新作アルバム「Kamikaze」を発表したラッパーのエミネム。世界のトップラッパーとして知られるエミネムですが、彼が映画の主演を務めたことがあるのはご存知ですか? 2002年に公開された映画「8 Miles」は、エミネムの半自伝的映画でカルト的人気を誇っています。そこで今回は、今だから観たい8 Milesのあらすじから魅力まで紹介します。
あらすじ
物語の舞台は1995年のデトロイト。主人公のジミー(エミネム)は貧しい家に住むラッパー。母親はアルコール中毒で、実質ジミーが幼い妹を育てていた。そんなジミーはラッパーとして活躍することを夢見るが、ある晩行われたラップバトルで恥をかいたトラウマがあったのだ。
そんなジミーの住む町には8Milesという境界線がある。8Milesは白人と黒人を分け、さらに貧困層と富裕層を分けるのだ。ジミーは車の修理工場で出会ったガールフレンドの頼みで、8Milesを超えラップバトルを行うことにする。
映画はエミネムの人生について!?
8 Milesはエミネムの半自伝的映画です。そのため、映画を観ることで彼の生い立ちを垣間見ることができます。ジミーとエミネムの人生はほとんど同じです。エミネムもまた、ジミーと同じように貧乏な家庭に生まれたのでした。父親は家庭を去り、母親からはひどい仕打ちを受けていたようです。
そんなエミネムは、12歳までデトロイトを行ったり来たりの生活を送っていました。今からは想像もできませんが、友達ができないどころか、いじめを受け、なんと自殺未遂まで行ったそう。
エミネムを救ったのは、彼の天職となっているラップ。今でこそ白人ラッパーも多いですが、当時はラップと言えば黒人のもの。映画の中でも、白人のジミーが黒人ラップに参戦する模様が描かれています。黒人たちに侮辱を受けるシーンもありますが、もしかしたらエミネムもまた同じ経験をしたのかもしれません。
14歳ころからラップの虜になった彼は、黒人ばかりのラップバトルに参戦をします。エミネムの本名はマーシャル・マザーズで、当初のラップ名はM&M。エム・アンド・エムを早めると、エミネムとなりますよね。これが、エミネム誕生の由来と言われています。
その後はご存じのとおり、徐々に才能を開花させ、大物ラッパーであるドクター・ドレに見出さられレコード契約をします。メジャー・デビューアルバム『ザ・スリム・シェイディ LP』はビルボード最高2位、その年のグラミー賞の最優秀ラップアルバム部門を受賞し、一躍スターダムの仲間入りしました。
「8 Miles」の魅力
演技が素晴らしい
ここからは、思わず観たくなるような8 Milesの魅力を紹介します。映画を数倍楽しむためにも、ぜひ参考にしてください。
ミュージシャンやアイドルなどが演技をした際に起こりがちなのが、演技がイマイチということ。その演技を見て以来、どうも本業の活躍もしっかりと受け止められなくなる。そして、ラップの神エミネムも本業以外はイマイチなのでは?などと疑問に思う必要は一切ありません。エミネムの演技は自然体そのものであり素晴らしいです。
エミネム以外の俳優陣も豪華。ジミーの母親を演じるのは、『L.A.コンフィデンシャル』でアカデミー助演女優賞を受賞したキム・ベイシンガー。ジミーの彼女役を演じるのは、ブリタニー・マーフィ。彼女は子役として活動を開始し、アニー賞の候補にもなった実力派女優。その他にも、ドラマや映画で活躍する俳優たちがわきを固めます。
そして、監督を務めるのはカーティス・ハンソン。彼は『L.A.コンフィデンシャル』や『ワンダー・ボーイズ』などに代表される数多くの名作を世に残してきた名監督です。
海外でも、「ラッパーが主演の映画だから演技はあまり期待できない」などの下馬評があったようですが、見事に覆しました。演技面で心配することは一切ないので、思う存分ストーリーに入り込めます。
やっぱり音楽が格好いい!
演技も素晴らしいですが、やっぱり音楽が最高の映画です! 今まで一度もラップバトルを見たことがなくとも、そのすごさに圧巻されるはず。
また、サウンドトラックも要チェックです。”8 Mile: Music from and Inspired by the Motion Picture”は名曲ぞろい。エミネムの代表曲”Lose Yourself”も収録されており、ビルボード1位はもちろん、各ランキングでトップに輝きました。なんと”Lose Yourself”はアカデミー賞ベスト・オリジナルソング賞の受賞も果たしています。
参加アーティストは今では考えられないほど豪華。50セントやJay-Z、そしてヒップホップ抗争の犠牲者であり伝説のラッパー2パックの曲も収録されています。とにかく最初から最後までリズムの良い曲が流れています。これぞラッパー主演映画ならではの醍醐味ですよね。
2つの重要なシーンを学べる
映画はヒップホップカルチャー史で欠かせない2つのシーンを描いています。1つ目は、デトロイトのヒップホップの歴史を描いていること。当時は東海岸と西海岸の対立が目立っていましたが、同時にヒップホップのゴールデンエイジでもありました。その時の様子を映画では忠実に再現されているようです。
そして2つ目の重要なシーンが、エミネムがラッパーとして成り上がるまでの苦悩や経験を描いている点。当時こそ、まだ躍進したばかりのスターでしたが、現在は違います。長年トップに君臨し続けるヒップホップ界のアイコンであり大スターです。2018年に発表したアルバム「Kamikaze」は、瞬く間に世界各国のチャートで1位を記録しました。そんな生ける伝説エミネムの半生を描いている点において、この映画は非常に大きな役割を持つようになったのです。
立ち上がる勇気をもらえる
ジミー、そしてエミネムは決して順風満帆な人生を送ったわけではありません。むしろ、かなり不利で困難である状況からのスタートだったでしょう。数多くの苦難にあたりながらも、彼らは決してあきらめずに何度も立ち上がりました。「立ち上がり続ければ、何かが変わりそう」と思わせてくれる映画です。
おそらく、エミネムの幼少期やキャリア初期を知っている方は、ここまでの成功を想像さえしなかったでしょう。しかし、エミネムは一心不乱にラップをし続けたからこそ今があるのです。ある批評家は、8 Milesをロッキーに似ていると言いました。まさにその通りで、この映画を観たら、ファイティングスピリッツが湧き上がってくるはずです。
まとめ
今回はラップの神エミネムの自伝的映画8 Milesについて紹介しました。最新アルバム「Kamikaze」も大好評で、多くのラッパーから尊敬のまなざしを向けられるようになった今だからこそ観てみたい映画です。NetflixやAmazonなどの動画配信サービスで視聴できるようなので、ぜひ時間があれば観てみてください。ストーリーと音楽の虜となるはずですよ。