何かを意図してそれを具現化するというのは人間としての非常に能動的な行為であると思います。
もちろん英語にもそういう行為あるいは意図を表すための単語、特に動詞があります。
たとえば、design、manage、controlなどです。
もちろん他にもありますが、良く使われるmake、speak、あるいはeatという動詞とは少し違っていると思います。
Design
designは日本語でもそのままデザインで通じますね。
そしてその意味するところは豊富です。洋服のデザイン、建築物のデザイン、車のデザイン、あるいは芸術としてのデザインそのものなど。
設計する、意匠や図案をつくる、またもう日本語としてデザインするという意味でもいいと思います。そしてさらに意味は広がります。
そこになんらかの意図があるならば、このdesignを使うことができます。
例えば、お母さんがお子さんの健康のために今日の献立を考えた時、「今日のこの食事はお母さんによって子どもの健康のためにdesignされた」ものなのです。
英訳すれば、
This meal is designed for healty life of children by their mother.
子どもたちの健康のための食事ということになるわけですね。
お母さんが体にいいものを食べさせるということを意図しているという意味が伝わります。
お母さんにより意図されたのだということがポイントになるのですね。
あえてdesignを使ってまだるっこしいいい方をしているともいえますが、もしもっと単純にというのであれば、
Mom has cooked this meal for kids' healthy.
もちろん、同じ意味です。
しかしdesignという単語を使えば、お母さんの意図が際立ちます。
さらにこんな使い方もあるようです。
I designed to be a politician when I was young.
私は若い頃に政治家を目指した。
なれたかなれなかったかは別として、政治家を志したということです。
そのときの心のありよう、思い描いていたことを示しています。
そしてその心のありようを悪い意味で表現することにも使えます。
また、
He designed murder.
彼は殺人をたくらんだ。
心は揺れるのです。
したがってdesignのカバーする意図の範囲も広いのですね。
Manage
manageというのも奥深い単語です。
一言でいえば管理するという日本語が当てはまるといえます。
組織を管理する、事業を経営する、部隊を統率するなんていうニュアンスですよね。
いずれも簡単にできることではありません。
しかし実は一番難しいのは自分自身をmanageすることではないでしょうか。
自分自身の時間、お金、その他生活上のすべてのことをやり繰りしていくのがmanageなのです。
苦手なこと、扱いづらいことをうまくこなしていくという意志を持ってやり遂げていくという意味が見えてきますね。
いかに心を制御できるかということです。
易きに流れる、快楽におぼれる、怠惰な生活に安住する、なんていうことをいつのまにか求めてしまっている自分の心に鞭をいれて、しっかりと目を見開いて上を向くことを自分自身に強いるのです。それが人生です。
そういうことをできているかどうか、それが自分の心をmanageできているかということになります。つまり困難なことなんだけれどなんとかやり遂げた、あるいはやり遂げるんだという、レベルの高い達成を意味しています。
ですからmanagedあるいはbe managingといった表現にはかなり難しいことを成し遂げた、成し遂げているといった意味になってきます。
I can manage my schedule to make time to see her.
彼女に会う時間をつくるために自分のスケジュールを管理できる⇒どんなに忙しくったって彼女に会う時間はつくれるさ。
大事なことですね。頑張ってください。
Control
controlというのもさらに強い意志を示す単語ですね。
支配するという意味です。
非常に強制的にといいますか、有無をいわさないという雰囲気が伝わってきますね。
完全に掌握し管理するというニュアンスです。
取り締まりなんていう言葉も当てはまります。
traffic control交通取締りです。
車で走っていますと一時停止の標識がありますよね。「止まれ」って書いてあります。つまり、命令なのです。交通取締りのためにここでは一旦止まれと命令されているのです。
ですからそこでは無条件に命令に従って止まらなければなりません。
controlされるとはそういうことなのです。
交通規制に限らず、国家的あるいは社会的または会社経営的になにか統制する必要があることにはこの単語が用いらます。
さらにもしも管理が不調になるといろんな危険が発生するようなことに対しても使われています。uncontrollableは、例えば、飛行機の操縦不能についてもいわれます。これはたいへんな事態です。
ただ言葉ですからいろんな使い方があって、「わかってんのか?」っていう程度の軽い意味で使われることもありますね。
Do you know where our meeting point is tomorrow? Yes, I do. It's Haneda airport. OK, it's under control. 「明日はどこで落ち合うんだ?」 「羽田空港です。」 「わかってんならいいよ。」
なんて具合です。
翻って、人間一人のことについて使われるときは、怒りや感情を制御するという意味もあります。manageよりもさらに人間としての根源的なところ、理性を失ってはいけないということを意味します。
You need to control yourself. 自制しなきゃダメだ。
You should know how to control your anger. 怒りを抑えることをしらなきゃ。
Things don’t go according to plan.
designし、manageし、controlする。
このようにして、私たちは意図したとおりに物事を運ぶことができればいいのですが、実際はなかなか思うようには行かないものです。
Things don’t go according to plan. というわけです。
計画通りにはものごとは進まない。それもまた人生です。
上手くいかないのがほとんどです。
思いもよらないことばかり起ります。
愕然とすることもあるでしょう。でもそれが人生なのです。
ところで、「Parenthood」という映画をご存知ですか。
邦題は「バックマン家の人々」。1989年のアメリカ映画です。
監督はRon Howard、主演はSteve Martinでした。
子育て中の両親が子どもに翻弄され途方にくれるという物語です。
そして、どうしたものかと嘆いてばかりのパパとママにおばあさんが語ります。
「子どもの頃、遊園地に行くのが楽しかった。なかでも一番はジェットコースターだったわ。上がったり下がったり何が起きるか分からない。だから楽しいの。
友達はみんなコーヒーカップがいいっていってたけど、あんなのつまらない。ただぐるぐるまわっているだけ。
思いもよらないことがあるから楽しいのよ。それが人生なのよ。」
パパとママはおばあさんはなんてスマートな人なんだろうと感心せずにはいられないのでした。
最後のほうのシーンで、赤ちゃんが無事産まれ、立ち会っていた家族は大喜び、大人たちは、何かが達成されたときの象徴である葉巻をくゆらすという行為に浸ります。
There is unexpected happiness behind the trouble. 問題を乗り越えれば望外な幸せが待ち受けている。
designし、manageし、controlしたとおりに物事が進めば嬉しいと思いがちではありますが、ひょっとすると人生にはdesignや、manageや、controlを超えたところに本当の幸せがあるのかもしれませんね。思いもよらない出会いが待っているかもしれないということですから。
そして、思い通りに行かないということは実は重要なことなのです 。何でも思い通りになることは、人間をspoiledしてしまいますよね。小さな子どもが思い通りにならないからと泣きわめき親はしょうがないなといいなりになってしまう。spoilの一番いい例です。
大人でも同じです。
思い通りにいかないから、どうすればいいのか考える。
frustratedな状況から抜け出そうと考えるようになるのです。改善を計るわけです。improvementということですね。
design、manageそしてcontrolの手法が磨かれていきます。
さらに一段上のレベルに達することができ、極めるということができるようになるのです。masterです。
何でも障害にぶつかったときが進歩のチャンスだと前向きに捉えて頑張りましょう。