失業して喜ぶ人はいませんが、誰でも知っている有名人の中にはクビになったのがきっかけでその後ビジネスに大成功した人も少なくありません。アメリカのカリスマ6人の話を、英語をチェックしながら読んで行きましょう。
(英文は、”9 business icons who turned a career calamity into billions”, CNBC.com 2016/6/15)
<関連サイト> スカイプ英会話を探すなら! | オンライン英会話比較360°
1.ウォルト・ディズニー(Walt Disney)
ウォルト・ディズニーは1901年生まれ。世界的エンターテインメント企業「ウォルト・ディズニー・カンパニー」の創業者です。ミッキーマウスの生みの親である彼の名前を知らない人は珍しいでしょう。
ディズニーから学ぶこと
Few managers are blessed with the ability to recognize true creativity. 本当の創造力を見極める才能に恵まれた経営者はほとんどいない。
(単語)
・blessed with:~に恵まれている
・creativity:創造力
彼は新聞社で漫画を描いていましたが、「創造力が足りない(not creative enough)」という理由で解雇されました。しかしその後アニメの可能性に目覚め、兄とともに「ディズニー・ブラザーズ社」を創業しました。
アニメの成功を受けて開設したテーマパーク「ディズニーランド」も大ヒットし、彼の創造力を次々と形にしたウォルト・ディズニー・カンパニーは、現在時価総額1600億ドル(約16兆8000億円)の超大企業に成長しています。
2.スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)
スティーブ・ジョブズは1955年生まれ。アップルの共同創業者で、iPod、iPhoneといった製品を次々発表し、アメリカの最も偉大なイノベーターの1人と言われました。
ジョブズから学ぶこと
Take the time to clear your head after a bad job experience. Plan your next move, connect what you do to what you love — and don't settle. 仕事でつらい経験をしたら、時間を取って頭を整理しなさい。次にすることを計画し、情熱を持てることに向かって行動する。そして前に進むことを止めてはいけない。
(単語)
・clear one’s head:頭をすっきりさせる、考えを整理する
It lets me clear my head.
それで私は気分が晴れる(気持ちが整理される)。
・settle:〔人がある場所で〕落ち着く、ゆったりする
彼は、スティーブ・ウォズニアックと共にホームコンピュータ「Apple II」で大成功を収め、25歳でフォーブスの長者番付に載りました。しかし自分が社長にスカウトしたジョン・スカリーによって、名前だけの会長職に退かされ、事実上アップルを追放されました。
そこでジョブズは、自分が本当にしたいことをじっくり考えました。アニメスタジオ「ピクサー」の買収と新しい会社でのOS(コンピューター基本ソフト)の開発をした彼は、経営不振だったアップルについに復帰。その後iPod、iPhone、iPadなどを軸にアップルをデジタル家電とメディア配信の企業に生まれ変わらせました。
3.マーク・キューバン(Mark Cuban)
マーク・キューバンは1958年生まれのアメリカの実業家。映画制作会社など多数の企業を傘下に収めるエンターテインメント企業「2929 Entertainment」の共同オーナーで、NBAのダラス・マーベリックスのオーナーとしても知られています。
キューバンから学ぶこと
キューバンは25歳の時にコンピューターのコンサルティング・セールスの職を失いましたが、仕事に対して固い信念を持っていました。
Cuban says he had figured out that "sales cures all." キューバンは「売れさえすれば全ての問題は解決する」ことがわかっていたと言う。
(単語)
・cure:(病気を)治す、癒やす
彼はこの信念を持って独自の積極的なセールスを続け、「見込み客(potential clients)とは会わず、既存の取引先に集中しろ」という上司の命令に従わなかったのでクビを言い渡されたのです。
しかし彼は解雇されると、自分でコンピューターのコンサルティング会社を立ち上げ、自分の信じるセールス方針で取引先の開拓を始めました。彼の最初のターゲットは、自分を解雇した上司の取引先で、結局全部自分の顧客にしたのでした。
4.マイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)
マイケル・ブルームバーグは、1942年生まれのアメリカ合衆国の実業家、政治家で、前ニューヨーク市長でした。
ブルームバーグから学ぶこと
If you have a big idea, don't let one company's inability to exploit it get you down. 自分の素晴らしいアイデアが1つの会社で活かされなくても、へこたれてはいけない。
(単語)
・exploit:〜を利用する、活用する
彼の場合はクビと言っても、証券会社大手のソロモン・ブラザーズの共同経営者にまでなった後に路線の違いから会社を追われ、1000万ドル(10億円余り)の退職金(severance)を手にしていました。それをもとに、
He bet the ranch on his idea for next-generation data services. 彼は次世代データサービスという自分のアイデアに自分の将来を賭けた。
(単語)
・bet the ranch:大きな賭けをする
ranchは「牧場」。牧場のような大きな財産を賭けるという意味。
ranchの代わりにhouseやfarmのこともあります。
ブルームバーグは、ソロモン時代に自分で開発して自分を債券のトップセールスマンにしたシステムを、金融情報端末として完成させて起業しました。これはまさに革命的な端末で、「Bloomberg」はあっという間にウォール街の必須のシステムになり、彼は巨万の富を築きました。
5.リー・アイアコッカ(Lee Iacocca)
リー・アイアコッカは1924年生まれ。アメリカの自動車メーカー、フォードの社長と、クライスラーの会長を務めました。
アイアコッカから学ぶこと
Never pick a fight with a boss whose name is on the door. 創業家の上司と争ってはいけない。
(単語)
・pick a fight with:〜にケンカを売る
・name on the door:表札の名前
アイアコッカはフォードの社長時代に優れた業績を上げながら、創業者の孫で会長だったヘンリー・フォード2世と対立しました。そして史上最高の売上を2期連続で達成した時に「お前が好きでなくなった」という理由で解雇されました。
アイアコッカがクライスラー社の会長に就任すると、破産寸前とまでいわれたクライスラーは中・小型車をヒットさせ、見事な再建を果たしました。数十万人のアメリカ人の雇用を守ったクライスラーはアメリカの英雄になりました。
6.オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)
オプラ・ウィンフリーは、1954年生まれのアメリカの俳優、テレビ番組の司会者、プロデューサーです。
ウィンフリーから学ぶこと
Fit matters. Just because you're bad at one job doesn't mean you won't be fantastic at something else.
適性は重要だ。1つの仕事で上手く行かなくても、何か他のことなら素晴らしい結果を出せるかもしれない。
(単語)
・fit:(物事の)適合
・matter:重要である
テレビのニュースキャスターだったウィンフリーは、感情を表に出しすぎるという理由で降板させられ、ローカル局のトーク番組担当になりました。その『オプラ・ウィンフリー・ショー』が全国のファンをつかみ、アメリカのトーク番組史上最高の番組と言われるようになりました。
Oprah has said this bit of "luck" was in part due to persevering in a bad situation and being under contract. オプラによれば、1つの「幸運」をもたらしたのは逆境に耐えたことと、契約を解除されなかったことだった。
(単語)
・persevering:動詞persevere(我慢する、辛抱する)の動名詞
・under contract:契約して
彼女の場合は失業したわけではありませんが、「キャスター失格」の烙印を押されました。ところがキャスターとしてはマイナスだった自分のキャラクターを、次の仕事で見事に開花させたのですね。
いかがでしたか?仕事を失った経験がなければビジネスに成功しない、ということはありませんが、「災い転じて福となす」という心構えは誰にも必要なのでしょう。少なくとも、この6人が成功からよりも失敗から多くを学んだことは間違いありません。