筆者は2011年より都内カフェでマンツーマン英会話レッスンを続けていますが、毎度同じフィリピン人の先生を指名してかれこれ累計100回ほどレッスンを達成しました。
隔週だったり、隔月だったりと、ペースは一定ではありませんでしたが、地味にほそぼそと続けたおかげで「英語がまあわりと話せる」から「話せる」へと変貌を遂げることができました。
カフェレッスンをお考えの読者様の参考になればと思い、以下にレポートさせていただきます。
「カフェレッスン」って具体的にはどんなもの?
マンツーマンレッスンをおこなうにあたり、英会話スクールの教室や、講師宅、生徒宅のいずれでもない場合、レッスン場所としては一般的にカフェが主流です。ランチを兼ねてたとえばパスタ屋さんで待ち合わせをすることもありますし、ほかにビールを1杯飲みながらということであればバーで待ち合わせをすることもあります。
規約にのっとって飲食費は双方それぞれで負担しますが、レッスン日がちょうど相手の誕生日と重なっているなど特別の事情があれば、善意でごちそうするなんてこともあります。肩肘張らず、気軽に英会話に親しむという点において、マンツーマンのカフェレッスンは本当におすすめの学習スタイルです。
値段は? レッスン1回は何分?
あくまで筆者のケースですが、1回のレッスンは50分で3,500円(税別)、これに相手の交通費も支払います。10回分のチケットを先に購入して、好きなタイミングで消化していきました。なくなったらまた次のクール(10回分)を購入しました。
フィリピン人講師だからこそ比較的低価格でのレッスンが実現するものの、アメリカ人・イギリス人の場合だと1回5,000円というのが相場のようです。ぐっと高額になりますね。オーストラリア人であれば、独特の訛りがあることも考慮してそれより若干安く設定されるのが一般的なようです。
筆者の場合は、地元に英語の個人塾を開いている友人がいるので、彼女に相談をして講師を紹介してもらいました。オンラインでみずから講師を探しに行くならば、そこには数えきれないほどのマッチングサイトがありますから難なく見つかるはずです。講師陣の国籍も価格設定も、実にさまざまです。
フィリピン人って英語講師にふさわしいの?
諸説ありますが、筆者はフィリピン人講師を強くおすすめします。まず、彼らの母語はタガログ語なので英語はあくまで第二言語です。幼少期から”外国語”として英語を学んだ大先輩である彼らは、同じ学習者としてとてもフレンドリーに接してくれ、それでいて文法のつまずきや場面に応じた語彙のチョイスなどにも注意を払ってくれます。
フィリピン人講師の発音はうまい?
フィリピン人講師の発音は、概してとてもきれいです。くっきりはっきり、そして比較的ゆっくり話す講師が多いです。
実際に都内公立小学校に派遣されているALTたちも、フィリピン人の先生がかなり多いです。筆者が公立小関連の仕事で訪れる都内K区については、登録講師の約2/3がフィリピン人です。セブ島英語留学も一大ブームの今、フィリピンも国を挙げて「英語学習産業」に力を入れています。講師育成はかなりしっかりしたものになっています。
ちなみに、筆者がマニラへ旅行したときには、空港スタッフやタクシー運転手の話す英語があまりにひどい訛りで、全然聞き取れなかったのがたいへんな驚きでした。フィリピン人ならばみなきれいな英語を話すと思っていたからです。講師になる人たちは、やはり厳しいトレーニングを経た結果、きれいな発音と正しい文法の運用を身につけたのでしょう。
筆者が街なかで出会った人たちはみな、たいへんテンポよく英語で会話を返してくれたのですが、あちらの話すことが聞き取れずに何度か紙にスペルアウトしてもらいました。国民のおおよそが、「クイックレスポンスでありながら、発音はいまいち」といったところでしょうか。
レッスンではどんなことを話すの?
