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日本では通用しないけど、オーストラリアではフツーな不思議なビジネス習慣

日本から見たオーストラリアのイメージは、「自然がいっぱいなおおらかさ」が大部分を占めているのではないでしょうか。本当に、オーストラリアは想像している通りのおおらかさが素敵な国なのですが、一点訂正したい点があります。それは、ただの「おおらかさ」ではなく「度を越したおおらかさ」であること…。そのおおらかさゆえに、オーストラリアには人を振り回す魔力があります(笑)。
オーストラリア北部のケアンズで小さな商店を営む筆者の、オーストラリアの人に振り回される泣き笑いを交えながら、オーストラリアの人の不思議なビジネス習慣をご紹介したいと思います。

We will contact you shortly. (すぐご連絡します)

ビジネスでは、お問い合わせをする必要が結構ありますでしょう?メールでも直接でも問い合わせをすると必ず返ってくるこの返事’We will contact you shortly.’しかし、待てど暮らせど連絡はない、「shortly」(すぐ)っていつなんだろう?と、初めは戸惑ったものです。

オーストラリアのshortlyは、とてもスパンが長いのです(笑)。日本では、メールは24時間以内に返さなくちゃとか暗黙のルールがありますが、オーストラリアでは2、3日、いやいや1週間以上メールが返ってこないのも割とフツーです。何か急ぎでない問い合わせでしたら待てますが、何かクレームがあって問い合わせしたとしても、スピードが早まるわけでもないので、今では、「オーストラリアでは、時がゆっくり流れているんだろう」と思うことにしています。

We will call you when it is ready. (準備出来次第お電話差し上げます)

今度は「shortly」どころか、結局連絡は来ない…というバージョンです(笑)。
例えば、メーカーでも在庫がなく商品が入荷できない時、新入荷を待たなければいけませんので、そういったときによく言われる言葉です。ビジネスに限らず、お店にないもののお取り寄せを頼んだり修理屋さんに何か物を預けて修理してもらう時などにも必ず言われる言葉です。しかし、ほとんどの場合連絡はありません。以前は、毎回連絡がない毎に飽きることなく怒っていたものです。オーストラリアでは、We will call you when it is ready.は、いらっしゃいませ、とか、またのお越しを、のような「あいさつ」のひとつなのです、きっと(笑)。

怒っていてはキリがありません。ほぼ毎回、連絡がないことはわかっているのですから(笑)。ですので、オーストラリアでは自分から再度連絡して確認します。あまりに連絡すると、再連絡することが増えて、カレンダーやスケジュールにメモっておかないとわけがわからなくなるほどです(苦笑)。

What is your contact number? (ご連絡できる電話番号を教えてください)

一見普通の質問ですが、結構やっかいな質問なのですよ。
まずオーストラリアでは、1番最初のコンタクトをメールでなく電話でしたがる傾向が強いと思います。確かに、電話で直接話すとその担当の方の人柄も感じられて、ビジネスを始めるにあたっても効果的ではあると思います。 ですが、メールが広く使われる世の中、メールでも人柄って結構出るものだと思います。
初めて取引をする会社やメーカーの方とは電話で話すことが多いですが、大抵「今の電話はなんのためだったんだろう…」と思うような時間ばかりかかってしまって、特に電話でなくても良かった内容のことが多いのです。筆者は日本育ちだからか、特に電話でなくても良かった用件をつい「時間ばかりかかってしまって」と考えてしまいます。でもオーストラリアでは、日本の人ほど時間を「無駄にする」という感覚があまりないのだと思います。そこは筆者も見習いたいところ。どんな時間も無駄になんかなってないのかもしれません。

しかし!それでもオーストラリアではなるべくメールで用件を進めた方が良いです!というのは、メールなら書かれた記録が残るからです。何か問題が発生した時、メールを遡って証拠としてメールに過去に書かれた文面を示せますでしょう?日本の人は、電話で話した時に担当者の名前を尋ねておけばいいじゃないか、と思われるかもしれません。日本では、電話を担当した方が電話の最後にもきちんと名前を名乗られていて、仕事への責任感が感じられて清々しいです!しかしオーストラリアでは、電話で話した担当者の名前を覚えていることはなんの意味もありません。何か問題があった時に「担当の○○さんにこう言われたんですけど!」と伝えても、「私はその時電話に出た担当者ではないのでわかりません」と言われます(笑)。

初めは電話で担当の方とお話ししても、そのあとは是非メールで記録を残されるのがオススメです。オーストラリアでは何でもかんでも電話で連絡されるのが面倒で、ウェブサイトのお問い合わせフォームから問い合わせる際には、連絡はメールでお願いします、と記載するんですがそれでも電話がかかってきちゃうんです。ある意味すごいですよね、そのペースを崩さない感じが(笑)。

I was just about to email you. (今メールしようと思ってたところなんです)

先ほど取り上げた「shortly」につながる言葉です。To be about to do somethingとは、何かしようとする寸前、ということを表せる表現です。筆者は「shortly」には時間がかかることも知っていますし、誰もコールバックしてくれないこともわかっているつもりでした。でも初めてのメールには返信してくれたのに、それに対するさらなる問い合わせには待てど暮らせど返事がない…。電話もしてみたけれど留守電で誰も出ない、となったとき、もしかしたらメールが届いていないのでは?!と筆者は思いました。電話も今は違う番号でビジネスをしているんじゃないだろうか、とも考えました。ウェブサイトのメールアドレスをちゃんとPCで受け取れるようにしていなくて、ずーっとお問い合わせに気づかないままの小さなビジネスもオーストラリアでは結構あるものです。
そこで、筆者は、直接その会社を訪れることにしました。小さなオフィスに入り、事情を説明すると、言われたのがこの言葉。
“I was just about to email you.”
「うそでしょう〜!」さすがに筆者も笑ってしまいました。でも「今電話しようと思ってた」「今メールしようと思ってた」は、結構言われる言葉です。あまりに言われるので、本当にやろうとしていたんじゃないか、と思うほど(笑)。おそらく、オーストラリアの人の「今やる」もスパンが非常に長いのではないかと思われます(笑)。

オーストラリアで暮らしながらも、日本の素早いサービスにすっかり馴染んで育った筆者は、オーストラリアの人の度を越したおおらかさにイラッとしてしまうこともあります。ですが十数年オーストラリアに暮らしてみると、日本はそんなに急がなくても、みんなでもう少し時間をゆっくりした流れにしても大丈夫なんじゃないかな、と思うようになりました。こんなにおおらかなオーストラリアも国としてなんとかなっているわけですし(笑)。
リラックス、リラックス。

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