よく「TOEICは役に立たない」と言われます。確かにTOIECを重要視する国は日本くらいで、外国企業が重視することはほとんどありません。しかし完全に役に立たないと言えるでしょうか?今回はTOEICについて思う私の考えを紹介させていただきます。
TOEICが役に立たないと言われる理由
SNSやネットでよく見かけるのが、「TOEICは役に立たない」や「TOEICで英語力を測ることはできない」など。そのように言われる理由は数多くありますが、多いのはこれから紹介する2つでしょう。
1.リーディングとリスニングしか測れない
多くの方が受験するTOEICで測られる技能は、リスニングとリーディングのみです。極端な話、リスニングとリーディングができても、スピーキングとライティングが全然できなければ、英語を「使える」とは言えませんよね。
英語学習者が目指すべき英語とは、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングをバランスよく使え、コミュニケーションをとるのに不自由しないことです。ビジネスで相手の言ったことを聞き取れても、自分の意見を言えなければだめです。
TOEICにはスピーキングテストもあります。しかし多くの方がリーディングとリスニング受験しかしないために、真の英語力を測れていないというデメリットがあります。
2.TOEIC勉強で実践的な英語を身に着けられないかも
TOEICはビジネスで英語を使う方を対象としたテストですが、実際に出題される問題は非常に簡単なものばかりです。例えばリスニングセクション。問題はネイティブスピーカーが綺麗な発音で、ゆっくりと話してくれます。しかし、現実は違います。
まずネイティブスピーカーと話すよりも、訛りのある英語使用者と話す機会の方が圧倒的に多いです。彼らが話す英語はくせがあり、聞き取りづらいです。またスピードもゆっくりではありません。
リーディングも同様です。出題される問題が、実際のビジネスで活用される可能性は少ないです。あまりTOEICは実践的なテストではありません。
TOEICで高得点をとったメリットとは?
私は大学3年生、就活直前のタイミングでTOEIC受験をして935点を獲得しました。実際にTOEICで高得点を得たことでいくつかのメリットは得られました。就活したのは約4年前なので今は不確かですが、私はTOEICの点数が就活で少しながら役立ちました。
日系企業はもちろん、外資系企業でもTOEICのスコアを評価されたと思います。まずエントリーシートの時点で落とされることはありませんでした。一次面接でもTOEICのスコアは評価されました。しかし外資系企業の場合、TOEICの評価がされるのは一次面接もしくはエントリーシートまでです。
私は外資系企業中心に就活をしていましたが、ほとんどの企業では一次面接もしくは二次面接から英語面接が開始されたのです。英語面接ではTOEICのスコアは関係ありません。見られるのは、英語でちゃんと受け答えできるかどうか。つまり、実践的な英語を使えるかどうかです。エントリーシートの時点で最低限の足切り(英語能力判断)をして、面接で本当に英語力があるのかどうか見られることが多かったです。
TOEICで高得点(850点以上)を保持していると、外資系企業のエントリーシートや一次面接で落ちる確率は低くなります。しかし一次面接までで、二次面接から実践的な英語力を示す必要があります。私は転職経験がないのですが、おそらく転職も同様でしょう。
おまけ的な恩恵だと、努力を証明できることです。特に私は帰国子女でもなければ、留学経験もなかったので、自分がどれだけ英語に打ち込んだか、どれだけ計画的・効率的に英語の勉強をしたのかを面接で話せました。努力の証明は多くの方ができますが、具体的な数値を持ち出した努力ほど強いものはありません。
TOEICの目的はビジネスで使える英語レベルを測ることです。そのため最もTOEICの恩恵を受けたのは、就活のときでした。就活以外でTOEICのスコアが役に立つことは、ほとんどありませんでした。
TOEICで高得点を取っても英語ができるとは限らない
私がTOEIC935点を獲得したとき、英語ができたかどうかで言うと、できませんでした。簡単なリスニングはできましたが、ライティングとスピーキングは全然ダメです。リーディングは英語ニュースや洋書小説を辞書なしで読んで、7~8割理解できる程度です。
つまり、TOEIC高得点保持者=英語を使えるというわけではありません。これは私の経験から言えます。TOEIC高得点から英語を使えるようになるまでは、さらに高い壁があります。そのためTOEICを終えたら、就活に向けてオンライン英会話で実践的な英語力を磨くことに専念しました。
目的に合ったテスト受験をしよう
はっきり言うと、英語を使って海外で働きたい、海外大学に留学したいという方はTOEICを受験する必要がないかもしれません。海外の現地企業はTOEICのスコアを気にしなければ、海外大学留学で必要となるのはTOEFLのスコアです。
TOEICを受験すべきなのは、日系企業もしくは日本にある外資系企業で働きたい方です。面接の初めの段階でTOEICスコアが評価される可能性があります。しかし、TOEICが役に立つのは最初だけで、遅かれ早かれ実践的な英語力を示す必要があります。
重要なのは、TOEICのスコアをゴールとしないこと。あくまでも通過点であり、目指すべきは、不自由なくコミュニケーションがとれる英語です。そのためTOEICの勉強に大きな比重を置くのではなく、実践的な英語学習にも比重を置くべきでしょう。
私の考えで、TOEIC高得点者が英語を使えるようになるのは難しいが、英語を使える人がTOEIC高得点をとるのは簡単というものがあります。以下の動画はバイリンガールで有名なちかさんがTOEICを受験したときのものです。
https://www.youtube.com/watch?v=NWuIwVdnDH8
見事に990点、つまり満点を獲得しています。ちかさんはネイティブなので満点をとってもおかしくはないですが、非ネイティブで英語を使える方も850点以上は比較的容易に獲得できることでしょう。私が言いたいのは、実践的な英語はTOEIC高得点にもつながる。逆にTOEICの勉強だけでは、実践的な英語力は身に着かないということです。
もちろん受験理由は人それぞれなので、「絶対に受験するべき・受験するべきではない」や「TOEICは無駄」「時間の無駄」などは言いません。今行っている努力は無駄ではありません。
大切なのは目的を間違わないこと。忙しい中、英語学習をしているのなら効率よくした方が絶対に得です。英語圏留学を目指しているのならばTOEFL、英語圏の企業で働きたいならば専門知識と実践的な英語力を目指す、昇進条件にTOEICスコアが必要だったり、とりあえず日本企業での就職を目指すのならばTOEICを受けるといいでしょう。何より重要なのは、どの選択肢をとってもコミュニケーションがとれるようになること。テストはあくまでも評価基準の一つであり、ゴールではありません。テスト勉強と同時に、実践的な英語力を磨くのがいいかもしれませんね。