「素直な」「だらしない」を英語で言うと?

例文
スポンサーリンク

「あの子は素直な子だ」のように、日本語なら何の気なしに使っている普通の言葉ほど、英語にするのが難しいことがあります。

こういう言葉は「素直な」の他にもたくさんありありますが、今回は良いイメージの言葉から「素直な」、悪いイメージの言葉から「だらしない」にあたるいろいろな英語の言い方を紹介します。

なお、「だらしない」に当たる英語には大きく分けて2つの意味のグループがありますので、分けて説明します。

素直な / 素直に

(1)honest

She is an honest child.
 あの子は(彼女は)素直な子だ。

「素直な」を和英辞典で調べると、たいていgentleやmildという「おとなしい」のイメージか、meekやobedientという「従順な」というイメージのどちらかのようです。「素直な」というのは英語にするのが意外と難しい言葉です。

「あの子は素直な子だ」という時には、「性格が良い」というプラス(ポジティブな)イメージを持っていますが、最初に挙げた「おとなしい」系や「従順」系の単語はどうもこれにぴったり来ません。

ここの「素直な」のもつ意味の大部分は、honestの「正直な」というプラスイメージで十分表されています。

もっとも、「素直な」はhonestよりも意味の幅が広いので、「人の言うことを受け入れる」という意味のreceptive(これも従順系です)を加えて

She is an honest and receptive child.

これだと「素直な」の持つ意味にさらに近づきます。ただ、これでは「あの子は素直な子だ」という日本語に比べてあまりに理屈っぽいので、サラッとhonestでいいでしょう。

(2)willing to 〜

He is always willing to listen to our advice.
 彼は素直に我々の助言を聞いてくれる。

always willing to 〜 で「いつも進んで〜しようとする」という意味なので、ここには「素直に」という話し手の印象や伝えようとするニュアンスが十分含まれています。

(3)without objections

He agrees to negotiate without objections, when we play tough.
 彼はこちらが強い態度を取ると、素直に交渉に応じる。

この例は副詞になりますが、mildlyやobediently、さらにhonestlyでも今ひとつですね。強く出ると反対を引っ込めるという意味で、without objectionsが使えます。

なお、play toughは「強い姿勢をとる」、堅い表現なら「断固たる態度で臨む」にあたる英語です。

だらしない(本来の意味)

(1)sloppy

He is sloppy with money.
 彼は金使いがだらしない。

「だらしない」の本来の意味に近いのはsloppy(ぞんざいな、ずぼらな)です。使う時は「何について」だらしないかを示すsloppy with 〜(〜にだらしない)という形になります。

(2)untidy

She is always untidy.
 彼女はいつもだらしない格好をしている。
(She is always sloppily dressed.)

sloppyと同じような意味で使えるのがuntidy(乱雑な、ずさんな)ですが、untidyは使える場面がずっと広い形容詞です。

たとえば、untidy desk(乱雑な机)、untidy hair(乱れた髪)、untidy beard(無精ひげ)、といった表現もでき、これらは「だらしない机」といった日本語にも対応します。

ここまでは、「だらしない」という日本語の本来の意味にあたる英語の表現でした。実際には、次のようにもう少し幅広い場面・意味で「だらしない」が使われていて、それに対応する英語も変わってきます。

だらしない(派生的な意味)

(1)irresponsible

He was an irresponsible manager who laid off employees when profits were down.
 彼は業績が振るわないとすぐ従業員のクビを切るだらしない経営者だった。

irresponsibleはresponsible(責任がある、信頼できる)の反対語で「無責任な、信頼できない、いいかげんな」の意味です。

きちんとした経営者であれば、業績が悪化したら、利益を減らしてもまず従業員の生活を守ろうとするものです(株主の立場からは反論があるかもしれませんが)。

真っ先に雇用に手を付けるような経営者は、従業員に対していかにも無責任なので、irresponsibleがぴったりです。また、ここでunreliable(信頼できなし)を使うこともできます。

<strong”>(2)unreliable

The Democratic Party was unreliable as a responsible government party.
 民主党は責任与党としてだらしなかった。

この「だらしない」はまさに「あてにならない、信頼できない」ということなので、unreliableに当たります。

また民主党政権時代は、沖縄の基地についての首相の見解が突然変わるなど、規律(discipline)がなかったという意味で、上の文と同じ日本語を

The Democratic Party was lacking discipline as a responsible government party.

と、lack disciplineを使うこともできます。

(3)not doing a good job

The management are to blame because they have not been doing a good job.
 経営(陣)がだらしないのがいけない。

do a good jobは直訳調に「いい仕事をする」という日本語もありますが、「上手くやり遂げる、がんばっている」という意味で、基本的なイディオムです。

ここでは経営陣(managementは単数・複数どちらの扱いもできます。この文では複数扱いしています)が本来すべき仕事・役割をきちんとしていないという意味で、not do a good jobと否定の言い方を使っています。

なお、be to blameは「責めを負うべきである」という表現です。
 He is not to blame for his younger brother’s failure.
  弟の失敗は彼のせいではない。

(4)pitiful / sad

It's pitiful not to be able to speak English after studying it for 10 years.
 10年間も英語を勉強しているのに話せないとはだらしない。

よけいなお世話だ!と怒らないでくださいね。あくまで例文ですので。

それはともかく、「だらしない」は「残念だ、情けない」という意味にも使われるので、これに当たる英語はpitiful、sad、または少し難しい単語ではpathetic(哀れな、痛ましい)もこれに近いニュアンスを持っています。

あるいはもっと簡単に、次のようにIt’s too bad (that)〜 の形にしてもいいですね。

It’s too bad you can’t speak English after studying it for 10 years.

今回は「素直な」と「だらしない」をとり上げて紹介しましたが、「だらしない」の2番目のグループのように、既存の言葉の意味が広がって、比喩的に使われていることも日本語には少なくありません。

簡単な日本語ほど要注意なので、和英辞書は一度疑って元の日本語の意味を考えてみると、鋭い訳ができるようになりますよ。がんばってください!

タイトルとURLをコピーしました