日本でも最近ではDIY(Do It Yourself) と言われる、日曜大工を趣味にする人が増え、ホームセンターも流行ってきているようですね。日曜大工がお好きな方は、オーストラリアのホームセンターにはあらゆるものが揃っていてきっと楽しいと思います!
しかし、オーストラリアの日曜大工は、日曜日では収まりきらない、趣味の範囲を突き抜けたDIYです。オーストラリアの人のDIYへの熱狂ぶりを通して、その背景にあるお国事情も一緒に見てみましょう!
オーストラリアのホームセンター
オーストラリアのホームセンターに行くと、オーストラリアの人のDIY熱狂ぶりがわかりやすいと思います!一番オーストラリアによくあるのが、Bunnings(バニングス)(https://www.bunnings.com.au/)というホームセンター。
平日は朝6時半(!)、土曜日は朝7時開店しているという驚きのオープン時間の早さからもDIY熱狂ぶりがうかがえます(笑)。しかも、ケアンズでは、朝6時半オープンでも結構店内賑わっているのがまたすごいですよね(笑)。
店内は、広々として、ペンキ一つとってもものすごい種類です。日本のように初心者の方にもわかりやすい商品説明があるわけでもなく、ただただズラーっと無数のペンキが、無数のネジが、無数の工具が並んでいます。言わずとも皆さん何が欲しいのかわかってお買い物をしている方が多いのでしょう。
店内にはカフェや子供の遊び場もあり、家族みんなでホームセンターに入り浸れる(笑)ようになっています。学校のお休み時期には、子供のDIY教室も開かれます。子供の頃から、家族でDIYに親しみ、DIYは、趣味以上に生活の一部となっているのですよね、きっと。
オーストラリアのDIY
オーストラリアの人は、DIYが大好きなので、お休みの日は、お父さんもお母さんもホームセンターに行くのが大好きですし、お誕生日のプレゼントに困ったら、ホームセンターのギフトカードにすれば、きっと喜んでもらえます。
もちろん、日本と同じく、庭にお花を植えたいから、BBQがしたいから、ちょっとキャンプに行きたいから、など、家庭生活をちょっと楽しくする目的でも行きますが、家の壁も塗っちゃったり、なんなら、家の壁一面に絵を描いちゃったり、お風呂場のタイルを張り替えちゃったり、花を植える花壇どころか、なんなら、ベランダごと作っちゃったり、家庭生活をちょっと楽しくする工夫が大胆不敵です…
家庭生活を向上させるためだけでなく、家庭の困りごともなるべく自分でなんとかします。トイレがちょっと水漏れするな…というときも、まずは自力でやってみる!トイレの本体の中の菅を見て、同じものを買ってきて変えてみる、いくらやってもダメで本体のポンプがダメになっているとわかったら、トイレ本体そのものをホームセンターで買って取り替える、そこまでやってみます。
オーストラリアでは、家の外に大きな給湯タンクがあって、そこにいつも熱いお湯がたまっていて、キッチンでもシャワーでもいつでも熱い湯が出ます。でも急にお湯が出ず、冷たい水が出るばかり…よーし、給湯タンクを買ってこよう!大人より背の高い給湯タンクをホームセンターで買って取り替える。古いタンクをどかすのも一苦労。空っぽのタンクでも一人では持ち上げられず、大人二人掛かりで移動。そこまでやってみます。
水道がどこか漏れている気がする…そんなときも、原因を究明すべく、水道管をたどって家の下を見てみる、漏れていそうなところを塞ぐもまだ怪しい…地面を掘ってみる、地面の下の管でどこか漏れていないか究明する、漏れているところが見つかれば塞ぐ。そこまでやってみます。
これらは、全て筆者の家で起こったこと…
とにかく何事も「自力で」が基本です。
自力でなんでもする理由
こんなに自力でなんでもしようとするのは、業者さんがなかなか来てくれないからじゃないかな! と、筆者はいつも怒っています。電話で業者さんにお願いしても、「今立て込んでいるので、来週なら行けますよ〜」というようなのらりくらりとした返事…でも、業者さんに電話をするような時って、緊急で、その時必要だから呼んでいる場合が多いですよね(苦笑)。
わざわざ個人宅まで行って何か修理しても、そう何時間もかかる仕事でもないですから、割に合わない小さいお仕事には熱心ではないのかもしれません。そして、来てくれても、時間通りに来てくれるわけではないので、出かけるわけにもいかず、なんとも不便です。
以前、どうしてもインターネットの接続が直らず、まずは、インターネットのプロバイダーが自分の非を認めてくれず、それを証明するのに何日も説得し、ようやくプロバイダー派遣のテクニシャンの方が来てくれることになりました。
来てくれたは良いのですが、何時間経っても直らず、とうとう夕方5時に…テクニシャンの人は、5時までが勤務時間なので、帰る時間です。テクニシャンの人は、その日の仕事として派遣されているので、次にいつ来てくれるかは、わかりません。それなのに、テクニシャンの方といったら、
「今日は、妻の両親が遊びに来ていて、ディナーに出かけるので帰ります。」ですって(笑)。気の利いた嘘をつかない真正直さに笑ってしまいました。結局、テクニシャンの方のアドバイスに従って、見よう見まねで、「自力で」原因究明し解決しましたよ(笑)。
仕方なく、なんでも自力で解決しなければならない現状がオーストラリア人のDIY技をこんなに磨かせたのか、オーストラリア人の巧みなDIY技がプロの業者さん要らずにしたのか、どちらが先かいまだわかりません(笑)。
Mateship (マイトシップ)も関係あるのかもしれない
ぶきっちょな筆者は、全くDIYなんぞ少しもできませんが、オーストラリア人の夫に頼んでなんでもお願いしてやってもらうことができるので大丈夫です。でも、例えば、お年寄りの一人暮らしだったら、困ると思いませんか?
筆者の夫のお母さんは、80歳近く、一人暮らしですが、それでも不自由なく暮らしていけるのは、ご近所やお友達にいつも助けられているからだと思います。旅行で空港に行くときは、お隣のうちのお友達が空港まで車で送ってくれたり、力のいる庭の芝刈りもご近所さんにお願いしているそうですし、なにかと交流があって、むしろ楽しそうです。
オーストラリアに昔から根付いているMateship(マイトシップ)のおかげでしょう。本当は、日本語表記は「メイトシップ」がより正しいのでしょうが、ここは、オージーイングリッシュの発音に一番近い「マイトシップ」と表記しました♪
マイトシップとは、簡単にいうと、「助け合い精神」です。オーストラリアの人の人懐こいフレンドリーな気質は、このマイトシップにあると思います。
元々イギリスの流刑植民地として、開拓が始まったオーストラリア。開拓者の間では、本国イギリスの階級社会に対する反発心があり、また、過酷な気候など厳しい条件のもとで、開拓を余儀なくされたので、自ずと仲間意識、マイトシップが発展したと言われています。
今でも、マイトシップは、オーストラリア人の気質を表す代表的な表現であり、ご近所さん、お友達、困っている人を助けたい!という思いにあふれています。
業者さんが来てくれなくても、ご近所さんが助けに来てくれる、そういう優しさが一人暮らしのおじいちゃんおばあちゃんも助け、ますますご近所さんもDIYの腕を上げていくのかもしれません(笑)。
DIY大国オーストラリアの人々は、これからも、DIYに熱狂し、ゆったりとした業者さんと、マイトシップに押されて、ますますDIYの腕を磨いていくことでしょう(笑)。