マクドナルドのヒット商品「マックグリドル」を開発し、退社後創業した高級ハンバーガーチェーン「スマッシュバーガー」が急成長中のトム・ライアン氏。彼が革新的なアイデアを生み出すコツを、英語表現をチェックしながら読んでみましょう。
(英文は、”6 ways to be more creative, from the man who gave America the McGriddle”, CNBC.com 2016/6/15)
ライアン氏は創造力についてこう言っています。
"It starts with a vision of how you're going to make a difference that resonates with consumers." 「創造力の第一歩は、どうすれば顧客の共感を得られるような良いものができるかという洞察力だ」
(単語チェック)
start with:〜始まる
vision:先見、洞察力
make a difference:(状況を)改善する、良くする
resonate with:~に反響する、(人)の心に響く、~の間で共感を呼ぶ
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☆ 天性の要素と育てる要素
「大企業には現状維持を望む傾向がある」というライアン氏は、彼が関わったピザハットとマクドナルドでもメニューを大幅に変えてきました。その後彼は2007年に「スマッシュバーガー」の共同創業者となり、独自のメニューを売りに現在では店舗数が360を超えるまでに拡大しています。
ライアン氏が長い間にわたり、大企業の中でも経営者としても創造性を発揮し続ける秘密は何なのでしょうか?
To start with, Ryan sees creativity as a skill that's part nature and part nurture. On the nature front, it requires confidence, poise, bravery, conviction, perseverance and intelligence. On the nurture side, Ryan shared several tactics for developing creativity. まず、ライアン氏の考える創造力とは、一部は生まれつき持った性質であり、一部は自分で育てるものだ。天性の要素として必要なのは、自信、バランス感覚、勇気、信念の強さ、忍耐、そして知性だ。そして自分で育てることができるものとして、ライアンしは創造力を養うためのいくつかの方法を披露してくれた。
(単語チェック)
to start with:第一に、初めに
nurture:養育、育成
poise:平衡(状態)、バランス
conviction:信念の強さ
perseverance:忍耐、根気強さ
tactics:戦術、戦法
☆ 独創性を伸ばすには
1.周辺を見わたす(You should look at the periphery.)
Ryan stressed the importance of understanding change beyond just your niche. ライアン氏が強調するのは、自分の得意分野の先にある変化を理解することの重要性だ。
(単語チェック)
periphery:周辺
niche:特定分野
たとえば、彼は料理の本(cookbook)を1,000冊以上持っていますが、それは自分が料理をするためではありません。人々の食生活の進化に遅れないためには、「食」の世界のテーマに常に目を配る必要があるからです。
2.誰とでも話をする(You need to talk to everyone.)
Communicate, communicate, communicate. Tapping your network and beyond can spark great ideas for innovators. とにかくコミュニケーションだ。自分のネットワークや、そこから先のつながりを利用することが、革新につながる素晴らしいアイデアのきっかけになる。
(単語チェック)
tap:(~の資源や能力などを)利用する、活用する
Tapping the mass consumer market is necessary to be competitive.
大衆消費者市場を開拓することが、競争に勝つために必要だ。
spark:~の火付け役となる
The investigation was sparked by a tip from a confidential source.
その捜査の口火を切ったのは、秘密の情報源からの情報だった。
3.ビジネス環境に敏感になる(You have to be savvy about the business environment.)
(単語チェック)
savvy:抜け目のない、知覚の鋭い
新しいアイデアも、ビジネスとして意味がある(make business sense)ものでなければ会社に貢献することはできません。その成功例が、朝食時の売上を伸ばしたマックグリドルです。
ライアン氏は、デニーズの人気朝食メニュー「グランドスラム」(卵、ソーセージ、ハッシュド・ポテト、パンケーキなどの組み合わせ)のように甘さも楽しめるメニューが必要だと考えました。
それをマクドナルドらしい形にするために、ハンバーガーのパンケーキにメープルシロップを入れて登場したのがマックグリドルでした。
4.偏見にとらわれずに考える(You have to keep an open mind.)
Don't get stuck. Instead, be open to considering fresh ideas. 固定観念にとらわれてはいけない。新しいアイデアを前向きに検討しよう。
(単語チェック)
open mind:偏見のない心、広い心
get stuck:(ある状況から)抜け出せなくなる
open to: (可能性などが~に)開かれている
5.自分のためになる人生観を持つ(You should find an outlook on life that works for you.)
ライアン氏の場合、それは「自分の中では永遠に32歳」というものです。どういう意味でしょうか?
That's the age that people are when they've hit their stride but are still on the cusp of the rest of their lives. 32歳というのは人間が本領を発揮する時期に達する一方で、残りの人生の始まりでもある時期だからだ。
(単語チェック)
outlook on life:人生観
work for:〜の役に立つ
hit one’s stride:本調子になる、本領を発揮する
After just three months at the company, he hit his stride.
入社後わずか3カ月で、彼は本領を発揮した。
on the cusp of:~の最前線で、~の変わり目で
責任も与えられて仕事をバリバリできるのと同時に、自分の一生のプランを長い目で余裕を持って見通せるという、一番良い時期だというのですね。それに、若い後輩から見ても、オジサンと言われないギリギリのラインではないでしょうか。
6.素晴らしいチームの仲間と協力する(You need to surround yourself with a great team.)
It takes a team to get a big idea like the McGriddle off the ground. マックグリドルのようなヒットを送り出すにはチームの力が必要だ。
(単語チェック)
surround oneself with:〜に囲まれる、〜の中に身を置く
off the ground:発足して、離陸して
個人では1つのアイデアしか浮かばなくても、グループなら数々のアイデアが集まり、練られていくうちに、誰もが考えつかなかった独創的なヒットにつながる、とライアン氏は強調しています。
マックグリドルも、決してライアン氏1人のアイデアではなかったことがわかります。あなたの仕事の、またこれからの人生のヒントになったでしょうか?