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NHLの「ミスター・ホッケー」ゴーディ・ハウ死去

北米プロアイスホッケーリーグNHLの伝説的な名選手で、「ミスター・ホッケー」と呼ばれたゴーディ・ハウ氏が、6月10日に88歳で死去したことが伝えられました。英語を読みながら、このNHLのレジェンドの功績と人物を振り返ります。
(英文は、”NHL legend Gordie Howe dies at 88″, USA Today 2016/6/10)

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☆ 最も偉大な選手でありアンバサダー

Gordie Howe, considered one of the NHL's greatest players and ambassadors, died Friday at 88.
 アメリカのアイスホッケーリーグで、選手としてもリーグの顔としても最も偉大な存在の1人と言われた、ゴーディ・ハウ氏が金曜日(6月10日)に88歳で死去した。

(単語チェック)
NHL:アメリカ(カナダを含む)のアイスホッケーリーグ
 National Hockey League の略
considered:見なされて
ambassador:(象徴的に)大使、アンバサダー
 本来は国の代表としての外交官としての「大使」のことですが、一般に団体や特定のイベントを推進するための象徴的な「代表」のような役割を果たす人も ambassador で、日本語でも「アンバサダー」を使っています。ここでは「顔」を当ててみました。

ゴーディ・ハウ(Gordon “Gordie” Howe)は1928年生まれのカナダ出身のアイスホッケー選手です。1946~47年シーズンにデビューし、79~80年シーズンを最後に引退するまで、最優秀選手(MVP)と最高ポイントを6度ずつ獲得。NHL王座を決めるスタンリー・カップで4度の優勝経験があります。

通算1071という得点数はウェイン・グレツキーに抜かれるまで史上最高でしたが、それにも増して特筆すべきなのは、シーズンのゴール数上位5位以内を20年間続けたことです。これはどのスポーツを見ても恐らく誰も届かない偉業と言われています。彼が「ミスター・ホッケー」と言われたのは当然ですね。

Howe, who turned 88 in March, had been diagnosed with dementia in 2012. He had previously taken care of his wife, Colleen, until she died from complications of Pick's Disease, a form of dementia, in 2009.
 ハウは3月に88歳になったが、2012年に認知症と診断されていた。彼は妻のコリーンが認知症の一種であるピック病による合併症で2009年に亡くなるまで、彼女の介護をしていたことがあった。

(単語チェック)
turn:(年齢が)〜歳になる
diagnose:診断する
dementia:認知症
take care of:〜の世話をする
complications:合併症
 complicate(複雑な)から、「複雑にすること」で、病名としての「合併症」のことを言います。
Pick’s Disease:ピック病
 若年性認知症の1つです。

☆ 「アイスホッケーのベーブ・ルース」

彼は選手生活の中で3度引退しています。1946年のデビューから25年後の1971年に、手首の故障のためにNHLから最初の引退をしました。しかしその1年後に新リーグWHA (World Hockey Association)が設立されると手首の手術をして1973年に現役に復帰し、チームはこの年と翌年に連続優勝しました。またハウは1974年に46歳でリーグMVPを獲得しました。

1980年に52歳で2度目の引退をしたハウですが、1997年に1試合のみの出場契約を締結して、何と60歳でリンクに返り咲きを果し、これが本当に現役最後のプレーになりました。この時はプロデビューしてから50年経っていましたが、2度目の引退の80年までの期間だけでも、アイスホッケーのような苛酷なスポーツでは驚異的なことです。

During Howe's peak years in the 1950s and 1960s, he seemed more popular than his sport. Howe was often featured in newsreels. The late Detroit Red Wings general manager Jack Adams called Howe "the Babe Ruth of hockey." 
 ハウの全盛期だった1950年代から60年代には、彼はアイスホッケーというスポーツよりも有名に思えるほどだった。ハウはたびたびニュース映画でも特集された。デトロイト・レッドウィングスの監督だった故ジャック・アダムス氏はハウを「アイスホッケー界のベーブ・ルース」と呼んだ。

(単語チェック)
peak years:全盛期
feature:特集する
newsreel:ニュース映画
late:「故〜」
Babe Ruth:ベーブ・ルース
 アメリカの野球選手で、主にレッドソックス、ヤンキースに在籍して通算ホームラン714本。「野球の神様」と呼ばれています。メジャー3年目の1916年には投手としても最優秀防御率のタイトルを獲得しました。

史上2位の通算ポイント数を始め、選手として数々の記録を打ち立てたハウは、このようにリンクの外でも多くのメディアにとり上げられることで、まさにアイスホッケーというスポーツの「アンバサダー」としての役割を果たしていたのでした。

アメリカの放送局NBCの有名なスポーツキャスターであるマイク・エムリック氏は次のように語っています。

"What he did for the sport in the U.S. — during its several eras of growth — was to epitomize the humility and friendliness of hockey athletes." Emrick said. "People came up to Gordie Howe because they knew they could. And they would walk away with a smile on their face, just like they expected to."
 「アイスホッケーはアメリカで何度もの成長の時代を経験したが、その中での彼の貢献は、ホッケー選手の謙虚さと親しみやすさのお手本となったことだった」とエムリック氏は語っている。
 「ファンは安心して(そうしてもいいとわかっているので)ゴーディ・ハウのもとを訪れた。そして、期待していた通りの笑顔を浮かべて帰っていぃくのだった。」

(単語チェック)
epitomize:〜の典型(良い例)となる、
humility:謙虚さ

こうしてみると、何となく日本のプロ野球のスーパースターだった、巨人の長嶋茂雄終身名誉総監督とイメージがダブってきますが、どうでしょうか?「巨人は嫌いでも長嶋は好き」「野球に興味はいけれど長嶋のファン」という人は現役時代にたくさんいました。

NHL関係者の中には、「現役時代に対戦した時、スーパーマンと戦っているように感じた」「彼は常にアイスホッケーとともに存在した」などと賞賛する声が跡を絶ちません。なにしろプロとして32年間プレーしたのですから。

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