日本・イギリス・アメリカの医療の違い

海外で暮らす・働く
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海外に行く上で気を付けなければいけない最も重要なことの一つとして現地での医療があげられます。
海外に行くと、当然のことながら日本の医療システムと違うシステムになっているので、注意しておかなければ現地に行って病気を患った時などに法外な料金を支払わなければいけなくなったり大変なことになります。

「Lify.jp」によると、世界各国の医療システムは大きく書きの3つに分類されます。

国営医療モデル
税金を財源とし、医療サービスの提供者は公的機関が中心(例:イギリス、カナダ、スウェーデン)
社会保険モデル
社会保険を財源とし、医療サービスの提供者には公的機関と民間機関が混在(例:日本、ドイツ、フランス)
市場モデル
民間保険を財源とし、医療サービスも民間機関が中心に提供(例:アメリカ)

ここでは、上記の分類の代表的な3つの国(イギリス、アメリカ、日本)を例にとって各国の医療制度の違いと気を付けるべき点について記載したいと思います。

イギリスは医療費が無料?!

イギリスでは基本的には診療費が無料です。(薬などは処方箋をもらって薬局等で購入する必要があります)
イギリスの政府が運営するNHS (National Health Service)と呼ばれる医療サービスが存在し、6か月以上イギリスに滞在できるビザを有している人(留学生を含む)に対して基本的に無償で医療サービスが提供されます。

NHSで医療サービスを受けるには、先ず近所のGPと呼ばれるかかりつけの医者を登録する必要があります。そして病気になったときにGPを受診し、薬を処方してもらったり、より高度な医療サービスが受けられる専門医を紹介してもらったりします。(薬は無料ではなく、薬局等で購入することになります)

NHSを受診する注意点としては、無料のために受診する患者が多く、待ち時間が非常に長かったり、一人当たりの診察時間が非常に短かったりする点です。

実質的にNHSのシステムは破綻しているという意見もよく聞かれます。
NHSの診療の予約は2週間、3週間待つのは当たりまえ。予約なしで行くこともできますが、非常に長く待たされます。長時間待ってようやく受診できたと思ったら非常に短い適当な診察で済まされるということはよくあります。
イギリスへの移民の増加等により、政府の医療費は膨らむばかりですし、その上医師や看護師などの医療に従事する人材が慢性的に不足していることなどがサービスの質の低下の原因となっているようです。

基本的に症状が重いと診察を優先してくれるそうなんですが、ウイルス性の病気などは症状の重さが外見では分からない為、優先されにくく、長時間待たないといけないそうです。
私の友人はひどいインフルエンザにかかっていたのですが、非常に長く待たされて、症状がさらに悪化したと言っていました。
逆に、出血など誰もが見て分かるような症状の患者は診療が優先されることがあるみたいです。

このようにNHSは最低限の医療サービスしか提供しません。
なので、お金持ちの人達は私立病院に行くケースが多いです。予約もすぐに取れますし、診察やその他サービスも充実しています。日本語が話せるスタッフがいる病院もあります。その代わり、病院が自由に診療費を設定していますので高額になってしまいます。

普段の症状が軽い診療はNHSで済ませ、症状が深刻なときは医療が充実していて安心できる私立病院を受診するのが良いかもしれません。

アメリカの医療費は超高額?!

アメリカではイギリスのような全ての人に対して無償で医療を提供するサービスはおろか日本のほうな国民保険制度もありません。公的医療制度が存在するものの、対象となるのは高齢者や低所得者だけになります。

国民全員が加入する国民皆保険制度がないということは民間の保険に加入する必要があるのですが、任意のため、医療保険に加入していない人もたくさんいます。アメリカの病院は自由診療が多く、医療費が高額であり、医療費が払えずにその上、個人破産する人が続出しています。
どれくらい医療費が高いかというと、初診料で数万円、2,3日入院したら数百万円、虫歯治療は数十万円…といったようにかなり高額です。

こういった背景から、オバマ政権時に「オバマケア」と呼ばれる医療改革を行い、国民が医療保険に加入するのを義務化しようと試みました。
以前から低所得者層などを対象とする公的医療保険が存在していたので、その加入要件を緩め、国民が公的医療保険に加入し易くしたり、政府が保険料の補助金を出したりした結果、保険に加入していない人の割合は2010年の16%から2015年には9%にまで下がりました。

しかし良い事ばかりではなく、色々と問題もあり、トランプ政権ではオバマケアの撤廃をすすめており、アメリカの医療・保険事情は先行きが不透明となっています。

重要なことは、アメリカに滞在する人は自身で民間の保険に加入しなければならないことです。さもなければ高額な医療費を自己負担で支払わなければいけません。
ほとんどの海外旅行保険は90日間程度までしかカバーしませんので、90日以上滞在する場合は保険に加入することをお勧めします。
また、加入する保険のプランによって医療費の負担割合が違ったり、医療サービスが受けられる病院が違ったりするので加入する前に確認が必要です。

日本の医療は世界でもトップクラス?!

日本は世界でも有数の長寿国で、平均寿命や健康寿命は世界トップクラスです。また、がんの5年生存率も先進国でトップクラスです。
また、看護師の接遇も諸外国に比べて非常に丁寧であるといいます。

日本の医療保険制度はいわゆる国民全員が保険に加入する国民皆保険です。医療費の負担割合は2~3割で、イギリスのように担当医が決まっているわけでもなく、アメリカのように保険がきく病院でしか受診できないわけでもなく、どの病院でも診療、治療が受けられます。

なので、日本では診療費が安価な割には質の高いサービスが受けられるコストパフォーマンスの高い医療制度だといえます。

日本ではすぐに医師の診察を受ける事ができますが、イギリスや他のヨーロッパの国々では、何か病気にかかったら病院に行くよりもまずは薬局で薬を買い、次に看護師に相談し、それでも良くならなければようやくかかりつけ医で受診するという人が多いです。そして、医者にかかるには予約して1週間以上待つか予約なしで数時間病院で待たなければいけませんし、一人あたりの受診時間が短く、質の高い医療が受けられないというのは既に書いた通りです。

しかし、日本の医療も今後どうなるかは分かりません。高齢化率が年々高まり、国民医療費は毎年1兆円レベルで増え続けていますが、一方で少子化によって国民一人あたりが負担する医療費の額は年々重くなっていきます。
こういった背景があり、現在の質の高いサービスを維持できるかは今後不透明になっています。

まとめ

世界の3つの代表的な医療システムをイギリス、アメリカ、日本を例にとって記載しました。

先ず、イギリスは税金を財源として公的機関が運営しています。医療は基本的に無料ですが、財源の確保や医者・看護師等の人手不足の解消など様々な課題が存在するため、現在はサービスの質が低下しているなど悪い部分もあります。

アメリカでは、個人がそれぞれ保険会社と契約して保険に加入する任意の保険のため、医療保険に加入していない人がたくさん存在します。なので、高い保険料を支払って良い保険に加入できるお金持ちは良い医療が受けられるのに対して、お金のない人は良質な医療を受けられないどころか医療費が払えずに自己破産してしまうこともあります。

日本の医療の特徴は国民皆保険と自由に病院を選ぶことが出来るということです。技術もサービスも世界でトップクラスであり、安価で医療サービスが受けることができます。

世界を見渡すと、医療に関しては日本は非常に恵まれているのかもしれません。外国に行くと国によって医療の仕組みが異なりますし、受けられるサービスも全く異なりますので事前にしっかりと医療の仕組みや保険などを調べておくことをお勧めします。

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