いつの時代も万国共通で人々は詩を愛しています。詩には不思議な力があり、読んでいるだけで情景が目の前に広がったり、感情を揺さぶられたりしますよね。英語圏にも素晴らしい詩は数多くあるので、今回は有名な詩で英語学習をしたいと思います。和訳もつけますが、詩は原文のリズムや単語のニュアンスを感じるのが一番なので、ぜひ自身で原文も読んで意味を理解してください。
愛を玉ねぎに見立てた名作
Not a red rose or a satin heart. 赤いバラやサテンのハートではなくて、 I give you an onion. It is a moon wrapped in brown paper. It promises light like the careful undressing of love. あなたに玉ねぎをあげる 玉ねぎは茶色の紙で包まれたお月様 明かりを約束してくれる 慎重に服を脱いだ愛のように Here. It will blind you with tears like a lover. It will make your reflection a wobbling photo of grief. ほら 玉ねぎは涙であなたを盲目にする まるで恋人のように 玉ねぎはあなた自身の姿 悲しみでぐらついた写真 I am trying to be truthful. 私は正直になろうとしてる Not a cute card or a kissogram. 可愛らしいカードでもキソグラムでもない I give you an onion. Its fierce kiss will stay on your lips, possessive and faithful as we are, for as long as we are. あなたに玉ねぎをあげる 玉ねぎの激しいキスはあなたの唇に残り続ける 独占欲が強くて忠実 まるで私たちのように まるで私たちがそうあり続けるように Take it. Its platinum loops shrink to a wedding-ring, if you like. 受け取って 玉ねぎは結婚指輪に縮むから 君さえ良ければ Lethal. Its scent will cling to your fingers, cling to your knife. 致命的 玉ねぎの香りは君に指にくっつく 君のナイフにしがみつく
【単語解説】
satin – サテンの
wrap – 包む
undress – 脱ぐ
blind – 見えなくする
tears – 涙
reflection – 反映、反射
grief – 悲しみ
possessive – 独占欲の強い
shrink – 縮む
lethal – 致命的な
scent – 香り
cling – くっつく
これはイギリスの詩人キャロル・アン・ダフィの作品です。玉ねぎを愛に見立てるその発想力と単語チョイスが素晴らしいですよね。私たちの日常にある玉ねぎが、これほどまでに美しくなるとは。バレンタインデーに、玉ねぎとこの詩を贈るのもいいかもしれません。
声に出して読みたい詩
I have eaten the plums that were in the icebox 冷蔵庫にあったプラムを食べた and which you were probably saving for breakfast 恐らく君が朝食用に取っておいたものだろう Forgive me they were delicious so sweet and so cold 許してくれ とても美味しかった とても甘くて、とても冷たかった
【単語解説】
plum – プラム(すもも)
icebox – 冷蔵庫
save – 取っておく
breakfast – 朝食
forgive – 許す
アメリカ合衆国の詩人ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの作品。読んだ後、思わず笑っちゃいました。こんなに美味しそうにプラムを表現されて、許せるわけないですよね。夏ごろに旬を迎えるので、冷蔵庫で冷やして、朝一番に食べようとしていたのでしょう。冷たくて甘いプラムを暑い夏の朝に食べる、最高な描写をした作品です。
語呂が良い詩
We real cool. We Left school. We 俺たちは最高だ 俺たちは学校を止めた Lurk late. We Strike straight. We 俺たちは深夜までうろつく 俺たちは真っ当に戦う Sing sin. We Thin gin. We 俺たちは罪を歌う 俺たちはジンを薄める Jazz June. We Die soon. 俺たちは6月に交わる 俺たちはすぐに死ぬ
【単語解説】
lurk – うろうろする
sin – 罪
thin – 薄める
gin – ジン
ピューリッツアー賞を受賞した黒人女性詩人グウェンドリン・ブルックスの作品。語呂の良さが読んでいて気持ちいですよね。非常に有名な詩で、アメリカの学校で教えられることもあるそうです。初めはいい感じなスタートでしたが、最後に死を迎えているあたり、深い意味合いを感じられる詩です。
愛の後の愛
The time will come when, with elation you will greet yourself arriving at your own door, in your own mirror and each will smile at the other's welcome, その時はやってくる 上機嫌でドアを迎えたとき、鏡に映る自分を見たとき 互いの歓迎に笑顔を交わし合ったとき and say, sit here. Eat. You will love again the stranger who was your self. Give wine. Give bread. Give back your heart to itself, to the stranger who has loved you そして、ここに座り食事をするように言う 君はかつて君自身だったその人を愛するだろう ワインを与えなさい、パンを与えなさい、あなたを愛した人に愛を与え返しなさい all your life, whom you ignored for another, who knows you by heart. Take down the love letters from the bookshelf, 他の人のために無視した君の人生 誰が心から君を理解している 本棚からラブレターを取り出しなさい the photographs, the desperate notes, peel your own image from the mirror. Sit. Feast on your life. 写真を、必死のメモを取り出すんだ 鏡に映る自身の姿を剥がすさ 座って、自分の人生を楽しもう
【単語解説】
elation – 上機嫌
greet – 挨拶する
stranger – 見知らぬ人
ignore – 無視する
bookshelf – 本棚
セントルシア出身のデレック・ウォルコットの作品。別れや失恋、パートナーとの関係性に悩む人に贈りたい詩ですね。
まとめ
今回は英語の詩を見てみました。リズムがいいものだったり、意味の深いものだったり色々ありましたよね。詩というと、古典のイメージが連想されがちですが、初めての方には現代詩人がおすすめ。比較的簡単に理解できますよ。ぜひ英語詩で英語学習をしてみてください。