おもに互いの家庭の話や、仕事の愚痴でした。テキストを用いずにfree conversationのスタイルなので、興味にまかせて話題はどんどん移っていきます。
話すジャンルに偏りがあると、得意な語彙ジャンルとそうでない語彙ジャンルがどうしても形成されてしまいます。
筆者も講師も、同じく育児真っ最中の母親という立場でしたから、たとえば「おむつ」「小児科」「水ぼうそう」など、子ども関係のことならいくらでも口をついて英語が出てきます。これは、毎回触れるテーマだからです。
しかし、触れないテーマはいつまでたってもスラスラと話すことはできません。バランスよく、いろいろなことを話せるようになるためには、意識してテーマ設定していかないと語彙ジャンルごとに習熟度の偏りが出てきてしまうのがfree conversationの欠点です。これは裏を返せば、自分の身のまわりのこと(or興味のあること)なら何でも話せるようになるということでもあります。
手っ取り早く「話せるようになりたい」ということであれば、free conversationはもちろんよい方法であることに変わりはありません。
目的を持って「オーダーメイド」できるのもプライベートレッスンの強み
毎度、行き当たりばったりで気分にまかせて好きなことをしゃべっていた筆者も、ある時期だけは意識して「政治」「経済」「社会」「気候」「歴史」をテーマに据えたことがあります。英検1級の二次試験(面接)対策をしていたときです。
単に英会話ができるだけではこの面接試験には合格できず、英語力とは別に”論理的に話すテクニック”を身につけていないといけないのと、また時事問題をきちんとフォローしていないといけないため、自分ひとりで臨むにはハードルの高い試験でした。英字新聞や英語ニュースで時事問題をインプットしていました。ただ、アウトプットを適切におこなうためには、やはりパートナーの存在が不可欠でした。自分がまとまりのあるセンテンスをきちんと言えているかどうか、首尾一貫した意見になっているか、きちんとジャッジしてもらわないといけなかったためです。
このときばかりは互いに本当に気合を入れており、あからさまに学習ムード満々でしたので、カフェでこんなことをするなんて…と周りの視線も痛く、たいへん場違いな雰囲気でした。ストップウォッチを持って時間をはかってもらったり、スマホに自分のスピーチを録音してもらったり、また想定問答も繰り返していましたから、熱血な感じが丸出しでした。
こうして試験対策につきあってもらったことは、本当に効果が高かったと言えます。ひとりでスピーキングテストの対策をしていては、自分の話し方のクセにも気づきませんし、自分の意見に反対意見や質問が降ってくることもありません。無事に英検1級合格を果たせたのは、ずばり講師とのペアワークのおかげです。
反省! さすがに「カフェ」じゃなくても、よかったのかも・・・
振り返ってみると、試験対策については同じカフェを利用しているほかのお客様には迷惑だったかなと思います。たとえば「労働力のあてに移民を受け入れるべきかどうか」なんてテーマだったときは、どうしても外国人受け入れリスク(犯罪)や単一民族国家の歴史についても触れますから、隣で聞いているお客様が日本人でない場合は気分を害してしまっているかもしれません。「日本の電化製品業界が停滞に入った」のがテーマであれば、まさにその産業に勤めているサラリーマンの方がすぐ後ろにいるかもしれないわけです。
外国人と英会話レッスンをしていることは一目で周囲にもわかりますから、つい目や耳が行ってしまうものですよね(筆者がそうです)。自然と話す内容にも聞き耳が立ってしまうのだと思います。話をしているこちらとしても、自分が世の中の事象についてどう考えているかを他人に聞かれるのはなんだか気恥ずかしいものです。「あんなことしか言えないなんて教養がないなぁ」と思われたらどうしよう、なんて、ときどきプレッシャーに感じたのは事実です。
カフェとは不特定多数の人が集まる場所です。会話の内容が個人的なことなら全然かまわないと思いますが、社会性を帯びたことを話すとなれば必ずしもcomfortableな空間とは言えないかもしれませんね。
簡単ではありますが、筆者のレッスン模様をみなさまに共有させていただきました。フィリピン人講師に不安のあった方、またカフェレッスンに興味がある方のご参考となりましたら幸いです。お読みいただきありがとうございました。