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インターナショナル幼稚園の運動会

こんにちは。我が家の娘は都内のインターナショナル幼稚園(通称キンダー)に通っています。毎年秋に運動会(a sports day)があるのですが、本記事ではその様子をお伝えいたします。

多国籍な集まり

キンダーに通う生徒さんのほとんどが日本人というのが実情ですが、なかにはハーフのお子さん、あるいは外国籍のお子さんもいらっしゃいます。単純に在籍生徒数の比で言えばほとんどが日本人となる計算なのですが、外国籍でアジア圏の出身の親御さんの場合は血縁の情に厚く、親戚一同で見学に来ることが多いですね。おじいちゃん&おばあちゃんだけでなく、いとこにはとこに、総勢20人ぐらいになることもあります。遠目で見ると、なんだかインターナショナルなパーティーをしているようです。

パパさん参加率が高いのはインターだから!?

わが娘の通うキンダーの場合は、平日に開催される運動会でもパパさんの参加率が40%ほどとわりと高めです。必ずしも土日休みのお仕事でないパパさんばかりではないでしょう。わざわざ有給休暇をとって参加しているようですが、これがふつうの日本の幼稚園だと「子どもの行事で父親が仕事を休むなんてとんでもない…!」と、パパさん参加率がほぼゼロになります。
子育てにおける男女同権の意識は、世界的に見るといつも日本が置いて行かれる分野ですが、見事にキンダーではパパも積極的に行事に参加してくれているようです。ママさんたちの話を聞くと、旦那様はふだんから家事を積極的に手伝ってくれたりはしない点では”ザ・昭和男”だけれども、子育てについては2人で協力しておこなうものだと無言の了解があるようで、園の行事には夫婦で参加するような基本設定になっているようです。このあたり、日本人家庭でありながら少しインターナショナルな感じがしませんか?

当日のプログラムはこんな感じ

 キンダーといえば4~6歳の小さな子どもなので、運動会といっても半日程度の短いものになります。それ以上だと子どもたちの体力がもたないので、開会式が10時で閉会式が14時ないしは14時半といったことがこれまで多かったですね。
 それでは、ある年のプログラムを見てみましょう。

Opening Ceremony(開会式)
Warm-Up Exercise(準備運動)
Eggs and Spoon Race(スプーン競争)
Ball Toss(玉入れ)
Eye of Storm(台風の目)
Class Dance(クラス別ダンスの披露)
Lunch Time(昼食休憩)
Tug of War(綱引き)
Running Race ~Parents~(短距離走 保護者個人)
Running Race ~Students~(短距離走 生徒個人)
Team Running Race ~Students~(チーム別対抗リレー 生徒)
Closing Ceremony(閉会式)

英語での進行が注目を浴びる

 これはインターナショナル系列のスクールだから仕方ないのですが、進行中は逐一通行人に思いっきり見られます。英語で進行しているのが珍しいからでしょう。わが娘の通うキンダーには園庭がありませんから、運動会は大きな区立の公園の一角を借りておこないます。これは多くの都内のキンダー、そしてプリスクールも同じ事情だと思いますが、自前の園庭や体育館・ホールがないために、卒園式やクリスマス会などもどこか場所を借りてきておこなうことが珍しくありません。
 先生方が英語で司会進行をするぶんには、もちろんプロの英語話者なので問題ありません。しかし、運動会にはひょんなことから保護者のインタビューなんかがあるわけです。保護者も一緒に出る種目でうっかり1位になってしまうと、いわゆるヒーローインタビューがあります。英語圏で育った保護者ばかりではありませんから、こうなるとマイクの大音量で日本人なまりの英語を公園中にぶちまけなくてはいけなくなります。ご家庭によってはプレッシャーに感じていることでしょう。

