうです。こうすることで、たとえ劣勢になっても絶対にここからは退くことができないようにして、逃げ場のない状態にして死に物狂いで戦わせました。
そのように、退路を経って強い決心をすることを表す勇ましい表現ですが、
Don't burn your bridges behind you. 取り返しのつかないことをするな。
という形でも使います。
can’t hold a candle to 人 ~(人)の足元にも及ばない、比べものにならない
When it comes to playing tennis, I can't hold a candle to John. テニスとなったら私はジョンの足元にも及ばない。
16世紀のヨーロッパでは、暗い道や周囲を照らすために雇われた、link-boyと呼ばれる召使がいました。彼らの仕事は、主人や歩行者のために松明(たいまつ)やろうそくを持っている(hold a candle)ことですが、たいして能力がなくてもできる仕事と考えられていました。
そんな簡単な仕事でさえ、道をまちがったり上手く照らせなかったりすると、その人は「他人のためにろうそくを持つ価値もないほど(not worthy to hold a candle to someone)」能力が劣っていると言われました。
このことから、何かの能力や技術が著しく劣っていることを、can’t hold a candle to(人)と言います。
cooking with gas 乗っている、盛り上がっている
Yesterday he didn't score a single point. But in today's game he was really cooking with gas. 彼は昨日1ポイントも上げられなかったのに、今日の試合では乗りまくっている。
スポーツ選手やミュージシャンなどが、力や魅力を存分に発揮してプレイしている様子を表します。このgasはガソリンではなくガスで、火力としてガスが普及した頃にできた表現です。
薪のように苦労もなく汚れも少なく、楽に料理ができるガスを使うようになって、人々が料理の腕を発揮することができるようになったことから、こう言うようになりました。
out of the frying pan (and) into the fire 一難去ってまた一難、踏んだり蹴ったり、いっそう悪くなる
First I was late. Now I spilled coffee all over the table. I've jumped out of the frying pan ane into the fire. まず遅刻しました。そして今度はテーブルにコーヒーをぶちまけてしまいました。踏んだり蹴ったりです。
frying pan(フライパン)が火にかかっている状態をイメージできれば、「熱いところから脱出したのに、また熱い所に飛び込んでしまった」、つまり一難去ってまた一難のことだとわかります。フライパンより火の方が熱いので、もっと悪い状況になってしまったことを暗示することが多いです。
play with fire 火遊びをする、要らない危険を冒す
They are playing with fire by supplying arms to our enemies. 彼らはわざわざ危険を冒して我々の敵に武器を供給している。
英語のことわざに
If you play with fire you get burnt. 火遊びをすればやけどをする。
というのがあります。
日本語の「火遊びをする」は少し意味が広がって、不倫とか浮気といった大人用語にもなりますが、英語のplay with fireにはその意味はありません。単に火で遊ぶのは危ないし、わざわざそんなことをすれば無用な危険を招く(court dangerと動詞courtを使います)だけだということです。
くだけた感じの会話で「それ、まずい(ヤバイ)ことになるよ」という時にも、You’re playing with fire.が使えます。
Where there’s a smoke, there’s a fire. 火のないところに煙は立たない。
Jack bought a new can of spray paint the day the graffiti appeared. He must have done it. Where there's a smoke, there's a fire. ジャックがペンキのスプレー缶を新しく買ってきた日に落書きが見つかった。彼がやったに違いない。火のないところに煙は立たない。
これも日本語のことわざに対応していますね。まったく根拠がなければうわさは立たないという意味ですが、英語では次のパターンもあります。
There’s no smoke without fire.
こちらの方が日本語の表現に近いので覚えやすいかもしれませんが、「火のない煙はない」という素っ気ない言い方よりも、Where there’s a smokeと言う方が、噂(煙)を見て話している感じがしますね。
火のイディオム、いかがでしたか?日本語そのままでわかりやすいものも多かったと思います。それぞれ由来も加えましたので、一緒に頭に入れていただけると、さらに覚えやすいと思います。