皆さん、「アルファベットや英文を書く」ということに対して、どのような印象をお持ちでしょうか?
落ち着いて座って書くなんて、幼稚園児や小学校低学年にも楽しんでできるものなのだろうか?英語で文章を書けるようになるにはそうとうの英語力がないと難しいのでは?
なかなか好感度の高い学習方法とは言えないような印象があるかと思います。
英会話スクールで講師を務めていた時の経験からの個人的な意見としては、確かに体を使って遊ぶゲームに比べ、座って集中が必要な書く学習は、特に工夫が必要な学習方法でした。
子どもは体を使った遊び(表現)が大好き!それに比べ、座って集中力を要することは、集中力が20分程度しか持たないと言われている子どもにとっては、長時間練習するのは難しいでしょう。
しかし、「書く」という行為は、言語を学ぶ上でとても大切な学習方法です。
私たちがひらがなやカタカナ、漢字を覚えるため、たくさん書いて練習しましたよね?
では、どのようにすれば「書く」という練習を難しいと思わないような、むしろ楽しい、やりたい!っと感じる上で、心掛ける3つのポイントをご紹介します。
文字を書くにはまず、筆記用具から
子ども英会話スクールに勤めていた頃、白い紙と鉛筆を低学年の子に渡すと、中には文字を書いてくれた子がいました。文字をまっすぐ書こうとせず、斜めになってしまったり、形がバラバラだったりと、あまり気にせず、とにかく自由な書き方をしていました。
真っ白い紙だと、バランス感覚がまだ不十分でない子どもにとっては文字をまっすぐに書きにくいものです。きちんと綺麗に書いてっと伝えてしまうと、その子のやる気をなくしてしまう恐れがあります。
そこで、思い出してもらいたいのが、小学校の漢字ドリル。
四角いマスの中に十字の点線を引いてありますよね?マスの中にバランスよく書けるよう、線が引いてあります。漢字がマスの中に収めて書く文字に対して、英語は上の線からから下の線へ向かって書く形をしています。そのためアルファベットを練習する際は、上下に太めの横線とその真ん中に点線が一つ引いてあるノートを用意してあげましょう。上から下へ、端から端へ線を引くことが出来れば、アルファベットはバランスよく書ける文字なのです。
また、紙を1枚用意するより、ノートでやることで、今まで自分が書いた文字や文章を見かえしたり、「前に比べて、こんなに上手に書けるようなった」や「こんなに練習したんだ!」など、達成感を味わうことができます。子どもはそういうことにはなかなか気づきにくいので、ママやパパがその違いに気が付いたら、いっぱい褒めてあげましょう!また、整理整頓にもノートの方が効果的です。
フラッシュカードやアルファベットの表などの教材も用意し、ママやパパもお子様と一緒に書く練習をすることで、「一緒にやっている」感が出て、モチベーションアップにもつながります。一人で書くのが難しいようであれば、鉛筆を一緒に持ち、一緒に書いてみたり、事前に点線でアルファベットを書いてあげ、それをなぞるところから練習してみるなど、お子様の書く能力に合わせて、準備をしてあげましょう。
また、鉛筆も大切でとても短いものや握りにくい細めの鉛筆は小さな子どもは手が小さいので上手に使えず、書く練習から遠ざかってしまう恐れがあります。以前、スクールで使用していた鉛筆も、園児や低学年の小学生などには、通常より太めの鉛筆を用意していました。
もしこの時、鉛筆の持ち方が正しくないと、気になる方もいらっしゃるかとも思います。その場合は、ここはあまり指摘せず、練習していたアルファベットや単語が上手に書けた後に正しい持ち方を指導してあげるのがいいかと思います。
まずは、「文字を書く」というところからスタートし、そこに一緒に、新たに鉛筆の持ち方まで指導してしまうと、集中するのが難しくなったり、思い通りにならずに、嫌がってしまう恐れがあります。お子様のペースを考え、あまり焦らず、まずは「書ける」という気持ちを持たせてあげることに集中させてあげましょう。
アルファベットの次は3文字単語に挑戦してみよう!
