いよいよ2018年4月から、英語の小学校教育もさらなる前倒しの措置がとられました。これまで5年生から始めていた英語学習も、ついに3年生からスタートする運びとなりました。お子さんを英語教室に通わせる家庭も増え続ける一方、ご自身も「英語講師」としての仕事を検討しているお母様も少なからずいらっしゃるでしょう。小学校英語教育指導者である筆者が、僭越ながら本日はこども向け英語教室で使えるネタをご紹介いたします。
「英語で進行する」が大前提
こどもの英語教室といえど、すべて英語で進行することはもはや基本です。文法もなにもわからないこどもたちにも、繰り返し同じ単語とフレーズを聞かせることで、確実に身につけてもらえます。そのためには、講師の表情とジェスチャー、また絵や写真などの補助教材をフル活用します。
さあ、ここで意外と軽視されがちなのが、「毎回同じ言葉で表現する」ということです。同じ意味をあらわすのに表現バリエーションはたくさんありますが、こども向け教室においてはあえて同じ言い回しを毎度繰り返すことが大切です。「いつもの」フレーズで、「いつもの」流れ、「いつもの」タスクがこどもたちを安心させるのです。
ところで、飼い犬のえさ用の器は、毎日同じものにしないといけない理由をご存じですか? もちろん「安心感」を与え、これからも継続的に飼い主から世話をしてもらえるという飼い犬の「信頼」得るためです。器を変えてしまうと、不審がっていつもの半分ほどしか食べない犬も珍しくありません。動物は元来、変化に弱いんです。とにかく、英語教室においてはこどもたちには「いつもの」「お決まりの」ものをなるべく多く提供してあげましょう。
やはりテッパン! 天気ネタから始めよう
【定番フレーズ】 How’s the weather today? 「今日の天気はどうですか?」
気をつけないとついうっかり、What’s the weather like today? と言ってしまいそうですが、what と like の組み合わせはなかなかこどもには難しい解釈です。毎回How’s the weather today? で固定してたずねるようにしましょう。答えのパターンとしては、It’s sunny.「晴れです」、It’s cloudy.「くもりです」、It’s rainy.「雨です」の3つぐらいは覚えてもらいましょう。
そこで、確率的にはどうしても雨の日は少ないですから、明らかに晴れている日にも講師から Is it rainy?「雨ですか?」なんてジェスチャーを交えてきいてあげれば、語彙の補強になります。こども向け教室ではモジモジして答えないなんてことがよくありますから、この黙っている時間を利用して(晴れていても)Is it rainy? ときくわけです。授業時間内にこうしたチャンスは意外とあるものです。
子供を将来的に英語好きにさせるには、「知っている言葉が多いこと」がキーファクターとなります。天気に限らずどのジャンルのボキャブラリーにおいても、レッスン中はまんべんなくおさらいしておきたいところです。
「Good!」にバリエーションを
英語に限らず今ではあらゆるこども教室の常識ですが、「こどもは褒めて伸ばす」のが吉ですね。そう、自信をつけさせるのです。けれど、英語教室で代表的とされるGood! や Good job! ばっかりでは、あの子にもこの子にも同じことを言って、一時間のあいだにいったい何回これを言っているんだろう、なんて思うことでしょう。
大丈夫です! これはどんどんバリエーションを入れていってください。なぜなら、講師自身の素直な反応が引き出された結果のひとことだからです。こどもたちだって、正直あまり意味がわからなくても Wow, excellent! なんて言われたらうれしいはずです。「ん?エクセレントとは何ぞや?」と思っているでしょうけれど、なによりこの Wow. と講師の表情でうれしいんですよ。あくまでここは自然でいいんです。むしろ3パターンだけの言い方を使いまわしているようでは、レッスンに活気が足りなくなってしまいます。クラス進行はきちんと毎回同じフレーズで語りかけるように気をつけ、あとは講師の気持ちの高まりに任せてどんどんこどもたちを褒めてあげてください!
【褒めるバリエーション】 Good. / Good job! 「よくできましたね」 Very well done.「とてもよくできましたね」 That’s better.「よくなりましたね」 That’s pretty much better!「すごくよくなりましたね」 Wow, amazing!「びっくりするぐらいいいですね」 Wonderful! / Excellent!「すばらしいです」 You surprised me again.「またいいものを見せてくれましたね」
怒鳴らず「注意」
さてこちらは反対に、悪さをするこどもを怒鳴りたい場面でも、ここはぐっとこらえて寛容に接する必要があります。お子さんを教室に預ける親御さんの気持ちを思うと、なにがなんでも英語嫌いにしてはいけません。これからのこどもたちは一生涯ずっと英語と付き合わなくてはならない世代です。こんな人生の初歩で、しかも英語講師とソリが合わなかったため英語アレルギーになってしまっては、その後の人生が大変ですよね。まずはレッスンにストレスなく通ってもらうために、やんわりと注意をするフレーズをこちらにシェアいたします。ときにはジョークで雰囲気を変えながら、なんとかレッスンの舵をとりましょう。
【注意するバリエーション】 Can you stop talking? 「おしゃべりはやめてもらえるかしら」 Hello, hello, can you stop it?「(それでもやめないとき)ねえ、やめてもらえるかしら」 Ladies and gentlemen, can everyone hear me all right?「みなさま、私の声は届いていますか」 Hana said “Ouch!”, did you say sorry to her?「ハナちゃんが痛いんだって。ちゃんとゴメンは言ったかな?」 Oh, it’s not like you. What happened?「あなたらしくないですよ。どうしちゃったの?」 Big baby, you need milk bottle?「(大きな子に)あらあら赤ちゃん、ミルクを飲みたいのかしら」 Otherwise, no present from Santa Claus!「(12月なら)さもないと、サンタさんから何ももらえませんよ!」
わかってるの? わかってないの? だからアクション重視で「見える化」
ときどき不安になるのが、今教えたことをこどもたちに本当に理解してもらっているかどうか、です。ここで Do you understand? なんてストレートに聞いても、素直にYes. / No. で反応を示すでしょうか? いいえ、きっと少なからず「わかっていないのにわかっているフリ」をする子はいるものです。小さいながらも同調圧力がそこにはあるのでしょう。場合によっては、「わかっているのかどうかも、わからない」なんてことがあります。小さいこどもたちですから仕方ありませんね。
そんなときは、体を動かしてもらって相手の理解を試すんです。色の名前やものの形を理解しているかどうかを確かめるなら、輪になった全員に後ろを向かせ、正しく塗り絵ができているかどうかをみます。ここで、Let me check your…. なんて切り出してはこどもたちにもプレッシャーがともないますから、あくまでゲームへの誘導のノリでおこなってくださいね。
【活動のバリエーション】 Please follow my instructions, either of “jump / clap / kneel”. 「言うとおりにしてみてください、跳ぶ/手をたたく/ひざまずく」 Ok, so color the shape with crayons! First, color the triangle red. 「ではクレヨンで形に色をつけてみましょう。まず三角を赤に塗ってください」
まだまだ続きます。次回記事でまたお会いしましょう!