海外ドラマや映画、小説などで英語学習をしている方は多いでしょう。しかし、意外と活用されていないのが英語コミックス。今回は英語コミックスを愛する私が、最近読んだオススメのコミックを紹介させていただきます。それが、”The Underwater Welder”。ニューヨーク・タイムズベストセラー作家の作品であり、ライアン・ゴズリングが映画化を進めていると噂されるコミックです。
”The Underwater Welder”のあらすじ
まずはタイトルから話の内容を想像してみましょう。英語試験などでもそうですが、タイトルからある程度の内容の理解はできます。”Underwater”は「水の中」や「水の下」、「海中」とも訳せます。”Welder”は難しい単語ですが「溶接工」という意味。タイトルは「海中の溶接工」で、主人公は溶接工を営んでおり、物語のメイン舞台は海中だと推測できます。
物語の主人公はジャック・ジョセフ。ジャックにとって待望の第一子が生まれるのはすぐのこと。もうすぐ彼は父親になるのです。そんなジャックは深刻な問題を抱えています。実は幼いころに、父親を亡くしているのです。ハロウィーンの日にアルコール中毒の父親を亡くしたことが、トラウマとなって、30歳代となった今でも残っています。
ジャックは溶接工として、毎日海に潜っては、壊れたモノとモノをつなぎ合わせる日々を送ります。妻とも平穏に暮らしていますが、あることがきっかけでジャックは急変するのです。ある日、いつものように海中で仕事をしていると、ジャックは古びた時計を発見します。時計を見て以来、ジャックはおかしくなり、幼少期の記憶をたどっていくのです。
作者は大人気作家のジェフ・レミア
”The Underwater Welder”の作者はカナダ生まれのジェフ・レミア。ご存じない方が多いでしょうが、彼は超がつくほどの有名作家です。彼の代表作は”Essex Country Trilogy”。”Essex Country”は数多くの作品を受賞し、2011年には「カナダ・リーズ」という権威あるに選ばれています。
その他にも続々と映画化されているマーベル作品にも関わっており、あの「ホークアイ」シリーズや”Old Man Logan”の製作にも関わりました。
”The Underwater Welder”は2012年に発表され、数多くのウェブサイトが2012年のベストグラフィックノベルに”The Underwater Welder”を選びました。作品はあのニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに載るなど、非常に高い評価を得たのです。
“The Underwater Welder”3つの魅力
ここまで、あらすじや作家のプロフィールを紹介してきましたが、まだ”The Underwater Welder”を読みたいと思う方は少ないでしょう。そこでここからは、実際に”The Underwater Welder”を読んだ私がその魅力について語りつくします。ぜひ参考にしてください。
1.芸術的な絵
グラフィックノベルの大きな魅力は、やはり絵です。”The Underwater Welder”のグラフィック絵は白黒を基調(ときどき灰色)しており、シンプルながらも繊細で美しいです。キャラクターたちの見た目は、よくマンガにあるような美しさはありません。むしろ少し不気味な印象さえ受けます。しかし、その不気味なキャラクターたちの見た目と白黒のグラフィックスタイルが見事に合っているのです。
また絵があるのは、英語学習者にとって嬉しいメリットです。単語や熟語は単体で覚えるよりも、イメージや絵と結びつけて覚えた方が記憶の定着率が高まります。絵やその時のシチュエーションをじっくり見て、どのように単語が使われているのかを学ぶのは、とても効率的です。
2.深いテーマ
”The Underwater Welder”はコメディでもなければ、ロマンスでもありません。カテゴリー分けするのは非常に難しいのですが、とにかく内容はシリアスです。作中、ジャックは父親と重なるように描かれています。
ジャックの父親はアルコール中毒で、家族を犠牲にした人物です。実際にジャックの両親は離婚しており、夢を追い続けるあまり家族、お金、そして自身の人生まで失ってしまいました。父親と同じ年となったジャック。彼には出産間近の子供がいます。しかし、父親に執着するあまり家族を失うような行動をします。まるで、かつての自身の父親のように。
作品の大きなテーマは生と死。新たに生まれてくるジャックの子供とすでに死亡したジャックの父親。子供が生まれてくる年に、かつての父親に執着する当たり、ジャックの父親になる覚悟や一家の大黒柱になる覚悟が揺れていることを示しているのかもしれません。
亡くなった父親の息子としてのジャック、新たに生まれてくる子供の父親としてのジャック。この息子・父親としてのジャックに注目してみると、より深くストーリーを楽しめるかもしれません。
3.実用的なセリフがたくさん!
”The Underwater Welder”は英語学習にピッタリです。あなたのレベルにもよりますが、TOEIC800点台以上の方なら辞書なしでも7~8割は理解できると思います。また約240ページしかないので、1時間半もあれば読了するでしょう。
話の短さは英語学習者にとっては大きなメリットですね。辞書を片手にじっくり読むのもいいですし、辞書を使わずにトライしてみるのもいいですね。オススメの読み方は以下の通りです。
1回目:辞書なしで、分からないところがあってもとりあえず読み進める
2回目:辞書を片手に8割理解できるように読む
外国語を話すときには、推測力も重要です。どんなに英語学習をしても。知っている単語よりも知らない単語の方が多いです。知らない単語に出会ったとき、分からないと諦めてはダメです。前後の文脈や会話の流れから、意味の予測をしましょう。
この重要な推測力は、辞書なしで英語を読むことで身に着きます。難しいかもしれませんが、まずは辞書なしでトライしてみてください。
また作中に登場する英文の多くが、実生活で使用できるものばかりです。セリフは丸暗記して、いつでも使えるようにしておきましょう。
”The Underwater Welder”は映画化される?
2017年、”The Underwater Welder”の映画化が進めらていると報じられました。映画化を進めているのは、映画プロデューサーのケン・カオ、アノニマス・コンテント、そして俳優のライアン・ゴズリング。
ライアン・ゴズリングはプロデューサーとして参加する予定ですが、彼自身キャストとして出演する可能性も高くあるそうです。ライアン・ゴズリングと言えば、『ラ・ラ・ランド』ですよね。2017年には『ブレード・ランナー2049』にも出演した実力派俳優。
まだまだ詳しい内容は明かされていませんが、ライアン・ゴズリング参加だけでも非常に楽しみです。映画化される前に、一足先に原作を読んでみてはいかがでしょうか?
まとめ
”The Underwater Welder”はアマゾンなどでペーパーブックを購入できますが、電子書籍の方が割安で買えます。映画化も進められるほどの名作です。私も実際に読んでみて、色々考えさせられました。英語学習にもピッタリなので、ぜひ読んでみてください。