アルファベットを書くことに自信を持てたら、次は単語を書く練習をしてみましょう。
ここでおすすめしたいのは、絵柄のついた単語のフラッシュカードを使って、それを見ながらマネして書くことです。フラッシュカードの絵をヒントに、自分が何を書いているか自然と理解でき、より単語のスペリングを覚えやすくなります。
ただ、気を付けるポイントは、単語同士をくっつけて書かないことです。日本語はスペースを置かずに書く言語なので、英語を書く時にも気にせず、単語同士をくっつけて書きがちな生徒さんをたくさん見てきました。そんな時は、小指を使った指導をしました。単語を1つ書き終えたら、小指の先を単語の後ろに置き、新しい単語を書いてもらいます。こうすることで、「1つの単語が終わったら、間を空ける」という認識がつき、自然と指を置かずともそういう風に書けるようになります。私が担当したどの生徒さんも一生懸命、単語を1つ書き終えると、小指を置いて、頑張って書いてくれていたのがとても印象的でした。
単語同士の感覚を空けて書くことが定着したら、今度は英語のテキストや辞書などの例文を書き写し、次のステップの準備にすすみましょう!
最終ステップ、日記を書いてみよう!
私事ではありますが、昨年ノルウェーに引っ越し、現在ノルウェー語を勉強しているのですが、毎日欠かさずにやっているのが、日記を書くことです。「決まった内容のことを書くことで、文法の文章構成やノルウェー語での英語方法などのパターンが理解しやすいのでは?」と思ったのがきっかで始めました。一か月以上経つと、決まったフレーズで書けるようになり、修正もだいぶ少なくなりました。以下、私が日記に書いている内容を英語で記載しました、
Monday 1st April 2019 Today is a sunny day. (今日の天気は晴れです。) I went to school today. (今日は学校へ行きました。) I had rice ball and tea for lunch. (お昼はおにぎりとお茶でした。) I want to play with Taro tomorrow. (明日はTaroと遊びたいです。) I will go to bed at 9 o’clock. (9時には寝ます。)
日記を書く上で、日にちを書くことが大切。英語圏では、日にち→月→年の順番で書きます。英語にまだ慣れていないお子様であれば、日にちや順番を表現する1stや2ndといったアルファベットの部分は省いて、数字だけの記載でいいかと思います。レベルに合わせて、曜日や月も英単語で書いてみましょう。
まずは、日記でどのフレーズを書くか決めましょう。例文からパターンを見つけ出し、自分の書きたい単語に書き換えれば、難しい文法を理解しなくても、文章を書くことができます。
参考フレーズでは、その日の天気、どこへ行ったか、お昼に何を食べたか、明日は何をしたいか、何時に寝るか、をテーマに書きました。どのフレーズを書きたいかはお子様と選んでくださいね。
”It’s a (天気を表す単語) day. I went to(場所) today.”など、()の部分を日々入れ替え、パターンで覚えてしまえば、文法的説明なくしても文章は書けるのです。Todayやtomorrowなどの時制を表す単語を付けると、タイムラインにも触れることで、パターンもつかみやすくなります。練習しているパターンに慣れてきたら、新しいフレーズを付け加えたり、他のフレーズと入れ替えたりとお子様の書きたい量に合わせてあげましょう。
まとめ
いかがでしたか?文字を書いたり、文章を書くことは集中力が必要で飽きてしまいそうな印象があると思いますが、子どもが「やりたい!」と感じるためには、「書く」前に、ちゃんと子どもにとっても理解しやすく、使いやすい道具が揃っているかの準備が大切です。
また、もう一つは「目に見える成果」を用意してあげることが大切です。毎日書き終わったら、シールを貼ってあげたり、ノート1冊書き終えたらごほうびを用意したりと、子どもが「褒められる」以外にも目標をもって取り組む環境を作ってあげましょう。ごほうびで釣っているように聞こえますが、自分で物事を考えたり、やりたいことやなりたいことが分かってくるようになると、「目標を持つ」という姿勢を定着させておくことで、大きなモチベーションへとつながります。
やり方次第で子どもの興味は変わってくると思います。そこを活かして、どんな学習方法も楽しく練習できるような環境を作ってあげましょう!