時間は、世界中どこであっても同じように進みます。5分はどこへ行っても5分ですし、1時間も同じことです。ところが、「時間という観念」においてはとても共通とは言えません。よく、「旅行先で、『すぐ近くだよ』と言われて安心していたら、一時間も歩かされた」なんて経験談を耳にしたりしますよね。外国に行ってもなお、分刻みで進む日本社会の感覚から抜け出せないと、時にはそんな「文化の違い」に辛い思いをするかもしれません・・・。
暮らすとなれば、そんな感覚の違いを越えて人々と共生していかなければなりません。大らかな時間感覚に慣れてくると、それもまた良しと思えるようになるでしょうか。
◯◯する時間ですよ
さて、いくら時間に大らかだといっても、次の予定の時間が迫ってくれば(過ぎれば?)、さすがに動き始めることになります。
・It’s (about) time to go / leave.(そろそろ行く時間だ。)
・See you next time.(また会いましょうね。)
・When will I see you next time?(次に会えるのは、いつだい?)
・When shall we meet next time?(次はいつ会いましょうか?)
It’s time to / for ◯◯で「◯◯する時間です」となります。
・It’s time to go to yoga class.(ヨガのレッスンに出掛ける時間です。)
・It’s time for dinner.(夕食の時間ですよ。)
△△さんにとって、◯◯する時間というときは、「It’s time for △△to ◯◯」。
・It’s time for her to decide whether to go or not.(行くか行かないか、彼女は決めなければならない時期です。)
「It’s high time」は、「◯◯するのに絶好のとき、よい頃合い」ということです。
同時に、「もう、◯◯してなければいけない時間なのに」という意味にもなりますが、どちらの意味になるかは文脈や口調によって伝わります。
・It’s high time to raise safety awareness.(安全意識を高めてもらうのに、絶好のチャンスです。) ・It’s high time we were home.(もう、家に居なきゃいけない時間です。)
間に合う・間に合わない
時間を守りましょう「Keep time」「Be punctual」とは、きっと世界中どこでも言われることだと思います。時間が守られなければ、秩序が保たれないからです。ただ、その許容範囲には、「多少の差」が見られると言えるでしょう。
in time(間に合う、時間内である)
・The bus arrived in time.(バスは、時間前に到着しました。) justと付けたら、ギリギリで、となります。 ・The bus arrived just in time.(バスは、ぎりぎりセーフで間に合って到着しました。)
on time(時間通りに、ぴったりに)
・The conductor arrived on time.(添乗員は、時間通りに到着しました。)
run out of time(もう時間がない)
・Hurry up! We are running out of time!(急いで! もう時間がない!)
ahead of time(事前に、前もって)
・We should have sent a reminder to everyone ahead of time.(事前に、皆にリマインドしておけば良かったね。)
「beforehand」や「 in advance」と同じ意味です。
late(遅れて、遅れる)
・Teacher and students were late / arrived late.(先生と生徒たちは遅れました/遅れて到着しました。) ・Sorry to be late.(遅れてすみません。)
delay(遅れて、遅れる)
・So their departure delayed.(そのため、彼らの出発は遅れました。) ・Sorry for the delay (we have caused).(遅れさせてすみません。)
「late」と「delay」、日本語ではどちらも「遅れて、遅れる」と訳されますが、明確に使い分けされます。lateは「遅れ、遅れている状態」を表す一般的な言葉、delayは外的要因などによって「遅れさせられた、遅れることになった」というニュアンスになります。
さて、ジョニー・デップ主演、「Nick of Time」というスリル溢れる1995年のアメリカ映画がありました。nick of timeとは、「時間ギリギリ」という意味です。
・The principal arrived in the nick of time.(校長先生は、ぎりぎりで到着しました。)
ギリギリといえば、他にも面白い表現がありますよ。
「eleventh hour」(11番目の時)とは、「ぎりぎり、土壇場」という意味なのです。
・We had to make the eleventh hour change of the schedule.(土壇場で、予定変更せざるを得なくなった。)
そして「It’s a matter of time」で「いずれ分かる、時間の問題」という意味になります。
・It’s a matter of time whether we can find the place to stay tonight.(今夜泊まれる所が見つかるかどうかは、時間の問題だ。) Anyway, it’s time to hit the road!(いずれにせよ、出発する時間だ!)
