日本で英語を学んでいるみなさんは、きっと心のどこかで英語をアウトアウトプットする場が欲しいと思っているのではないでしょうか。今はインターネット普及のおかげで、各地で催されるさまざまな国際交流イベントの情報入手もたやすくなりました。さあ、どんどん検索して、お住まいの地域で開催されるものがあれば出かけてみましょう! 今回は筆者が参加してきたイベントの1つを体験談形式でお届けいたします。
「Gaitomo(ガイトモ)」という主催団体があります
名前から想像に難くない活動内容ですね。「外国人の友達を作っちゃおう!」という主催団体のメッセージがよく伝わります。筆者が参加してきたのは、このGaitomoが東京都内で開催した国際交流会です。
ではここで、簡単にGaitomoという組織を紹介いたしましょう。運営元は株式会社フィナウというれっきとした法人であり、学生サークルのようなノリノリの活動団体ではないことをまずお伝えしたいと思います。英語を勉強している日本人女性をカモに、外国人男性がお酒を飲ませて…なんてことはありません。もちろん純粋に恋人探しでお越しのお客様もいるわけですから、その場合は正しいマッチングの場の提供として「シングルズ限定」企画を催したり、また「ノンアルコールDAY」のような安心安全な企画も催しています。
まあ、とにかくあやしいパーティーではないということをはじめにお知らせしておきます。関東エリア・関西エリアの双方でそれぞれ月に2回以上のペースでイベントが計画されています。
会場はゲストハウス内のカフェラウンジ
筆者が参加したのは、ある土曜日の午後1~3時に都内B区で開催されたものでした。事前にweb予約をして、当日費用を支払うしくみです。友人にも声をかけてみたのですが、あいにく同行者がつかまらず泣く泣く単身参加となりました。ほかの日程では単身参加を義務化しているイベントもあるのですが、これに限っては一切の縛りがありませんでしたから、おおかた友達どうしで誘い合って来ている客層ばかり想像していました。
ところが実際は参加者全員が単身で来ていたのにはびっくりです!
さて場所ですが、六本木のバーや代官山のレストランなどさまざまなイベント開催履歴があるにもかかわらず、今回は住宅街にあるゲストハウス1Fのカフェラウンジ。しかも昼間の開催。あやしさゼロ。これなら明るく楽しい「ザ・国際交流」ができると期待を膨らませたわけです。このカフェが入っている建物全体が住居用になっています。賃貸の個室(ワンルーム)が数十部屋、ならびに旅行者用のドミトリー式ゲストハウスが併設してあります。まるでホテルのチェックインカウンターさながら、スーツケースがあちこちに置かれています。いかにもインターナショナルな場ですね。
参加費用は?
さて参加費用なのですが、イベントごとに異なりますが今回は税込でひとり1,500円でした。これには軽食と1ドリンクが含まれており、以降の追加は1杯ごとの都度注文です。アルコールも提供しているカフェでしたので、お酒が飲みたい人は飲み続けますし、ソフトドリンク1杯で最後まで通す人もいます。気の合った人たちどうしで二次会に行くことが珍しくないそうで、その前座とも言えるこのGaitomo国際交流会では2,000~2,500円程度がひとりあたりの平均出費のようです。食事は、ポテトフライにサンドイッチ、ナチョス、ポップコーンなどの軽食が出されるのですが、そこそこ空腹も満たせますし、1,500円という金額はそんなに悪くないのではないかと思います。
何人参加したの?
Gaitomoの運営スタッフ3名、それに外国人ゲストが4名、日本人ゲストが7名という、こじんまりした会でした。男女比も全体で半々ぐらいになりました。外国人ゲスト4名の国籍の内訳は、アメリカ人、カナダ人、コロンビア人、また日本&アメリカのハーフが各1名ずつです。この4名については、男性3名で女性1名です。英語ベースでの進行でしたが、外国人ゲストのほうも日本語が流暢なので、ときおり日本語での会話も聞こえてきました。
英語を学ぶためのイベントではなく、あくまで「国際交流会」なので、各人が使いやすい言葉で話すのは至極当然の結果と言えます。日本人ゲストのほうも、必ずしも英語を勉強している人たちばかりではありませんでした。たまたま建物内に住んでいて「暇だから下のカフェに降りてきてみた」なんて人もいたくらいですから。
開催宣言のあとは自己紹介タイム
開場は、イベント開始時刻の15分前でした。そのため、先に着いた人は注文したドリンクを片手に会話を楽しんでいるわけですが、やはり最初の主催代表者からの挨拶はあります。会場のあちこちで2~3名ずつかたまって話しているところを、「は~い、みなさん時間ですのでお集まりください」と日本語でアナウンスがありました。開催宣言後は全員で立席をして乾杯なのですが、このときに言われたのが、次のことです。
