アメリカ合衆国憲法を読んでみよう~5

リーディング
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アメリカ合衆国憲法を読むの5回目です。
今回は第二章第ニ条「大統領の権限」、第三条「大統領の義務」および第四条「弾劾」についてです。

第二章 第ニ条「大統領の権限」

Section. 2.
第二条

The President shall be Commander in Chief of the Army and Navy of the United States, and of the Militia of the several States, when called into the actual Service of the United States; he may require the Opinion, in writing, of the principal Officer in each of the executive Departments, upon any Subject relating to the Duties of their respective Offices, and he shall have Power to Grant Reprieves and Pardons for Offences against the United States, except in Cases of Impeachment.
大統領は合衆国陸軍、海軍、及び合衆国の実際の軍務につくために召集された各州民兵団の最高司令官である。大統領は行政各部の長官にそれぞれの職務にかかわる事項について書面による見解を求めることができる。大統領は弾劾を除いて、合衆国に対する犯罪への刑の執行停止あるいは恩赦をなす権限を有する。

– shall:各条文に頻繁にこの助動詞が使われています。意味するところは「義務がある」ということです。たとえばこの条文の最初の部分、The President shall be Commander in Chiefは「大統領は最高司令官である義務を負う」ということです。あるいはこの憲法の意志として、「大統領は最高司令官となる」と規定しているとも考えられます。義務であり当然のことであるという表現になっています。

– Commander in Chief:最高司令官。

– the Militia :民兵。植民地の自警団として発足した組織でした。独立戦争では重要な戦力としてその勝利に貢献しました。連邦政府の軍事力を強化することへの各州の反対もあり、この民兵組織は独立後も維持されていたのでした。1916年の法改正で、州兵(National Guard)と規定されています。

– called into:召集される。

– service:奉仕、功績、功労、兵役。軍。ここでは実際の軍務に召集されること。毎年11月11日は退役軍人の日として祝日となっています。またこの日に向けて、NFLでは「Salute to service 軍務への敬意を表する」というゲームを行ないます。

– Reprieves:執行停止。

– Pardons:恩赦、特赦。

He shall have Power, by and with the Advice and Consent of the Senate, to make Treaties, provided two thirds of the Senators present concur; and he shall nominate, and by and with the Advice and Consent of the Senate, shall appoint Ambassadors, other public Ministers and Consuls, Judges of the supreme Court, and all other Officers of the United States, whose Appointments are not herein otherwise provided for, and which shall be established by Law: but the Congress may by Law vest the Appointment of such inferior Officers, as they think proper, in the President alone, in the Courts of Law, or in the Heads of Departments.
大統領は元老院の全議員の3分の2の同意による助言と承認により、条約を締結できる。大統領は元老院の助言と承認により、大使、その他の外交使節、領事、最高裁判所判事、及びこの憲法にて特に定めがない法律によって設置が決められているその他の公務員を指名し任命する。しかし連邦議会は適切と判断した場合は、法律により下級公務員の指名を大統領のみに、あるいは司法裁判所、あるいは各行政部門の長に委ねる。

– concur:同意。

– public Ministers:外交使節。

The President shall have Power to fill up all Vacancies that may happen during the Recess of the Senate, by granting Commissions which shall expire at the End of their next Session.
元老院の休会の間、大統領はすべての空位を補充する権限を有する。その効力は次の会期の終わりまでである。

第二章 第三条「大統領の義務」

Section. 3.
第三条

He shall from time to time give to the Congress Information of the State of the Union, and recommend to their Consideration such Measures as he shall judge necessary and expedient; he may, on extraordinary Occasions, convene both Houses, or either of them, and in Case of Disagreement between them, with Respect to the Time of Adjournment, he may adjourn them to such Time as he shall think proper; he shall receive Ambassadors and other public Ministers; he shall take Care that the Laws be faithfully executed, and shall Commission all the Officers of the United States.
大統領は随時連邦議会に連邦の情報を供与し、必要かつ適切と考える施策を検討するように要請できる。大統領は緊急の場合に、両院またはいずれかの院を召集できる。両院が閉会の時期について一致しないときは、適当と思われるときまで両院を休会にできる。大統領は大使その他の外交使節を接偶する。大統領は法を忠実に執行することに留意し合衆国のすべての官吏を任命する。

– extraordinary Occasions:異常事態の発生。

– convene:召集する。

第二章 第四条「弾劾」

Section. 4.
第四条

The President, Vice President and all Civil Officers of the United States, shall be removed from Office on Impeachment for and Conviction of, Treason, Bribery, or other high Crimes and Misdemeanors.
大統領、副大統領、すべての文官は、反逆罪、収賄罪、その他の重罪あるいは微罪につき弾劾され有罪となった場合はその職を解かれる。

– Treason:反逆罪。

– Bribery:贈収賄。

– high Crimes :重罪。

– Misdemeanors:軽罪、微罪。

まとめ

大統領がアメリカ軍の最高司令官であるということは、この第二章第二条の条文により規定され、現在もなおそのとおりとなっているのでした。
この18世紀に規定された憲法によって、この21世紀における実質的な世界最高の権力者を決められていたということになっているのです。

次回は司法権についての条文を読んでいきます。

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