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表現の世界が広がる! 形容詞なのに動詞、名詞なのに動詞

英単語を覚えるときは、名詞、形容詞、副詞、動詞などと、しっかり分類して覚えるのが基本中の基本といえるでしょう。けれども、それらは互いにフレキシブルに関わりあっています。
形容詞が動詞化したものはたくさんありますし、名詞が動詞として使わることも珍しくありません。それらを自由に行き来して使いこなせると、英語表現に幅を出すことができます。
言葉たちがどのように品詞の壁を越えるのか、見てみましょう。

形容詞が動詞に変わる!

deep(深い)、flat(平らな)、sharp(鋭い)、short(短い)などは誰もが知っている基本的な形容詞です。では、「深くする」、「平らに、鋭く、短くする」と英語でいうときはどうしますか?

・Make the knowledge on environment deep. (環境に関する知識を深める。)
・Make the ball flat. (ボールをぺちゃんこにする。)
・Make a pencil sharp. (鉛筆を尖らせる、つまり鉛筆を削る。)
・We made our trip schedule short. (旅程を短くした。)

このようにmakeを使って表現することが出来ますよね。
でも、次のような単語一つで表すことも出来ます。形容詞を動詞化したものなので、元の形が残っているから意味もすぐに分かりますね。

Deepen the knowledge on environment. 
・Flatten the ball.
・Sharpen a pencil. 
・We shortened our trip schedule.

どれも単語の後に -en というsuffix(接尾辞)が付いています。形容詞にこの接尾辞を付けると動詞になるのです。

deep(深い)はdeepen(ディープにする、深くする、深める)、flat(平らな)はflatten(平らにする)、sharp(シャープな、鋭い)はsharpen(シャープにする)、short(短い)はshorten(短くする)という具合です。

同じような単語は、まだまだあります。
dark → darken

・Darken the room.(部屋を暗くする。)

hard → harden(固くする)

・Cheese is harden.(チーズが固くなった。)

soft → soften(やわらかくする)

・Soften the butter.(バターをやわらかくする。)

sad → sadden(悲しませる)

・The news saddens me.(その知らせに悲しくなった。)

make ○○+形容詞でもよいですが、このような単語で表すことも出来ることを知っていると表現の幅が広がりますよね。簡潔な印象にもなります。

形容詞がそのまま動詞になる

形容詞がそのまま動詞として働く例もあります。例えば、empty(空っぽ)という単語を見てみましょう。「空である」と同時に「空にする」という意味にもなっています。
・An empty box(空っぽの箱)

・The box is empty.(その箱は空っぽです。)
・Empty the box.(その箱を空にしてください。)

clean(きれいな、きれいにする)

・The kitchen was very clean.(キッチンはとても清潔でした。)
・Clean the kitchen right now.(いますぐキッチンを片付けなさい。)

cool(冷えている、冷やす)

・It was cool inside.(中は涼しかった。)
・Cool the tomato salad.(トマトサラダを冷やす。)

dry(乾いている、乾かす)

・Keep the sponges dry.(スポンジは乾かしておきましょう。)
・Dry your cloths.(洋服を乾かしなさい。)

他にもこんなパターン① -ze

動詞化のパターンは、それだけではありません。「-ze」という接尾辞も、同じように単語を動詞に変える働きがあります。なお、イギリス式の英語では、「-ze」ではなく「-se」を使います。

American → Americanize(アメリカ風にする)

・The life style has been quite Americanized.
(生活様式は、かなりアメリカ風になった。)

final → finalize(最終的なものとする、終わらせる)

・Let’s finalize the discussion in an hour.
(一時間で話し合いをまとめよう。)

real → realize(現実にする、実現する)

・The plan was realized.(計画が実現した。)

stable → stabilize(安定化する)

・The new leader is keen to stabilize the community.
(新しいリーダーは、地域の安定化を目指しています。) 

summary → summarize(まとめる)

・Summarize the passages. (各段落を要約する。)

他にもこんなパターン② en-

単語にen- という接頭辞(prefix)を付けて動詞に変わるものもあります。
いくつか例を挙げてみましょう。

large(大きい) → enlarge(大きくする)

・Enlarge the photos.(写真を引き伸ばす。)

able(出来る) → enable(出来るようにする、可能にする)

・GPS enables us to locate ourselves anywhere.
(GPSは、私たちの居場所を常に示してくれる。)
・English enable us to communicate each other.
(英語のおかげで私たちはコミュニケーションを取ることが出来ます。)

code(暗号) → encode(暗号化する)