良い時・悪い時
There are good times and bad times in life(人生には良い時も、悪い時もある)、よく言われる言葉です。この場合のgood times とbad timesは、ups and downs(浮き沈み)という言葉で言い換えることが出来ます。
人生は長いようであっという間。「光陰矢のごとし」、ラテン語でいうTempus fugitそのまま、英語でも「Time flies」と言います。
・There ‘s no time to waste.(ムダにしている時間はありません!)
・There’s no time to lose!(すぐに取り掛からないと!)
・Before time is up.(時間切れになる前に!)
・Buy time.(時間稼ぎをする。)
けれども、「ムダな時間」を排し、忙し過ぎるのも良い人生とは言えませんよね。しっかりやる時、リラックスする時という風にメリハリがあってこその人生ではないでしょうか。
ちなみに、リラックスするという表現にcatch one’s breath(一息つける、リラックスする)というのがあります。日本語でも、「息をつける」、「一息つく」といいますよね。
・You’ve been working incredibly busy. You need time to catch your breath.(あり得ないほど忙しくして来たのだから、リラックスして休むべきよ。)
反対に、息つく暇もないほど忙しいというときも、文字通りhave no time to breatheです。
そういえば他にも、リラックスするという意味の表現に「髪を下ろす」(let one’s hair down)という言い方もありましたっけ。髪を結わえている人なら、髪を下ろした時の開放感、よく分かるのでは?
・Don’t hesitate. Let your hair down.(遠慮しないで、楽にしなさいよ。)
やることさえやったなら、心置きなくリラックスして次に備えてください。結果は、時が来れば分かります。時が告げてくれる、つまり、「Time will tell」で、「時が来れば分かる」という意味です。
・Time is on your side.(あなたにとって有利な時なんですから。) ・Let’s wait and see. Just be ready to act when the time is ripe.(様子を見ながら待っていましょう。機が熟したら行動を取れるように、準備だけしておけばいいのです。)
でも、羽目を外しすぎてはいけませんよ。There’s a time and a place for everything.(常識はわきまえましょう)
お暇ですか?
・Do you have time (to kill)?(お時間ありますか?)
・Do you have time for tea?(お茶する時間、ありますか?)
・Come and visit me when you have time.(時間があるときに、訪ねていらっしゃいよ。)
・We haven’t seen each other for a long time.(もう、随分長いこと会ってませんよね。)
カジュアルなやりとりでは、「Long time no see!」(久しぶり!)と言ったりもしますよね。
「そのうち会おうね」と言いながら、もう何年も経ってしまったなんてことはよくあります。
暇な時間が訪れるのを待っていても、そう来るものではありません。だからこそ、「時間は作るもの」とよく言いますよね。
・OK, I’ll find the time / I’ll make time.(そうね、時間を作りますよ。) ・「Sorry, I don’t think I can have time.」(残念だけど、とても時間を取れそうにありません。)
もしも、せっかく誘った相手にこう言われたときは「Maybe some other time」(では、また今度ね)と返します。
「Life is Short, Time is Swift」(人生は短く、時の経つのは早い)つまり、人生楽しまなければいけませんということ。
「Time flies when you are having fun.」楽しい時間は経つのが早いというのは、世界共通でしょうね。
まとめ
外国にしばらく暮らすと、その国の時間感覚が分かってきます。あまりに感覚が違うと、馴染むまでに苦労するかもしれません。実際、「待ち合わせ時間なんてあってないようなもの」という環境では、何時に到着すればよいのか本当に戸惑います。でも、それは逆に考えれば、自分も慌てる必要がないということ。慣れれば気楽とも言えますが、皆が時間を守れば全てがもっと効率よくいくのに、という思いも拭えません。世界の価値観はいろいろですね。