筆者は、中学校1年生の時、学校で英語を習い始めてから何十年も経った今でも、日々新しい英語に出会ったり、オーストラリア人の夫に「なんだね、その変な言い方は」と英語を直されたり、最近では娘にも注意されたり(笑)、きっと英語と奮闘しながら一生過ごすのだと思います。
言葉は常に変化しますから、それと一緒に自分も常に学ぼうとすることもまた外国語を練習する愉しみですが、時にはつまづいたり、やめたくなることもあるもの。
でも、なにも英語だけが難しい言語じゃないんです。日本語だって、日本語が母国語じゃない人にとっては難しい。
今日は、日本語教師でもある筆者が出会う日本語学習者の苦労を分かち合って、またみなさんが英語を楽しく練習できる息抜きになればいいな、と思います。
日本語だって結構難しい
私たちが英語って難しいな〜と思うのと同じくらい、日本語を母国語としない学習者にも「日本語って難しい」と思う点がたくさんあります。
例えば、
・ひらがな、カタカナまでは覚えたけれど、漢字がこんなに無数にあるとは!
英語のアルファベットだったらAからZまで覚えたら、あとはそのアルファベットを駆使するだけですが、日本語は、ようやくひらがなとカタカナを覚えたと思ったら、日本の街を歩くにしても、日本語の本を読むにしても、漢字がわからないと、かなり読めることが制限されます。しかも、私たち日本人も一通り学校で漢字を習うものの、その後の人生、どんな本を読んだり、どんな生活を送ったかによってそれぞれの人の漢字能力には結構差があります。
そんな無数とも言える漢字を練習することに難しい!と感じる学習者は多いです。
・言いたいことはなんなんだろう・・・
英語では、主語の後にすぐ動詞や形容詞を置くので、ひとまず何が言いたいかわかりますし、その後に続く文にも心構えができるのですが(笑)、日本語は、なかなか述語に達しないので、過去のことなのか、未来のことなのか、意志を伝えたいのか、リクエストなのか、慣れないとわかりにくいと感じるようです。
そして、日本語では、話している自分も話しかけられている相手も誰のことかわかっている話では主語を省略できますでしょう、「きのう、(わたしは)買い物に行ってさー」のような文です。あれも、素早い会話のキャッチボールの中で誰が誰の話をしているかややこしくさせているようです。
・「食べます」と「いただきます」、「めしあがります」は同じ意味?!
日本語の尊敬語、謙譲語もなかなか難しいところ。英語にも丁寧に言う表現方法はたくさんありますが、「相手を尊敬しているか」「自分がへりくだっているか」という観点ではなく、例えば誰かに何かをお願いしたい時、相手に頼みにくいかどうかの度合いで言い方を調節します。
Can you call us next week?
だったら、元々能力、可能なことを表すcanが使われているから、「電話できる?」という感じ
Would you please call us next week?
Would を使うことで仮定的に「(もしかしてだけど)電話してもらえる?」という感じ
Would you mind calling us next week?
気にする、という意味のmindを使うことで「電話してもらってもいい?(ご迷惑でなければ)」という感じ
ですから、目上の人に限らず、親しい間柄でも丁寧にお願いすることはあるので、「尊敬語」と「謙譲語」のコンセプトも英語話者には慣れないものです。さらに、尊敬語と謙譲語では、言葉が全然違うと思いませんか(笑)。
「食べる」と「いただきます」と「召し上がります」だけではないですもの!「行きます、まいります、お越しになります」など、同じ意味なのに全く違う単語を覚える苦労は・・・大変ですよね。
これらは、ほんの一例にすぎません。みんな苦労しながら、日本語を練習しています♪
日本語を練習する人と英語を練習する人に共通した苦労もあります!
英語で難しいな〜と思っている点は、結構日本語学習者にとっても難しい点である場合も多いのですよ!
・“I have just been to the toilet.”とは、今もトイレにいるんだろうか、いないんだろうか・・・
I have been to the toilet.
なら、そこに行って、それからもう帰ってきています。(今までトイレに行ってた。)だからトイレにはいません。
I went to the toilet.
なら、そこに行った、という過去の一点の出来事しかわかりません。
日本の学校で習う時は、「現在完了形」という項目で習う箇所ですよね。日本語では、過去形も完了形も「―した」という言い方で表現できるので、完了形には悩むことが多いです。
筆者も学校で英語を習った時は、まず過去形を習うので、現在完了形を習っても、つい過去形ばかり使っていました。でも、現在完了形に慣れると、その便利さに気づきます。
現在完了形では、「現在まで続いている(続いていた)ことを表現できる」ので、例えば、
I have been staying here for 2 months. (現在までで)2ヶ月滞在しています。 I am staying here for 2 months. これから2ヶ月滞在予定です。
などと言う時便利でございましょう?
日本語には現在完了用の表現がないので、英語話者にとっても難しいところ・・・
例えば、
「私は、東京に行きました。」は、英語と同じ、過去の意味。
「今、母は、東京に行っています。」だと、お母さんは東京に行って、今ここにいない、という意味ですが、「今食べています」のように、「今行っています」とは、今東京に向かっている途中なのかな・・・とも思えます。
・one hundred thousand yen っていくらなのよ?
大きい数って、ややこしいですよね。でも、これ、数が大きいからややこしいのではなくて、点を打つ位置が違うからややこしいんです・・・
例えば10万円の場合、100,000 (one hundred thousand)と読みます。そう!英語では、0が3つ毎に単位が変わるんです。1万も10,000「千が10個」と数えるので、ten thousand です。
でも日本語では、0が4つ毎に単位が変わるんです。10,0000「万が10個だから」10万円です。筆者も今でも大きな数字を口頭で通訳するときは、まずは英語で言われた数字を紙に数字のまま書いて、0を4つ毎に点を打って即座に日本語に訳せるようにしています。
・時制の一致がややこしい
I met her when I lived in Japan.
を日本語で言うと、「日本に住んでいる時、彼女に会った。」と言えます。でも、今は日本に住んでいないのに「住んでいる時」は変じゃない?と英語話者は違和感を感じるのですよ。英語では、過去の出来事は、断じて過去の出来事、メインの時制に合わせます。時制の一致は、英語と日本語で異なるので、なんだかややこしいです。
「コーヒーを飲むとき、砂糖を入れました。」という時、コーヒーを飲む前に砂糖を入れた、という意味ですが、「コーヒーを飲んだとき、くしゃみがでました。」というと、コーヒーはもう飲んでいますよね。
でも、英語では、文全体のメインの述語に時制を合わせるので、英語話者には難しいと感じる点です。
いかがでしょうか。日本語を練習している人にもいろいろな苦労がございますでしょう?
でも、日本の食べ物が大好きだったり、アニメをきっかけに日本語を好きになったり、様々な「好きなこと」をもっと探求できるように日本語の練習を楽しんでいる方がいっぱいいます。
英語の練習に疲れたら、どうして英語が勉強したかったんだっけな、と思い出してまた楽しく練習に励みましょう!