スムーズな人間関係を構築するために!スマートな会話に必須のテクニック

こんな時にこんなフレーズ
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直接的でなく、やわらかい、遠回しの表現のことを婉曲表現といいますよね。人に言いにくいことを「やんわりと」伝えるときに使いますし、使い方によってはユーモアを感じさせるやりとりになる場合もあります。

いくら英語初心者だとしても、ストレートな言い方しか知らないと誤解を招くことにもなりかねませんし、品位が問われることもあります。表現に幅を持たせるためにも、物事のいろいろな表し方を知っておくと役立ちます。

Euphemismとは

「婉曲表現」のことをeuphemismといいます。特に、性や死に関すること、宗教に関することなどに多くの表現が見られます。直接的、強い響きのある言葉を言い換えてソフトにする、ソフトにすることで丁寧な響きにしたりするのに使います。

Euphemismとは・・・

・Blunt(露骨な)
・Embarrassing(きまりが悪い)
・Harsh(厳しい)
・Offensive(侮辱的な)
・Unpleasant(不快な)

といった言葉や表現を、

・Indirect(直接的でない)
・Mild(やわらかい)
・Vague(曖昧な)

などの言葉や表現に代えるものです。

日本語でも近年、いろいろな言葉の言い換えが行われて来ましたね。言われる方が嫌な思いをしない(inoffensive)表現を目指そうとする姿勢は評価したいと思います。

さて、英語でも同じ発想で言葉の言い換えが行われて来ました。

筆者の住むタンザニアには、アルビノ(albino)と呼ばれる人たちがいます。真っ白い肌を持ち、金髪に青い目の「黒人」です。生まれながら肌の色素がない先天性色素欠乏症のためです。

ダルエスサラームの街中で普通に歩き、働いている人もよく見かけますが、目や肌が日光に弱いのでサングラスやサンスクリーンなどが必要です。また、差別や誤った認識のために身の危険にさらされる可能性があるという現状もあります。

そのような人たちのことは、アルビノと呼ばずperson with albinism(PWA)と呼びます。

タンザニアには、PWAへの支援を目的とする「Under the Same Sun」(UTSS・『同じ太陽の下で』)という団体があります。
活動内容は、人々にPWAに関する正しい知識を広める(Awareness)他、実際的な支援策としてサンスクリーンや肌を覆うものを支給したり、(Provide protection and Support)、教育上の支援や、職業トレーニングを受けさせて経済的な自立を目指す(Empowerment)などが行われています。

アルビノの人たちを、person with albinism(アルビニズムを持った人たち)と呼ぶように、今では障害者のこともperson with disabilityと呼ぶことが好まれています。Personという単語を先に持ってくることで、「障害」よりも「人間」にフォーカスした言い方になっています。「障害者」とまとめて表現するときは、persons with disabilitiesとします。この他にもphysically challengedという表現もあります。

それぞれ異なる能力があるということを強調したdifferently abledという言葉もありますが、こちらは人によって感覚が分かれるようです。あまりに婉曲が過ぎると、かえって見下したような(condescending)な印象を与えてしまう場合があります。

様々な言い換え

日本語で「チャレンジ」(challenge)というと「挑戦」と理解されますが、「困難」のこともまた「チャレンジ」と呼びます。困難とは、向き合って乗り越える(チャレンジする)ものという発想からでしょう。

・I’m facing some challenges.(困った問題にぶつかっています。)

死ぬの代わりにpass awayやdepartを使うというのはよく知られているところでしょう。アカデミー賞外国語映画賞も受賞した日本映画「おくりびと」(2008年)、英語タイトルは「Departures」になっていましたね。

失業中(unemployed)を「仕事と仕事の境目」と表現するbetween jobsといったもします。
日本では、メード、メードさんという言葉が普通に聞かれますが、domestic workerあるいはhouse keeperと呼ぶことが多いです。

トイレという言葉も、あまり使われません。Toiletの代わりにbathroomやrestroomといったりします。Go to the bathroomあるいはuse the rest roomなどといいます。