「本日はフリースタイルです。ただし、最初は互いに自己紹介をしていきましょう。みなさん、ソファーに座ってください」 そうなんです、気づいてみれば会場には、テーブルを囲むようにぐる~っと長ソファーがいくつか配置されているんです。これなら消極的な人にも、自己紹介が済んだあとでも必ず居場所があるというニクイ配慮になっています。単身参加でドキドキしていた筆者も、ほっと胸をなで下ろした瞬間でした。雑誌もありますし、ビリヤード台ももともとカフェ内に設置されていますから、「会話に没頭したい人はどうぞ、それ以外は各自お好きに」ということでしょうね。全員参加のゲームが用意されているわけでもなんでもありませんから、あくまでフリースタイルです。
自己紹介タイムが始まりました
開会宣言者から時計回りに自己紹介が始まったわけですが、全員がひとり1分程度の簡単な英語で自己紹介をするよう言われました。名前、出身(国/県)、職業、夢、その他ひとこと。これをモタモタ言っていると意外ともう1分です。
さあ、ここで問題が生じました。外国人ゲストの全員の名前が見事に聞き取れないんです。教科書に出てくるようなマイケルやブライアンなどのポピュラーな名前ならば聞き取れたんでしょうけれど、聞いたこともない名前ばかりです。仕事の打ち合わせであれば鞄からメモを取り出して然るべきですが、この穏やかでハッピーなムードでひとり必死にメモをとる人間がいては完全に浮いてしまうので、失礼かなとは思いつつ最後まで彼らの名前は謎のままでした(聞き取れていないのは筆者だけではないと今でも思うんですが…)。
それにしても、どの自己紹介をとってもユーモアを随所に交えるセンスは、やはり国際交流会ならではでしょう。親父ギャグ的な「OK牧場」も聞きましたし、あえて外国人訛りでの京都言葉も聞きましたし、カツラを被ってアニメキャラの声を模している人まで…筆者は順番が最後のほうに近かったので、こうなってくると「自分も何か言わなきゃ!」というプレッシャーが襲ってきます。
さあ、頭をグルグルさせているうちに自分の番が来たわけですが、そのとき神が降臨したようで、「ハーイ!」の第一声が思い切りかすれて出てしまい、図らずともそれが大爆笑となりました。ああ、神様ありがとう…。
何しに日本へ? から見えたもの
話題になったのは、外国人ゲスト4名が何をしに日本に来たのかということでした。すでに来日数年以上のゲストさんたちばかりでした。日本の美しい風景写真を撮るためにやって来て現在プロのカメラマンとして活動している人もいれば、日本に来てから幼稚園教諭の資格をとり都内の現場で子どもたちを教えている人もいます。あえて日本という国を選んで意気揚々とやって来た人もいますし、たまたま流れで日本に来たという人もいます。事情があって仕方なくそのときは日本に住まざるを得なかった、なんてリアルなネガティブエピソードも出てきました。
彼らのなかでそれぞれ日本に対する温度差がありながらも、今こうして一緒に東京の街で暮らしていることに変わりありません。
彼らの都内の好きなスポットについて尋ねたとき、意外と観光客用のベタな「浅草」と言うあたり、かわいいなと思ったりもします。逆に、筆者が下車したこともないような駅の名前を言って、ここで月に1回おこなわれるコスプレイヤーの写真撮影があるのが気に入っている、などとアニメ愛を披露する人もいました。
結局は、そう、どこの国の出身かは関係なくそれは「ヒト」としての個性なわけです。この個性は、我々日本人ゲストにだってあります。国際交流会という冠に意識が行くと、日本人ゲストどうしの交流にはあまり価値を置かないのかもしれませんが、日本人ゲストだって自分とは違う個性の持ち主であり、外国人ゲストと等しく交流する価値のある人たちばかりなんです。自分の視野を広げてくれる素敵な人たちとの出会いは、なにも外国人ゲストとばかりではありません。
国際交流=日本人には排他的、ではいけない
前述のことに関連して、ひとつ思い出話を。筆者が高校生のころは洋楽ばかり聞いていたのですが、そのときJ-Popを心のどこかで排他的に扱っていたのを思い出しました。洋楽はカッコイイがJ-Popを聞いているなんてダサイ、なんてことを同級生の前で明言するのはさすがに憚られましたが、それでも心の中ではそう思っていたのです。アルバイト先の飲食店でも、積極的に自分から仲良くなりに行ったのはアジアや中東からの留学生ばかりで、日本人と仲良くなるのはあとまわしでした。そこで働いていた留学生は英語圏出身ではないので英語の勉強にはなりませんでしたが、そのときはなぜか猛烈に外国出身の人と仲良くなりたかったんですね。それが今になってなんと薄っぺらいものであるかが、身にしみてわかるのですが…。
「外国人」なんて人はいません。目の前に「個性」を持ったどこかの国の「ヒト」がいるだけです。そのことに気づいてからは、自分を支えてくれる日本人の親友に、彼女のその「個性」に心から感謝をするようになりました。私は、彼女という「ヒト」が好きなんです。
やや脱線もしましたが、外国人ゲストと、それから日本人ゲストの交流するGaitomoのイベントにもし興味が湧きましたら、ぜひ行ってみてくださいね。レストランのコースディナーをいただける本格的なお食事会(ひとり8,000円~)から、スタンディングバーでのカジュアルなイブニングパーティーまでさまざまな企画があります。必ずしも外国人のお友達を作らなくても、そこに集まる人たちとの出会いは国籍を問わず素敵なものとなるでしょう。お読みいただきありがとうございました。