・The data is encoded.(データは暗号化されています。)

courage(勇気) → encourage(勇気を与える、奨励する)

・His comment encouraged me to go forward.
(彼の言葉が私の背中を押してくれた)

force(力) → enforce(力を与える、つまり強化・強制する)

・Enforce the laws.(法律を施行する。)

rich → enrich(リッチにする、豊かにする)
栄養を強化した食品の表示によくある単語です。

・Biscuits enriched with calcium.(カルシウム強化ビスケット) 

title(タイトル) → entitle(タイトルを付ける)
本などに「表題を付ける」という意味の他、「○○する資格や権利を与える」という意味もあります。

・A file entitled ‘Mathematics’.(「数学」と表題の付いたファイル)
・I am entitled to enter first.
(私は、先に入場する資格があります=私は先に入場出来ます。)  

enの後ろに続く単語がbやpで始まっている場合は、enの代わりにemとなることに注意してください。

power(パワー) → empower(パワーを与える)

・Empower women.(女性の権利/地位を向上させる。)

他にもこんなパターン③ -fy

en- やem- だけではありません。後ろに –fyをつけると動詞化する単語もあります。
例えば、シンプル(simple)という形容詞の後ろに-fyが付いてsimplifyとなると、「シンプルにする、単純化する」という動詞になります。

・Simple package(簡素な包装)
・Simplify the procedure.(手順を簡素化する。)

glory(栄光、名誉) → glorify(讃える)

・Everything was done to win the glory.
(栄光を手にするために、あらゆることがなされた。)
・Glorify their achievement.(彼らの功績を讃えましょう。)

terror(恐怖) → terrify(恐怖を与える)

・The city was filled with the terror.(街には恐怖が蔓延していた。)
・I was terrified when I heared the news.
(そのニュースを聞いたときは、恐れおののきました。)

名詞まで動詞に

日本語でも「メールするね」といいます。本来は「メールを送るね」というべきところでしょう。英語でもこのような名詞の動詞化が見られます。
「Please send me an email」(メールください)の代わりに「Please email me」という具合です。

テキストといえば文章や教科書を思い浮かべるかも知れませんが、携帯電話で送受信するメッセージのこともテキスト(text)といいます。

・I'll send you a text.(メッセージ送りますね。)

textを動詞化して言い換えられます。

・I'll text you!(メッセージ送るね!)

textの代わりに「Message me!」(メッセージ送ってね!)「I’ll message you!」(メッセージするね!)ともなります。

このように名詞を動詞として使うことをverbingといいます。動詞化するという意味です。verbとは「動詞」という意味の名詞ですから、この言葉自体も面白いですね。

verbingされた言葉は現在進行形にもなりますし、過去形にもなります。

・I was facebooking all this morning.
(今朝はずっとフェイスブックしていた。)
・I googled it but couldn’t find.(グーグルしたけど、見つからなかった。)

「Google it!」といえば、インターネットで検索しなさいという意味になります。

SkypeもYoutubeもです。

・We skyped yesterday.(昨日、スカイプしました。)
・Let’s  youtube to watch videos.(ユーチューブで動画を見ましょう。)
・Bookmarked.(ブックマークに登録しておいた。)

IT時代の新しい言葉だけではありません。コピー機で有名なゼロックス。これも動詞化しています。ゼロックスするといえば、コピーすることです。

・I need Xerox of this document.(この書類のコピーが必要です。)

ファックスもそうでしたよね。
ファックスは機械そのもののはずですが、faxed、faxingなどと動詞になっています。

・I'm just faxing you now.(今すぐファックスします。)

phoneやtelephoneも同じです。どちらも「電話する」です。

・Phone me tonight.(今夜、電話ください。)

IT用語や通信関係の言葉が目立ちますが、そもそも名詞が動詞になっている例は、他にもたくさんあります。

bottle(ボトル、ボトルに詰める)

・Bottled water(ボトル詰めの水)

iron(アイロン、アイロンをかける)

・Can you iron my shirt?
(私のシャツにアイロンをかけてもらえますか?)

rain(雨、雨が降る)

・It's raining.(雨が降っています。) 

water(水、水をやる)

・Water the garden.(庭に水をまく。)

まとめ

自由自在に変化し、柔軟に運用できるところが英語の面白さです。今回お伝えした変化のパターンを知ることで、すでにお手持ちの単語の数もかなりカサ増し出来るはずです。

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