お弁当のバリエーションが多国籍

 ランチタイムにはレジャーシートを敷いて、家族ごとに持参したお弁当を食べます。日本人家庭は、重箱におにぎりや鶏の唐揚げを詰めていることが多いですね。運動会仕様になっています。こういうとき、ふだんのお弁当よりも見た目が華やかになるように、作り手としても気を遣うのが常だと思います。
しかし、コンビニで昼食を購入してきている家庭も一定数見受けられます。「運動会には手作り弁当が必須アイテム!」という強迫観念が日本人の母親には根付いているものですが、インターナショナルなバックグラウンドの母親にはこれがありません。たとえばアメリカで留学生活をしたことがあるなら、焼いてもいないトーストにピーナツバターを塗るだけといった簡単な弁当を目の当たりにしたことでしょう。日本人の母親の弁当熱が奇異に映ってもちっともおかしくありませんね。
 また、こういう場ですから各国それぞれの料理が見られるということもあり、それはそれは写真映えするランチタイムになります。韓国のキンパ(海苔巻き)やらインドのカレー煮込みチキンなど、本当に多国籍です。日本人はあまりしませんが、2リットルの魔法瓶にスープを入れて持ってくるなんてのも頻繁に見る光景です。ポットラック(持ち寄り)のランチ会に近い雰囲気で、「一口どうぞ」とお隣さんと交換することもよくあります。

ダンスの曲が今どき

 これはインターナショナルであることが理由なのか、昨今のトレンドなのかはわかりません。キンダーの子どもたちが踊る曲といえば、勝手ながらディズニー系の「Micky Mouse March」や「Under the Sea」(リトルマーメイドより)を想像していました。ところが、実際は選曲がとてもポップに寄せてありました。テイラー・スウィフトの「Shake It Off」やエド・シーランの「Shape of You」、少し古いところだとアース・ウィンド&ファイヤー「September」など。大人たちもノリノリになっていました。もちろん子どもたちはディスコのように自由に踊るわけでなく、ポンポンやカラーリボンを使って振り付けに沿って練習してきた成果を披露します。

オシャレさん率が高い

運動会といえば、保護者参加が必須となる種目があるので基本は「動きやすい服」「汚れてもよい服」がルールです。しかし、キンダーにはどういうわけか機能優先にはとても見えないオシャレな保護者の率が高いです。そう、まるで女性誌の「VERY」に出てくるような”おしゃれマム”に”イケダン”のようなファッションなんです。最近は athlete + leisure の造語で「アスレジャー」という言葉がありますが、これはまさにスポーツとおしゃれのミックスファッションです。丸の内でランをしている人を想像していただくとよろしいかと思います。
旦那様のスニーカーひとつをとっても街歩きにも適したシックなもの。奥様のリュックもトリーバーチのロゴが入ったモダンスタイリッシュ系。サングラスも、シャネルやプラダをかけている人がちらほら。なんだかクールですね。まあでも、動けるとは思います。機能性は満たしているように見えます。
これはずばり経済力の差なのでしょうか…。おしゃれリテラシーの高い人が必ずしも高価なものを購入するわけではありません。しかし、どうにも彼らから受ける印象がスポーツの汗臭さからはほど遠く、全身ユニクロの筆者としては少々気後れしてしまうのが実のところです。

子どもたちの反応

英語を日常的に使う環境には恵まれている子どもたちも、ふだんのキンダーでの生活を離れた”運動会ならでは”の状況には、思い切り日本語が出てしまっているのを多く見受けました。たとえば、綱引きに軍手をつけて参加しなかった子の一部には「手のひらが痛い!」と泣き叫ぶ光景がありました。「Pain! Pain!」「Outch なの~、ここ、here!」なんて感じで、単語は出るけれども文章になっていません。いつも出かける公園でのアクシデントならば、「I tumbled and hit my knee.」なんてことが経験値から言えるんですが、手のひらがヒリつくほど痛いなんてことが今までなかったから言えないんでしょう。血も出ていないので「Bleeding!」なんて言うわけにもいかず、かと言って「sore」なんてボキャブラリーはあるわけがなく、的確に表現できずなんとももどかしかったんだろうと思います。
一方で、繰り返し仕込まれた表現については、さすがに完璧なようです。応援シーンで「Who’s gonna win!? We’re gonna win!!」と自信満々で叫んでいる様子を見ると、筆者のように「be going to が be gonna なので、ええと…」なんてことを頭で考えずに発話できるということで、彼らをとてもうらやましく感じます。

上記のレポートは、あくまでキンダーの運動会の一例としてご理解いただけたら幸いです。世の中にさまざまな方針のスクールがあるかと思いますので、なにぶん筆者の娘の通うキンダーについてはこうである、ということです。ご参考となれば幸いです。

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