前回の記事では、米コメディアンジェリー・サインフェルドがオバマ元大統領をゲストに呼び、ホワイトハウス内を散歩・ドライブしながら大統領なりたての頃の心境を振り返るところや、朝の日課について話し合うシーンとともに英語を勉強しました。今回は、サインフェルド氏の匠な質問とともに、オバマ元大統領の他にはあまり報道されないような政治に対する面白い視点を探ります。
政治はどのスポーツに近いのか
Seinfeld: What sport is politics? Is it chess? Is it liars poker? (政治は何のスポーツ?チェス?ライアーズポーカー?) Obama: That’s interesting. That was a good question. It’s probably most like football. (興味深いね。いい質問だった。多分フットボールに一番似てる。) Seinfeld: Football. (フットボール) Obama: Yeah, because a lot of players, a lot of specialization, a lot of hitting. (うん、たくさん選手がいて、専門があり、タックルする。) Seinfeld: A lot of attrition (たくさん摩擦がある) Obama: A lot of attrition, but every once in a while, you’ll see an opening. I’d say you’re gonna be, you know, you hit the line, you get one yard, you try to play, you get set, it’s like third and fifteen. (たくさん摩擦がある。でもいつもある程度の時間をおくと隙が見えるんだ。私は、敵側のラインを突破し、1ヤードライン進んで、プレーを試みて、セットを取り、サードダウン15ヤードみたいなものだ。) But every once in a while, you have to pun a lot. But every once in a while, you’ll see a hole. And then there’s an open field. (でもいつもある程度の時間おきに、よく似た音や言葉を使い「冗談」をいわなければならない。しかしいつもある程度の時間おき穴が見えるんだ。そこから広い草原が広がっているんだ。)
【単語・フレーズ解説】
Liar’s pokerーライアーズポーカー・ウォール街の商人たちが統計や心理学を使う賭けのこと
Attrition ー摩擦
Hit the line ≪アメフト用語≫ボールを持って敵側のラインを突破すること
Third and fifteen ≪アメフト用語≫最初のサードはダウンの数、15は突破するべきヤード数
Pun ーよく似た音や言葉を使い冗談を言うこと・だじゃれ
ライアーズ・ポーカーとは
皆さんはライアーズポーカーという賭けをご存知でしょうか。本や映画のコンセプトにもなっているライアーズポーカーとは、アメリカのニューヨーク市にある金融街の証券マン達が統計や心理学を使い賭けをするバーでよく行われるゲームの呼び名だそうです。政治をバーの賭け遊びに例える質問は、筆者が大学時代の政治の教授いわれた「社長が会社を回すように政治も交渉ができ利益をあげる商人がするのもありだと思う。むしろ、いいでしょう。」という言葉を思い出すきっかけになりましたが、言葉巧みな交渉術や騙し合いは政治にはよくあることなのでしょうか。
Punの意味すること
Punは例えば、
A bicycle can’t stand on its own because it is two-tired.ここでは自転車が一人で立っていられない理由を二輪車という”two-tired”と疲れすぎているという意味の”too tired”をかけたもので、このように似通った表現を使った言葉遊びのことをpunと呼びます。
スポーツはフットボールに近いというオバマ元大統領も自身の回答の中で”But every once in a while, you have to pun a lot.” 「でもいつもある程度の時間おきに、よく似た音や言葉を使い「冗談」をいわなければならない。」と訳しましたが、punとはここでは、よく似た言葉を使い相手をその気にさせるということに近いかもしれません。
政治家はどんな人が多い?
Seinfeld: How many world leaders do you think are just completely out of their mind. (何人の世界の指導者は完全に気が狂ってると思う?) Obama: A pretty sizable percent. (まぁまぁかなりの割合で。) Seinfeld: Some of these people you must meet them (you’re) used to be chatting, you see in the eyes, you look in the eyes, you go oh, this guy’s gone. (そんな人たちの中で合わないといけなくなって、慣れた雑談をして、目を見ると、「わぁこの人頭がいってる」) Obama: Yeah. Well and a part of what happens is these guys, I think the longer they stay in office, the more likely that is to happen. (そう。まぁ彼らに一部何が起こっているかというと、私が思うに政治的権力のある地位に長く居れば要るほどそれは起こりやすいね。) Seinfeld: Of course! They lose it. (もちろん!正気を失うさ!) Obama: I mean it will just at a certain point, your feet hurt and you’re having trouble peeing, and you have absolute power and (僕が言いたいのは、ただある時足が痛くなって、尿がしずらくなって、絶対的な権力をもってて、、) Seinfeld: Privilege is toxic (特権は有毒性がある。) Obama: Yeah (そうだな。)
【単語・フレーズ解説】
Sizable ーかなり、相当の
In office ー権力のある地位にいること・特に政治関係
Lose itー正気を失う
Privilegeー特権
Privilegeについて
Privilegeと辞書で探すと「特権」と出てきますがこの単語は「全ての人ではなく特定の人にだけある差別や罰則に対する免疫のこと」に近いのかもしれません。例えば今回出てきたprevilegeですが、政治の権威の高い地位にいる人達は様々な罪や規範から逃れることができ、それが続くことによって正当な判断力が鈍り、正気を失ってしまいかねないということなのでしょう。
よく間違えられやすいのですが、right「権利」とprevilege「特権」には単純ですが重要違いがあります。「権利」は生まれた直後からある全ての人間が持つ守られるべき権利であり、「特権」は生まれた後に家庭環境などの状況に関係してくる全ての人には共通していない条件のことを指します。
まとめ
このコメディ番組の題名のとおり、「コメディアン」、「車」、「コーヒー」が主のテーマなので、ゲストにはお笑い芸人さんが呼ばれます。しかし今回は、番組内では初めて芸人以外のゲストであるオバマ大統領を呼び、異例のホワイトハウス内をドライブし、コーヒーをすすりながら異様にも気兼ねなく大統領と話を交わすというエピソードを通して英語を勉強しました。ぜひ参考にしてみてください。