コバートアフェアのヒロインは、その語学力を買われてCIAに採用されたアニー・ウォーカー。
ゴージャスなルックスの同僚や他国の同業者に囲まれるスタイリッシュなアクションドラマです。
製作総指揮は「ボーン・アイデンティティ」シリーズのダグ・リーマン。
ボーンシリーズ同様のノンストップアクションが大きな魅力で、2010年に放送がスタートして以来、二転三転するストーリー展開から目が離せない上質なエンターテイメントとして評価されています。
残念ながら、ドラマはシーズン5で終了。
日本では2015年秋にファイナルシーズンが公開・発売されました。
駆け出しのアニーが、少しずつ実績を積んでいくシーズン1のエピソード3から、日常でも使える表現を少しご紹介しましょう。
このエピソードでのアニーのミッションは、ベネズエラ政府職員ポンセスの愛人である銀行職員のフリアをCIAの協力者として取り込むことです。
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◆恋愛と人生
ポンセスは多額の横領で当局から目を付けられておりいずれ逮捕されると、アニーがフリアを説得するシーンです。
フリアが愛に関する持論を語っています。
Annie : There's no future with him.「彼に未来はないわ」 Julia : Don't try to reason with love.「愛を理性で説得しようとしても無駄よ」 A : Then don't get burned by it.「じゃあ、やけどしないようにね」 J : Because it happened to you ? I see. And now, you are a woman with walls.「あなたがそうだったから?そうなのね。それで、自分の周りに壁を作る女になったのね」
Don’t で始まる命令文は禁止を表す、と学校で習ったと思いますが、Don’t try to ~ は「~しようとしてはいけない」という禁止の意味ではおかしいですね。
It is no use ~ing 「~しても無駄だ」と同じような意味で解釈したほうが自然です。
try 「やってみる」では役に立たないことをDon’t try と言うようになったと考えるといいでしょう。
また、ここでは「理由」という意味でおなじみのreason が、動詞で使われています。
「論理的に諭す」という意味です。
普通は次のように前置詞を使い分けます。
reason with :人 .
reason on / upon / of :対象となることがら
まとめると、次のようになります。
Annie tried to reason with Julia on leaving him, but she didn’t listen.
My love で恋人を表すことがあるように、ここでは、love で「熱愛中の人」を表しています。
◆一緒にどう?
スパイ同士の熾烈な情報戦から帰宅すると、アニーとは正反対に料理上手で家庭的な姉ダニエルが待っています。
ダニエルはアニーが博物館の展示品を買い付ける仕事をしていると思っていて、アニーはダニエルの家の離れに住んでいます。
二人の会話はガールズトーク。
任務中とは違ったホームドラマに切り替わります。
Daniel : (You) Are not gonna ①join us in breakfast ?「朝食一緒に食べないの?」 Annie : It's like a ②love twister in there.「だって、愛情の争奪戦みたいだったんだもの」
今自分がやっていることに相手を誘う表現が ①join us. です。
しばらく前ですが、子ども英会話教室のCMにも使われていましたね。
ここでは、ダニエルはAren’t you going to join us ? 「一緒にするつもりじゃないの?」のつもりで尋ねています。
be going to を使ってアニーの意思をきいているんです。
join を使ったほかの例では、Why don’t you join us ?「ぜひ一緒にしましょう」という表現もあります。
Why don’t you ~ は、相手がきっとのってくるだろう(断らないだろう)と思っていることを相手に勧めるときによく使われます。
Why don’t we do it together ? と同じ意味になります。
会話・食事・イベントへの参加など、さまざまな場面で使うことができる便利な表現です。
twister は竜巻tornadoのことですが、学童期の娘たちが母親の注意を引こうといたずらをして騒いでいる様子を、アニーが②love twister と表現しているんです。
素直に「自分を見て」と言えない子ども心がtwister(ねじ曲がってる様子+人を表す-er)なんでしょうね。
ちなみに、twister には「混乱させるもの」という意味もあり、早口言葉はtongue twister と言います。
舌がもつれそうになるところをうまく表していますよね。
◆各国の諜報機関
ヒロインが世界を股にかけて活躍するこのドラマでは、いろいろな調査・諜報機関が出てきます。
例えば、アメリカのCIAとFBIの違い、ご存知ですか?
少し長くなりますが、ここで整理しておきましょう。
①CIA Central Intelligence Agency アメリカ中央情報局
アメリカ大統領直轄機関で、対外的な諜報活動を行います。
活動範囲は広域・広範囲に及び、巨額の予算を持つといわれています。
コバートアフェアでは、PDP(Domestic Protection Division:国内防衛部)という部署が出てきますが、組織の全容は公開されていませんから、実在するかは不明です。
②FBI Federal Bureau of Investigation アメリカ連邦捜査局
アメリカ政府の司法省に属する法執行機関。
アメリカ国内の大きな犯罪や公安事件を取り扱います。
刑事ドラマではときどき、所轄警察(local police)とFBIの捜査員(FBI agent)とが事件の管轄(jurisdiction)で争うシーンがありますが、FBIが扱うのは、州をまたぐ広域犯罪、被害が巨額になる犯罪、IT犯罪やマネーロンダリングなどのように、所轄警察の捜査能力を超える可能性のある特殊な技能や知識が必要な犯罪、そして汚職のような連邦政府の職員がかかわる犯罪です。
③MI6 Secret Intelligence Service イギリス情報局秘密情報部
かつては、Military Intelligence Section 6 と呼ばれていたため、この略称が使われます。
外務省の管轄で、イギリス国外の諜報活動を行います。
MI6所属で有名なヒーローはジェームス・ボンド。
④モサド Mossad イスラエル諜報特務庁
日本ではあまりなじみがありませんが、英語の正式名称はInstitute for Intelligence and Special Operationsといい、イスラエルの首相府の管轄下にある対外諜報活動と特務工作、対テロ活動を担当する機関です。
「モサド」とは、ヘブライ語で「組織・機関」を表す言葉です。
イスラエル国防軍に採用されたスタッフからなり、フィクションの世界では、特に身体能力が高い工作員として描かれていることが多く、コバートアフェアに出てくるエイアル・ラビンも、屈強な肉体と固い忠誠心をもつ知識豊富なベテラン工作員という設定になっています。
現実のCIAもイスラエル諜報特務庁とのつながりが深いといわれています。
◆まとめ
「コバートアフェア」は、CIA諜報員であるヒロインが世界を股にかけて活躍するという設定から、海外ロケも多く、華やかなドラマです。
一方で、ヒロインの姉は子育てに追われる家庭的な主婦で、姉妹で恋愛観や人生観を語り合うシーンも登場します。
特殊な世界だけでなく、日常と地続きの生活も描いているため、普段でも使える表現を拾うことができます。
ヒロインのファッションとゴージャスな男性俳優陣を楽しみながら、使える英語表現を見つけてください。