英語の勉強をはじめるとき、まずはかんたんな挨拶から覚える、というのが一般的です。
皆さんが中学生時代に英語を学びはじめたときも、
例えば、
「おはよう」=“Good morning.”
「こんにちは」= “Hello.”
「ありがとう」=“Thank you.”
「おやすみ」=“Good night.”
という挨拶から覚えたという方が多いのではないでしょうか。
こういった多くの方が知っている基本的な表現は、英会話本の挨拶ページにも載っています。
しかし、これらの表現をただ丸暗記するだけで満足してしまうのはとても危険です。
例えば、私が前に持っていた英会話本には、他にも
「ただいま」=“I’m home.”
「おかえり」=“Welcome back.”
と載っていました。
最初の海外留学のとき、これらの基本表現を暗記して意気揚々と出かけたのですが・・・
ホームステイ先で、こうしたやり取りがされるのを見たことは一度もありませんでした。
「いつ、どの状況で使うのか」を把握しよう!
結論から言うと、「ただいま」「おかえり」という挨拶は日本特有の表現であるため、英語に置き換えることはできません。
“I’m home.” (帰ったよ)という言葉を使うのは、自分が家に帰った時、玄関に誰もおらず、家のどこかにいるはずの誰かに自分の帰宅を知らせる時だけです。
もしあなたが家のドアを開けて、玄関のそばにいるホストファミリーに”I’m home.” と声を掛けたら、“I know.”(知ってるよ)と言われてしまうかもしれません。
“Welcome back.”(お帰りなさい) も、日本と使う場面が異なります。
“Welcome back.”には、「よく戻って来た」「お疲れ様」といったようなニュアンスが込められているため、長期間不在にしていた友人や家族を迎えるときなどに使います。
では、英語圏では家に帰った時は挨拶もせず無言なのでしょうか?
決して、そうではありません。
日本のように決まり文句がないだけで、普段通り“Hi”(やあ)や“Hi, how was your day?”(やあ、今日はどうだった?)といったような会話が交わされています。
日本とは異なる状況で使われる英語の挨拶表現。
ですから、ただ丸暗記するのではなく、「いつ、どこで使うのか」を把握することが大切なのです。
他にもいろいろある、日本特有の表現
英語に置き換えることができない日本特有の挨拶表現は、他にもたくさんあります。
例えば、
・いってきます、いってらっしゃい
・もったいない
・いただきます、ごちそうさま
・よろしくお願いします
これらの表現も、ピンポイントで英語に置き換えることはできません。
もし、英語で表現するのであれば、
・いってきます、いってらっしゃい
→“See you.”(またね)“See you later.”(またあとで)
・もったいない
→“What a waste!”(無駄にしてる!)“It is too good for me.”(私には良すぎる)
・いただきます、ごちそうさま
→“Let’s eat!”(食べよう!)“It was good.”(美味しかった)
・よろしくお願いします
→“Nice to meet you.”(初対面で「よろしくお願いします」)
“Thank you.”(何か頼み事などをした際の、「よろしくお願いします」)
となるでしょうか。
しかし、これらはあくまでも一例です。
場面や状況によって言い方は何通りもありますので、単に言葉を丸暗記しても、使う場面を把握していなければ、意味が通じなくなってしまうということがありえます。
ですから、やはり「いつ、どこで使うのか」を把握することが大事なわけです。
まとめ
せっかく英語を学ぶのであれば、受験勉強のようにただ詰め込むよりも、楽しく身に付けていきたいですよね。
そのためにも、日本と英語圏の国の文化の違いについて調べてみてはいかがでしょうか。
文化の違いが分れば、「なぜこの状況で、この表現を使うのか」ということに対しても理解を深めることができるでしょう。
こうした理解が深まれば、丸暗記ではなく、英語をより楽しく身につけられるようになると思います。
<この記事を要約すると>
・英会話本に載っている挨拶の基本表現を丸暗記するだけでは危険
・「ただいま」「おかえり」は日本語に特有の表現で、英語に置き換えることは難しい
・挨拶表現は「いつ、どこで使うのか」を把握することが大切