また、経済的に恵まれない人たちのことはunderprivileged groupsと言ったりします。

ポリティカル・コレクトネス

今から20~30年ほど前でしょうか、Political Correctness(政治的に正しい)という言葉があちこちで聞かれた時代がありました。差別や偏見が含まれた言葉を、中立で公正な言い方に変えていこうとした運動です。

スチュワーデスやスチュワードは、今では一律キャビンアテンダントですし、保健婦が保健師、保母さんが保育士になってからは、男性の進出を促すことにも繋がったようです。
「肌色」がペールオレンジに言い換えられたときは、音声的に違和感を感じましたが、その意味を考えれば、なるほどと思ったものです。「子供」を「子ども」と書くかどうかという論争もありましたね。

さて、英語でまず思い浮かぶのがMissの運用についてでしょうか。
男性は未婚・既婚を問わず、一律Mrなのに対し、未婚の女性の名前にはMissを付ける不合理さを是正するため、Msを使うことが広まったのもこの一環でした。今では、女性宛の文書にMissと表記したものを見つけることは、ほとんどありません。

また、chairmanやpolicemanなど男性がその地位に就くことを想定したようなmanという部分をあらため、今ではchairpersonやpolice officerという言葉が広く使われています。

ちなみに、当地タンザニアでは、日本に比べ女性の社会進出が進んでいますよ。現副大統領も女性です。そして、内閣にはイスラム教徒もキリスト教徒も混じっています。建国の父であり、初代大統領のJulius Nyerere(ジュリウス・ニエレレ)氏の英知のおかげで、宗教や民族による差別がないのがタンザニアです。自国についてタンザニア人が誇りに思っていることは、「平和」というのも頷けます。

そういえば、こんなところにも「中立」の意識が及んでいます。
12月といえば、クリスマス。日本でも街中がクリスマス一色になりますよね。ところが、12月は、キリスト教の一大行事・クリスマスのためだけにあるのではありません。
年末年始にかけて、アフリカの伝統を再認識しようという「Kwanzaaa」というアフリカン・アメリカンの行事があります。また、「Hanukkah」というユダヤ教の行事も同じころにあります。
今では、すべての人に同じように挨拶が出来るよう、Merry Christmas、Happy Hanukkahなどと区別することなく、さらにはHappy New Yearまでを含めて「Happy Holidays」と挨拶するようになっています。

その他にも、こんな表現方法が

Litotesという表現方法もあります。文法的な用語では緩叙法(かんじょほう)といいます。
例えば、It is difficult to solve the problem(その問題を解決するのは困難だ)とストレートにいう代わりに、It’s not easy to solve the problem.(解決するのは簡単ではない)といったりすることです。Not bad(悪くはない)なんて、よく使ったりしませんか?

日本語でも、「少なくない数の動物が犠牲になった」や「安くはない料金」などといったりしますよね。つまり、「たくさんの動物」、「高い料金」というところを、逆の言い方で表したものです。このように、逆の言い方をすることで、聞く人の印象に残る表現となります。

・Not a few questions were raised.(少なくない数の質問が挙がった。)
・It’s not boring but not fun.(退屈ってわけじゃないんだけど、楽しくはないわね。)

あえて直接的な言い方をしないで、楽しませてくれる表現もあります。
Beyond the realm of ○○という言い方は、結構目にします。realmとは、範囲や領域という意味です。ですからbeyond the realm of で、その範囲・領域を超えている、という意味になります。Beyond the real m of possibilityであれば、「可能な範囲を超えている」つまり「不可能」というわけです。

・It is impossible for me to understand.(私には理解出来ません。)
・It is beyond the realm of my understanding.(私の理解の範疇を超えています。)

単にimpossibleというより、面白いと思いませんか?

似たような表現にbeyond the reach of ○○というのもあります。
Beyond the reach of human law(人間の法則を超越している)は、もはや人の手に届かない、天命に委ねるしかないといった意味になりましょうか。

まとめ

ストレートな言い方を避けようとするときの言葉の言い換えには、表現に工夫が見られて面白いと思います。
本文中でも触れましたが、せっかくの配慮も行き過ぎるとかえって侮辱ということにもなりかねません。違いを「ないものにする」のではなく、「認める」姿勢がポイントかもしれません。

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