こんにちは。引き続き通訳ガイドの現場から、われわれ日本人の大好きな「うどん」について外国人観光客への説明のヒントをいくつか紹介してまいります。
その①そもそも読み方が難!「ユードン!?」
意外なことですが、外国人が「Udon」を「うどん」と発音してくれる確率は半分ほどです。残り半分の人は「ユードン」あるいは「ユドン」と発音します。そのため「ユードンが食べたいんだけど」なんて言われても日本人にはすぐには意味が分からないものなのですが、ジェスチャーでツルツルっと麺類であることを示してくれれば納得しますよね。(同じように「ウニ」(Uni)も「ユニ」と発音されることが多いです。)
それともうひとつ、ぜひ前置きしておくべき点が”麺の太さ”です。単にa type of Japanese noodle(日本の麺の一種)と言うだけでは不足であり、ほかの国には見られないようなあの特有の太さは説明の最大のポイントになってきます。あえて、Japanese thick noodle(日本の太い麺)なんて説明をしているガイドブックまであるくらいです。
・This is what we call “Udon”, white-colored noodle made from wheat flour. We are supposed to pronounce like “WOO DON”, not like “YOU DON” (これがいわゆるうどんです。小麦粉でできている白い麺のことを言います。発音はユードンではなくウドンです。) ・The most popular type of Udon is, this length and this thickness. (一番よくあるタイプのうどんは、このくらいの長さでこのくらいの太さです。) ・There are many types of Udon shape just like Italian pasta has endless variations of it. (イタリアのパスタに無数のバリエーションがあるように、うどんの形にもいろいろあるんです。) ・A lot of Japanese people love Udon because its texture is so chewy. (モチモチ食感ゆえに、多くの日本人がうどんを愛しています。)
その②スープありでもなしでも、熱くても冷たくても
うどんの魅力と言えば何でしょう? 人によってさまざまだと思いますが、筆者がガイド現場で外国人観光客に説明するときは、その変化自在さを強調して話します。
熱いうどんで提供されるときもあれば、冷たく提供されるときもあり、365日いつでもうどんはスタンバイしてくれています。まさに国民食ですね。それにスープが入っている場合も入っていない場合もどちらも同程度に認知があり、またメニュー数も豊富ですね。煮込みうどんひとつとっても、味付けは必ずしも昆布つゆや味噌だけでなく、豆乳や白ごまベースのものもあります。そうそう、カレーうどんもありましたね。さらにキムチスープともマッチするという抜群の適応力をうどんは合わせ持っています。ほかには、焼きうどんにサラダうどんと、調理方法は無限です…! こんなにすばらしい食べものが日本にあることをぜひ英語で熱く伝えようではありませんか。
・Udon can be served both hot and cold. It’s the all-year-round food for Japanese people. (うどんは熱いのも冷たいのも両方あります。日本人にとっては年間を通しての食べものです。) ・Udon matches any kind of soup. Even Korean Kimchi soup go well with Udon. (うどんはどんな種類のスープにも合います。韓国のキムチスープとだって相性がいいんです。) ・Curry Udon sounds like Indian food but is developed in Japan. Udon is served in hot curry soup. (カレーうどんはインド料理のように聞こえるのですが、日本でできた料理です。熱いカレースープに入れて出されます。) ・Udon has a lot of variations of recipe, especially when cooked at home. (うどんのレシピはたくさんあります。特に家庭で調理される場合がそうですね。) ・Yaki-udon is popular food and is quite similar to Yakisoba, a type of fried noodle. (焼きうどんはよく食されています。焼きそばにそっくりな食べものです。) ・Some chain family restaurants have Salad Udon on menu for those who are conscious about health. Fresh green salad and noodle are together in a big bowl. (ファミレスによっては健康志向の客のためにサラダうどんをメニューに載せています。新鮮な葉もの野菜と麺が一緒になって大きなボウルに入って出てきます。)
その③ストイックに麺だけ
こちらは「美食」のジャンルに入ってきますが、本当においしいうどんを食したいならば、1,000円ほどの予算を念頭にシンプルに「かけうどん」や「ざるうどん」で注文してみるとよいでしょう。具材を入れて、しかも味噌などで煮込んでしまうと、本来の麺の食感と味付け加減がわからなくなってしまうものです。「かけうどん」と「ざるうどん」ならば、店の実力がストレートにわかりますね。500円程度のものだと、店としてもあまり勝負をしようという気構えではなさそうですが、もし値段設定が1,000円ほどになっていれば「麺に自信アリ!」ということだと思います。
安価で、でもおいしいうどんを食べたい!…という方は、ぜひ香川県を訪れてください。実はまだ筆者も行ったことがありませんが、ガイドブックによればあちらこちらでグレードの高いうどんがたった200円台から提供されているというのです。全国トップクラスの麺が当たり前のように庶民食になっているとメディアでも継続的に取り上げられるので、近年は外国からのお客様も多いそうです。
・For those who want to enjoy noodle simply, “Kake-udon” is the best choice. (シンプルに麺を楽しむには「かけうどん」がベストです。) ・”Zaru-udon” is served cold in a flat basket. You take some noodle from the basket for only one bite amount, then dip your noodle into soup. (「ざるうどん」は平たいざるに入れて冷たく提供されます。一口で食べられる分量の麺をざるから取って、麺をつゆにつけます。) ・Kagawa prefecture is far from Tokyo but it’s worth visiting because several towns have many individual Udon restaurants. Each of the Udon restaurants serve top quality Udon. (香川県は東京から遠いですが、行ってみる価値はあります。うどん店があちこちにある街がいくつもあって、それぞれの店がトップクラスの味なんです。) ・Oh, look at this price! This plain type Udon costs as expensive as 1,000 yen! It seems they’re so proud of their noodle. OK, let’s try. I bet you like it! (ちょっと見てください! 素うどんが1,000円だなんて! 店側も自分たちの麺に自信があるってことですね。ではここに入りましょう。きっとあなたもおいしいと感じると思いますよ!) ・Unfortunately it’s difficult to visit Kagawa within your itinerary this time but Tokyo has lots of branch restaurants of Kagawa Udon, “Marugame-Seimen.” (今回のあなたの旅程で香川に行くことは残念ですが無理です。でも東京には「丸亀製麺」という香川うどんのレストランチェーンがたくさんあります。) ・Shall we go to Kagawa for genuine Udon culture next time? I hope you’ll visit Japan again someday soon. (次回は一緒に香川に行って本物のうどん文化に触れましょう。またすぐ日本に来てくださいね。)
筆者は「うどん」のある日本に生まれて本当によかったと思います。同じ東アジア圏にはうどんそっくりの麺もありますが、名古屋のきしめんや山梨のほうとうなど、こんなに豊かなうどんのバリエーションがあるのはきっと日本だけです。寿司や天ぷらだけでなく、こういう庶民食にもすばらしいものがあることをぜひ外国人のお友達にアピールしてくださいね。