カタカナなので、てっきり英語かと思ったら和製英語だったということはよくあります。
でも、間違いなく英語なのに、実は使い方が私たちが思っているのと違っていたというケースも結構あるものです。
イギリス?アメリカ?
英国のことを英語で何ていいますか? Englandという言葉から「イギリス」と言ってしまいたくなりますが、少なくともそうは言わないということは、多くの人が知っているでしょう。
また、「イギリスに行きます」、あるいは「イギリスから来ました」というときは、何と言ったらよいでしょう。Englandに行くと表現しますか? またはBritainを使いますか?
イギリスの正式名称は、英語では「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」、日本語では「グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国」となります。
昨年(2016年)6月にイギリスのEU離脱問題が話題になったとき、Brexit(ブレグジット)という造語が飛び交いました。Britain(イギリス)とexit(離脱)を合わせて作られた言葉でしたね。「イギリス」という言葉自体は、ポルトガル語のInglez(イギリス)から来ているようです(スペイン語でもinglésと言います)。
国名にもある通り、England(イングランド)、Wales(ウェールズ)、Scotland(スコットランド)の3つの地域があるGreat Britain(グレートブリテン島)と、Northern Ireland(北アイルランド)が合わさって一つの国家となっています。そのため、イギリスといいたいときにEnglandというのは不適切になります。
で、先の質問への答えですが、たいていはUKを使って I’m going to the UK(私はイギリスに行きます)、 I’m from the UK(私はイギリスから来ました)と言います。
「イギリス人」というときは、Britishが使われています。
・He’s British.(彼はイギリス人です。)
イギリスの国営放送BBC(英国放送協会)はBritish Broadcasting Corporationですし、英国航空はBritish Airwaysです。
世界中にBritish Council(英国文化協会)がありますね。イギリス政府によって設立された英国文化普及のための機関で、100ヶ国以上にもあるそうです。日本にもありますし、筆者の住むタンザニアにもあります。
このように、Britishという言葉には北アイルランド地域は含まれていないものの、「英国」というときは「British」が使われていることが分かります。
アメリカ(The United States of America)の場合、会話の中では案外「アメリカ」という言葉を耳にしません。 たいていはthe United States の頭文字を取ってthe USやthe States、the United Statesという言葉が使われています。
Georgiaとは?
ところで、国名や地名には、カタカナと英語では呼び方が違うものが多く見つかります。
ウィーン(Vienna)、ジュネーブ(Geneva)、チューリッヒ(Zurich)なども、その一例です。
日本でジョージアといえば、アメリカ建国当初の13州の一つ・ジョージア州が思い浮かびます。名作「Gone with the Wind(風とともに去りぬ)」の舞台、アトランタのあるところです。
ところが、ニュースを聞いていて気付いた人もいるでしょう。日本語でいうグルジアが英語でGeorgiaと呼ばれていることに。
次に挙げる都市名は、どれも日本語と英語ではかなり呼び方が異なっていますが、日本語の呼び方は現地語に近いものとなっています。
・ナポリ(Naples) ・パリ(Paris) ・フィレンツェ(Florence) ・プラハ(Prague) ・ミュンヘン(Munich) ・ミラノ(Milan)
南アフリカ共和国最大の都市Johannesburg(ヨハネスブルグ、またはヨハネスバーグ)は、英語では「ヨ」ではなく、表記通り「ジョ」と発音します。会話ではよく、「Joburg」(ジョバーグ)と短くして呼ばれます。
同様に、エルサレム(Jerusalem)も、英語では表記通りに「ジェ」ルサレムと発音されますね。
アクセントは「ル」にあります。
ストッキングと靴下
日本語でストッキングといえば、女性が素足に身に付ける薄い「靴下」ですが、英語でstockingというと、男性用靴下を指すこともあります。英語でも靴下を表す一般的な単語はsocksですが、クリスマスにプレゼントが入る「靴下」は、socksではなくstocking (Christmas stocking)です。
