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アメリカ入国審査にSNSアカウントの申請を導入?

アメリカがテロ対策として、国外からの入国者のSNSを調べようとしています。その背景などを、英語で読んでみましょう。
(英文は、”U.S. may screen foreign travelers’ Facebook, Twitter accounts”, USA Today 2016/6/28)

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☆ フェイスブックのプロフィールを申告

The government's next plan to curb terrorism involves snooping around the Facebook profiles of foreign travelers.
 (米国)政府は次のテロ防止計画の1つとして、外国人旅行者のフェイスブックのプロフィールを調べることを検討している。

(単語チェック)
curb:阻止する、防止する、~に歯止めをかける
involves:〜を含む(動詞involveの三人称単数現在形)
snooping around:こっそりと調べる(〜ing形)
 I don’t need nosy reporters snooping around here.
  詮索(せんさく)好きなレポーターたちにコソコソ嗅ぎまわられたくない。

この提案の背景にあるのは、最近のテロ行為が起こる前には、犯人がSNSにそれをほのめかす投稿をすることが少なくなかったということです。このため、入国する時点で申告させ、直ちに当局がSNSを解析しようということです。

☆ ネット上の活動も?

Non-citizens traveling to the U.S. on a visa waiver could be asked about their online presence and social media profiles — but not their account passwords — by U.S. Customs and Border Patrol. 
 米国にビザ免除で入国する非居住者は、税関・国境警備局(CBP)に対してインターネット上での活動やSNSのプロフィールの申告を求められるだろう。ただしアカウントのパスワードまでは求められない見通しだ。

(単語チェック)
non-citizens:米国非居住者
 「非市民」ですがここではnon-U.S. citizen(米国市民でない人)のこと。
 non-resident(非居住者)のことと考えていいでしょう。
visa waiver:ビザ(査証)免除
 動詞waiveから。「(権利などの主張を自発的に)放棄する、断念する」です。
 銀行の手数料や施設の入場料を「免除する」もwaiveです。
online presence:インターネット上の活動、プレゼンス
 オンラインの世界での存在、つまりどんなアカウントかということです。
 メールアカウントなども含むようです。
social media:ソーシャルメディア、SNS
 たとえばフェイスブック、ツイッター、インスタグラムなどのように、インターネット上で参加者が情報を提供・交換・共有して、参加者間のコミュニケーションを活発化させるサービスです。
Customs and Border Patrol:アメリカの「税関・国境警備局」
 アメリカの税関や国境警備を担当する、国土安全保障省の一部門で、旅行、貿易を促進するのと同時にテロリズム、人身売買、麻薬密輸、農業害虫、その他の違法または危険な活動から米国を守るのが役割です。略称CBP。

ツイッターやフェイスブックをはじめとするSNSの運営企業には、テロリストの勢力拡大を助けているという批判が高まっています。しかし企業側は基本的に、「問題のある書き込みは直ちに削除する」という以上の対応はしていません。

そのため、テロ被害者の遺族がSNS運営者を告訴するという事例も出てきました。

The family of a victim of the Paris terrorist attacks in November sued Facebook, Google and Twitter, claiming the companies allowed the Islamic State to spread propaganda to attract and train new recruits and celebrate attacks.
 昨年11月にパリで起きたテロ事件の被害者の家族はフェイスブック、グーグル、ツイッターを訴えた。「イスラム国(IS)」がプロパガンダを広めたり、新たな協力者を勧誘、訓練したり、攻撃を称賛したりするのを許したというのが理由だ。

(単語チェック)
victim:犠牲者
sued:sue(訴える、訴訟を起こす)の過去形
claiming:claim(主張する)の現在分詞
 claimは日本語の「クレーム」とは違います。
 クレームに当たる英語はcomplaint(←動詞complainから)です。
Islamic State:「イスラム国」、「IS」
propaganda:(主義や教義の組織的な)宣伝活動、プロパガンダ
recruits:recruit(新メンバー、新入会員、新入社員)の複数形
 recruit自体にnewの意味がありますが、newがつくこともよくあります。
celebrate:称賛する、褒めたたえる

こうした状況で、企業が動かないのなら当局はできる限りの手をうつという姿勢を見せようとしているのが、この提案です。しかし実効性はあるのでしょうか?

☆ 強制力がなければ効果も限界?

The proposal indicates CBP recognizes the way individual attackers and extremist groups are using social media to spread terror. But some questioned whether it would be that effective, given visitors could choose to avoid divulging their social media handles.
 この提案は、テロリストが個人であれ過激派グループであれ、テロ行為を広めるためにソーシャルメディアを活用しているとCBPが認識していることの表れだ。しかし、旅行者がハンドルネームを明かさないことを選択できるとしたら、それで効果があるのだろうかと疑う声もあった。

(単語チェック)
proposal:提案
extremist:過激派
 extreme(極端な)+ -ist(人)
spread:広める、拡張する
terror:テロ(行為)
that effective:それほど効果的な
 thatには「それほど、それくらいに」という副詞の使い方があります。
 My calculator doesn’t go that high.
  私の電卓ではそんなに大きな数の計算はできません。
given:~と仮定すると、~を考えると
 このgivenは接続詞ですが、前置詞としても同じ意味で使います。
 Given one is in good health, one can achieve anything.
  人間健康でいられれば何でも成し遂げられる。(接続詞)
 Given good health, one can achieve anything.
  人間健康でいられれば何でも成し遂げられる。(前置詞)
divulging:(秘密などを)漏らす、打ち明ける
handles:handle(ハンドルネーム)の複数形
 ハンドルネームは和製英語なので、英語ではhandleを使いましょう。

最終的には、申告が選択制であれば限界があるのではないか、という疑問はもっともだと思います。申告しない人が、テロと無関係でもプライバシーを守りたい人なのか、本当にテロリストなのか、確認するのは難しいですね。

それでも、無関係な人がたまたまフェイスブックでテロリストの「友達」になっていることもあります。そんなわずかな可能性にも賭けなければいけない時代なのかもしれません。

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