○と×と、チェック
日本ではテストの採点は○と×で行います。○が正で、×が誤です。
ところが、外国では逆だったりします。間違っているところに○が付き、合っているところにはチェックマーク(レ点)が付けられます。チェックマークのことをアメリカではcheckと言いますが、イギリスではtickと言います。チクタクと鳴る時計の音を表す単語でもあります。
・Tick off the column on the list.(リストの欄にチェックマークを入れる。) ・The sound of the clock ticking.(時計が鳴る音) ・Mark the tests.(テストの採点をする。)
ところで、日本語でチェックというとギンガムチェックに始まるいろいろなチェック柄が一律に思い起こされますが、英語ではplaidという言葉と使い分けがあります。
私たちが、タータンチェックやマドラスチェックと呼ぶようなタイプのチェックがplaidにあたります。シックな色合いのグレンチェックも、チェックとは言わずglen plaidと呼ばれます。
中でも、タータンチェック(tartan)は英国スコットランドの民族文化に深いかかわりがあり、パターンごとに氏族(clan)の名前が付いています。ちょうど日本の家紋のようです。
チェスのボードのような色の交わりのないタイプのチェックは、checkerと呼びます。
ちなみに、柄といえば千鳥格子のことはhoudstoothまたはhound’s-toothといいます。猟犬の歯という意味です。日本語で杉綾とも言われるヘリンボーン模様は、herringbone。ニシンの骨ですね。
パンプキン
英語で「カボチャ」といえばパンプキン(pumpkin)という言葉が浮かんでくることでしょう。思い浮んだパンプキンの皮の色は何色ですか? オレンジ色ならpumpkinですが、そうでなければsquashとなります。日本で一般的な緑色のカボチャもsquashにあたります。
ラケットを使った「スカッシュ」というインドアスポーツがありますが、それと同じスペルです。
日本でも、ヒョウタンのような形をしたバターナッツカボチャを見かけるようになりました。
英語ではbutternut squashと呼ばれます。皮も身も滑らかで柔らかく、タネが少ないので調理しやすいカボチャです。
スキン
カボチャの話が出てきたところで、皮の話をしましょう。皮を意味する英語というとskinが真っ先に思い浮かぶところです。通じるとは思いますが、すべてがskinではありません。
カボチャなど硬い皮はrindといいます。
rindの中でも、柑橘類の皮をおろしたものはzestです。香りが良いので、お菓子などに使ったりしますね。pith(皮の下の白い部分)は入れないようにして、皮の表面だけを削り取ります。
・Orange rind(オレンジの皮) ・Add zest of orange.(オレンジの皮を加える。)
peelという言葉も使われます。日本でもお菓子の材料に「オレンジピール」や「レモンピール」が売っていますね。
・Orange peel(オレンジの皮)
肉や桃、バナナなど、ピッタリと張り付いた皮はskinです。
・Remove the skin from the chicken.(鶏肉の皮を取り除く。)
skinもpeelもひと言で「皮を取り除く」という意味の動詞にもなります。
・Skin a chicken.(鶏肉の皮をむく。) ・Peel the potatoes.(ジャガイモの皮をむく。) ・Peel and devein the shrimps.(エビの皮をむいて、背ワタを取り除く。)
de(「離」「除」などの意味を持つ接頭辞)+ vein(血管)で、「血管(のようなもの)を取り除く」です。
樹木の皮はbarkです。犬などが「吠える」のbarkと同じです。
外側を覆うもの(外皮)というときは、outer / top layerあるいは outer coveringなどと説明します。地球のouter layer(地殻)はcrustです。ピザの皮やパンの皮もクラスト(crust)といいますよね。
ちなみに、面の皮が厚いという表現がありますが、英語でもhave a thick skinとなります。
まとめ
英語なので通じるけれど、意味がちょっと違うというものを集めてみました。
多分、知らなくても通じるでしょう。でも知っていれば、より正確なコミュニケーションが出来るというわけです。言葉の違いを知るのは面白いですよね。